雑巾美女

大昔、大家の嫁の嫉妬心からアパートを追い出される事となったPa~、次に契約したアパートの入居日が予定より数日延びてしまった為、1週間ほど家ナシ子となってしまった。仕方なくホテル住まいを予定していたところ
その街で知り合った日本人の女の子Aちゃんが、親切にも「自分のアパートに泊まってください」と申し出てくれた。
彼女は、別の日本人の女の子Mちゃんと、韓国人の女の子Sちゃんとの3人同居であった。
夫婦用寝室1・子供用寝室1・居間・キッチンという、此処イタリアの一般的アパートである。
彼女が夫婦用寝室、Mちゃんが小さな子供用寝室、Sちゃんが広~い居間に住んでいた。
このSちゃんが、ちょうどイギリスに旅行中で2週間留守だと言うので、Sちゃんの了解も得ず、このアパートの賃貸契約者でもある彼女の独断で、Sちゃんの部屋滞在との好意を示してくれたのだ。

彼女の好意に甘えて5日目、一人で留守番をしていると、玄関のチャイムが鳴った。
呑気にドアを開けると、そこには右腕にギブスをはめたアジア人の女の子が立っていた。
「どなた?」とPa~が尋ねると
「貴女こそ、誰?」と彼女が訊く。
そう!この彼女こそ、Pa~が寝泊りしている部屋の居住人Sちゃん。
2週間のイギリス旅行中のはずが、一体全体???
意気揚揚ボーイフレンドと共にイギリスに旅立ったはよいが、ナンとホテルでひっくり返り右腕を骨折、旅を切り上げイタリアに帰って来たのである。
Pa~は慌てふためき事情を説明
Pa~がもし彼女の立場なら、怒り逆鱗、気分害するのは間違いない。
自分の知らない間に、勝手に他人が自分のベッドで寝ていたのだ。
しかも、Pa~はそのベッドを * 他の事 * にも使用した。

ところが、その韓国人Sちゃん、全く気分を害した様子もない。
まったく本当に心の優しい子だ。
Aちゃんに渡すはずであった滞在料をSちゃんに差し出すが、「要りません」と言う。

Pa~は運がいいと言うか・・・その日から、今度はMちゃんがイタリア人の彼氏と旅行に行く事になっていた。
そこでPa~は、今度はMちゃん了解の上、自分の荷物をMちゃんの部屋へ移動。
少々狭い部屋だが、数日間の事、高額ホテル代出費を免れ大変ありがたい。
しかし、その小さなMちゃんの部屋、もう豚小屋のような散らかし様。
引越し荷物は知り合いの倉庫に預け、身の回りの物だけ持参していたが、その小さなスーツケースさえ置く場所もない。
致し方ないので、部屋の片づけを始める。
Mちゃんがその辺に放ったらかしにしていた洋服類も、キレイに片付けようと箪笥を開けると、ナンと!箪笥の中は空だったのである。
洋服一枚一枚たたんで引き出しに入れ、ハンガーにもかけて箪笥に入れる。
最後の仕上げに拭き掃除!と、椅子に掛けてあったボロ雑巾(【○△商店】名入りの古タオル)を使って、ピカピカに磨き上げた。
≪ア~!これでやっと住める部屋になった≫

このMちゃん、なんとも世の中狭いもので、Pa~が講師をしていたファッションスクールの卒業生で、イタリアン・モードの世界で働く目的でイタリアにやって来た娘であった。
年齢は25歳で、と~っても美しい娘だった。
【美】の感覚というのはお国によって異なるものだが、このMちゃんはイタリアのみならず、日本でも相当の美形にはいる娘。
作る側ではなく、召す側モデルでもいけそうな娘である。
モードの世界に生きるだけあって、ファッションも申し分なし。
さすがのイタリア男達も、彼女の余りの美しさには相当マジになった奴も多かった。
その中からMちゃんが選んだのは、滅茶苦茶男前で可愛い金持ちのぼんぼんイタリア人、完全な美男美女カップルであった。

しかし、ある時Pa~、フッと思い付いたのだが、そう言えばMちゃんの部屋を大掃除した際、タオルというものを一本も見なかったナァ・・・
洗面所にもなかったし・・・
更には、Pa~が居た5日間、Mちゃんが風呂どころかシャワーさえ浴びたのも見た事が無かった。
そこで、その疑問をAちゃんにぶつけると、ナンと!
Mちゃんは、その5日間のみならず、1ヶ月くらいは平気でシャワーを浴びず、下着さえ替えないらしい。
1ヶ月に一度ほどのシャワーも、男前彼氏に言われて仕方なく浴びるとか。
≪ヒエ~~~ッ!≫
と思ったところに追い討ち
Pa~の疑問をAちゃんにぶつけた。
「Mちゃんのお部屋には1本もタオルがないけど・・・」
するとAちゃん答え
「1本ありませんでしたか?雑巾よりひどいボロボロ薄汚れたタオルが・・・」

≪ギョエ~~~ッ!≫
もしや、Pa~が拭き掃除に使用したあのボロタオル???

外見美しく、メイク・ファッションも念入り、そんな彼女が、蓋を開けると現実はコレ
『人は見掛けには依らぬ』とは、まさにこの事。

しかし、彼女の大事な大事な1本しかないタオル、それを雑巾に使用したとは、Pa~口が裂けても言えなかったのである。


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