第五章～新しい旅～(第一説完結編)
～六日目～
｢・・・よし！｣
マナはいつもと違い早く起きて何かをしていた。
｢旅の準備完了！｣
昨日ゲイブに旅の準備をしとくようにといわれたからだった。
｢さてと｣
というか言わないかの時にノックされた。
｢起きとるか？｣
｢ああ！何時でも出れるぜ！｣
｢そうか・・・｣
ドアが開いた。
｢？！なにそれ？｣
ゲイブの手には長い銃器がもたれていた。
｢ロングスナイパーじゃ。遠い敵を狙う時に使う。俺が前使っていたものだ。
・・・もってけ｣
｢ぃ、いいのか？｣
｢ああ。ちゃんとスナイパーの使い方も教えたしな｣
｢お、おう！｣
｢だが普通にはもってけないからバイクにかけといて、何時でも使えるようにしてろ｣
｢わかった｣
スナイパーが手渡された。
ずっしりとした冷たい光を放ち、長い銃口、初めて触れる重い銃。
｢こ、これが・・・｣
｢・・・さていくぞ！お前の仲間も待っておる｣
｢おう！｣
階段を上っていった。
｢うわぁ！｣
まぶしい太陽の光、一週間ぶりの大地、木、草。
すべてが新鮮に見えた。
｢｢マナ！｣｣
ロウとハジが同時に言った。
｢遅かったな、俺はずっと外で腕を上げていたぞ。お前は？｣
｢お望みどうりだ｣
といい、すばやく腰のレイを抜き、撃った
鈍い音が鳴り細い木の真ん中に穴が開いた。
｢わかった？｣
｢・・・ああ｣
｢？、まてよ？銃が違うぞ？！｣
｢ああこれか？｣
少しスリムになったレイを見せた。
｢ゲイブに改造してもらったんだ。｣
｢師匠・・・そんなことまで出来たんだ・・・｣
｢はっはっは、そんなことはおいといて最終試験だ｣
｢｢｢はい？｣｣｣
今度は三人の声が重なった。
｢これからマナとロウには戦ってもらう。そして勝ったほうに食料や旅に必要なものを買ってやろう｣
｢ええ？！｣
｢・・・｣
｢ただし弾は練習のゴム弾、刀もゴム刀だ｣
｢ほっ・・・｣
｢なるほど・・・｣
｢そして二回相手の体に攻撃をたたきつけたほうの勝ちじゃ｣
｢わかった｣
｢それでは二人とも、位置につけ！｣
白線が引いてあるところに二人ともついた。
｢はじめ！｣
ロウが先手を取った。
一気に前に踏むこみ、刀を振る。
それを間一髪でかわしマナは近くの木の裏に隠れる。
だがロウは容赦はしない。
すぐに木の裏を見て刀を振りかざす。
が
いない。
｢？！｣
すぐに一歩下がった。
ずんずんと二連続で音がなった。
前を弾がかすった。
だが甘かった。
もう一発が腹に当たる。
｢ぐう！！｣
また一歩下がり膝をついた。
ロウの視界の横に小屋があった。
そこの木にマナは隠れていた。
｢マナがとった！｣
ハジが半嬉半不安で言った
マナは少し微笑みながらロウを見ていた。
｢く・・・く、そ｣
ロウは苦しみながら立った。
｢ふう｣
一度深呼吸してまた集中した顔に戻った。
｢まだだ！｣
ロウが走った。
今度はマナが前に。
ナイフ型のゴムダガーを構えていた。
｢なめるな！｣
ロウが刀を振りかざす。
大振りで縦に振った。
マナはよける。
しかし、
｢甘い！｣
刀がいきなり横を向いた。
｢横斬攝華剣！(おうざんごうかけん)｣
いきなり波動がマナの体に走った。
その衝撃で体が動かなくなったところに斬撃が来た。
マナはダガーでガードしたが横のほうに一、二メートル吹っ飛んだ
｢くう！｣
マナのダガーは真っ二つに折れていた。
そして腕のほうも振動が伝わってしびれている。
｢どうした？！｣
｢・・・｣
無言でマナは立った。
｢・・・次はやる・・・！｣
マナは猛獣のようにロウをにらみつけた。
ぞくっ！っと一瞬ロウの体に緊張が走る。
(な、なんだこの殺気は・・・それにマナの目が青い・・・？！)
と、いきなりマナが折れたダガーで切りかかってきた。
｢うお！｣
いきなりだったためか刀でとめていたロウの体が少し揺れた。
だがマナは容赦しない。
何度も何度もダガーで刀を切りつける。
後ろに下がっては突き、下がっては切りの繰り返しを五回ほどして、
後ろに二、三歩下がり、銃を構えた。
｢あたるわけがない！｣
とロウが叫ぶがマナは聞く耳も持たなかった。
｢・・・うるさい・・・！｣
引き金に指をかけた。
｢くっ！｣
ロウは一歩下がる。
マナが撃った。
ロウは横によける。
マナがラガーを抜く。
｢え？ま、まて！マナ！｣
ゲイブが叫ぶ。
この試合は実銃禁止だ。
マナが引き金を引いた。
ズン
鈍い音がして周りがすべて砂埃でつつまれた。
｢何をやってるんじゃマナは！｣
だが試合中に手を出すことは出来ない。
｢く・・・なんだこれは｣
ロウはその砂埃のまっただなかにいた。
｢くそ・・・みえん・・・｣
視界が全方向ふさがれてしまっていた。
そのとき、砂埃を切り裂いてくるものが見えた。
もうすぐここに来る。
目を凝らしてロウは見るとその｢あるもの｣の正体は、
｢弾丸だ！｣
とっさによけた。
弾丸はすれすれで上を通って行った。
だが第二撃、三撃がすぐきた。
何で狙えるんだ？
ふとそうロウは思った。
でも考える暇がなく弾丸が飛んでくる。
｢く、くそ・・・！｣
ふときづくと、弾丸が飛んでこない。
｢よし！｣
だがまた何かが砂埃を切り裂いてきた。
今度は大きい。
それが正体をあらわした。
マナが折れたダガーを振りかぶっている。
腰にはスナイプ機能をつけたレイが装着してあった。
｢終わりだ！｣
｢まだだ！｣
ロウは刀をとろうとした。
が
間に合わない。
ふと刀の鞘に触れた。
｢これだ！｣
切りつけるとき、マナのダガーが光にコーティングされていたような気がした。
一瞬切りつけたところが光った。
砂埃がぶわっと舞い上がりちりじりになった。
ロウは鞘につけていた小盾でガードしていた。
それがいきなりすさまじい金属音をだし真っ二つに割れた。
｢な、に・・・｣
ロウの胸には光の剣がめり込んでいた。
ロウの視界がぐらっと傾く。
そのまま倒れた。
マナのほうは倒れたロウをにらみつけていた。
そこでゲイブはマナの目が青から黒に戻っていくのを見た。
｢あれ・・・？なにが・・・？｣
マナは後ろ側にいきなり倒れる。
｢だ、大丈夫か？！｣
ゲイブは二人のそばに行った。
(ロウは大丈夫だな、でもマナは・・・？)
マナの手が薄く光っていた。
｢なんだ？｣
手を開いてみたゲイブは、
｢こ、これは？！｣
驚嘆の声を上げていた。
マナの手には六望星の中に何かの文字と図が描かれていた。
だが、それもすぐ消えた。
その瞬間に光の剣も消えた。
(ま、まさかあれは・・・魔法？)
数分間考えていたゲイブははっとわれに返りすぐに家の中にロウとマナを運んだ。
｢それじゃゲイブ叔父、またいつか会いましょう｣
｢おう元気でな｣
｢そういやロウは？｣
｢まだ寝込んでおる・・・相当あの一撃がひどかったんじゃろ・・・｣
｢あの一撃？｣
｢・・・そうか覚えていないんだな・・・｣
｢はい｣
｢お前は・・・魔法とおぼしきものでロウに勝ったんじゃ｣
｢！｣
｢だが・・・そうかどうかは・・・｣
｢そうですか・・・｣
｢それでは｣
｢おう。いつでもこいや｣
｢じゃねーおじさん｣
そのままバイクにエンジンをかけて走り去っていった。
それをゲイブは見えなくなるまで見ていた。
｢・・・どうなるだろうかなあ？・・・ふふふ｣
そして笑いながら家へ入っていった。
｢いや～まことに楽しかった｣
ハジが感想をいった。
｢こっちは真剣だったんだぞ！｣
｢すいません・・・｣
(でも本当に魔法なんて使ったんだろうか？)
バイクを止めた。
｢どうしたのさ？｣
｢いや・・・｣
そういいながら手をかざして。
｢たしか昔読んだ本では・・・考えるままのことを口に出して・・・決め言葉を言うんだったな。｣
｢？｣
｢冷たく光る青い氷炎、今こそいでよ、われに力を貸さんために・・・｣
｢《氷舞天華》！｣
草原に凍る音がして冷たい爪あとが一直線に出来た。
いきなりその一直線上の氷がはじけた。
｢ほんとに出来た・・・｣
本のとうりにやったら出来てしまったため少し戸惑いがあった。
｢ま、いいか｣
｢リアクション薄いなあマナは！｣
｢うるせ！｣
またバイクに乗り走り去っていった。
一説《人生と旅》～完結～
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