或る日の“ことのは”2

或る日の“ことのは”2

2014.03.07
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去年の事。

京都のとある神社を覗いた。

京都本なら沢山持っているが、特に興味を惹かれることが無く、其処を知らなかったから、
余り注記も無いのだろう。

お昼時を大きく過ぎて、空腹に目が回りそうになりながら、店はどこも一杯で食事を摂るに摂れず、
帰ろうと駅に向かう途中、否、其処から京都まで歩いて帰れないかと思って、
駅を行過ぎたときに見つけたんだ。

観光地、って、食事をしたいと思ったときに出来はしないよね。
特に紅葉時の京都はね・・・。


公園で菓子パンを齧るか、(立ち食い覚悟)
昼抜きで頑張るか、の三択。

・・・そう、思い出した。
この時は、まだ紅葉があったんだよ・・・ああ、ついこの間のような気がするのにな・・・。

どこだろう、何が縁なんだろう、ご祭神は、などと考えながら恐る恐る覗く。
(当然、拝観料がかかる可能性があったから)
拝殿の綺麗な神社だった。
驚くほど、木彫彫刻装飾の素晴らしいところで、一つ一つが全く精巧で美しい。
口を開けたまま、見惚れていると、

『みるところ、そこじゃないですよ』

声を掛けられた。

柴犬を散歩させている。

『こっちみてください、こっち』

男の子に指を指されたのは背後の拝殿。 
よく見ると、スリッパが置いてあって、履き替えて上がれるようになっている。
男の子に促され、恐る恐る木造の階段を登って・・・


20140307215703.jpg

龍だ。
8mの龍が、手を伸ばしたら届きそうなところに居る。
なんて迫力だ。

江戸時代後期の彫刻家・九山新太郎作。
夜な夜な抜け出して、川に水を飲みに行ったという逸話に頷けるほどのリアリティ。
人々が怖がるので、龍は天井に網を張り巡らされ、抜け出せないようにしてある。
「天井龍」というのだそうだ・・・って、まんまやん。


うわーうわー、と一頻り興奮し、
凄いですね、これ!と、男の子を振り返ったら、
もう、そこには誰も居なかった。


うわーうわー、と、龍にウンザリされるほどジロジロ見学させて貰い、
うわーうわー、と、社殿を舐めるように見て回った。
掃除しておられたおばさまには、ウザイ事この上なかっただろう。


「写真、ばんばん撮ってね!」

又、違う方角から声がした。
今度は、おひげのおじさまがニコニコ此方を見ている。
他の客に、神社の事を説明もしている。
・・・神社仏閣の文物は、写真撮影禁止なものが多いのに、写真撮影歓迎とは豪気だ。

「・・・で、この神社を広めて頂戴」

何のイベントだかよく分からないけれど、
地元の人が、神社の敷地内に御札を車座に積み上げている所だった。
燃したりでもするんだろうか。
有名な神社仏閣に観光客がひしめき合う中、地味で、殆ど観光客は見られないけど、
地元に深く愛された神社なのだろう。


帰ってから調べたら、
此処は大丸百貨店の縁の神社であった。
瀧尾(たきお)神社
京都の豪商・下村彦右衛門正啓(大文字家=大丸百科店前身創業者)が、此処を深く尊崇し、
1700年代度々修理した。
以来、大丸の事業成功はこの神社の神徳のゆえであるとして、
下村家は、神社の維持管理を支え、関わってきた、とある。

大丸との縁は今も、だろうか?少し気になった。
だって天井龍、重くて、天井板が見て直ぐ判るほどにたわんでいた。
龍が落下なんてことがあったら、とんでもないよなぁ・・・。



住宅地の間にあり、余りそれっぽい雰囲気は無く、
場末感もあるけれど、(失礼)
隠れた宝を探し当てたようで、全くワクワクする。
・・・そんな神社。
『江戸時代後期の中規模神社の形態を知るうえで貴重ということで、
京都市指定有形文化財に指定されてい』るのだそう。

機会があったら、是非行って見てください。



私も又、機会を狙って行こう。




おじさーん、大分遅くなったけど、書いたよー。
又行くね。

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最終更新日  2014.03.08 00:18:31
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Re:とある百貨店のカミサマ事情(03/07)  
amigo0025  さん
わ~良い物を見させて戴きました!凄いですね~!
あの網は竜が逃げるより落下防止ですね^^;
でも、落ちたらもったいないので、何とかして欲しいですね~! (2014.03.08 10:36:45)

ロック・オン  
食田飲太  さん



ご無沙汰してます。
瀧尾神社。
初耳です。
辰年生まれの私としては、この龍は是非とも観なくてはならないですね。
次の京都はこれが目標になりそうです。

(2014.03.09 19:31:15)

amigo0025さん  
ぺぺる9712  さん
amigo0025さん
>わ~良い物を見させて戴きました!凄いですね~!
>あの網は竜が逃げるより落下防止ですね^^;
>でも、落ちたらもったいないので、何とかして欲しいですね~!
-----

こんばんは~!
そう、改めて色々調べたら、
この龍の状態って、網を取り外した後らしいです。^^;
近くの川が暗渠になって、
龍が水を飲みにいかなくなったから、網を張る必要がない、って。
だってこの網?じゃあ、龍とっとと逃げられますもんねえ(笑)
だから、アミさんのおっしゃる通り、これは恐らく落下防止なのでしょう!
調べが甘くてすみません。
でも、落ちたらこんなのじゃすまないと思うな~。
龍のお腹に割目もあったし・・・^^;
早く修繕してあげて~~!!
(2014.03.14 21:19:43)

食田飲太さん  
ぺぺる9712  さん
食田飲太さん

>ぺぺるさん

>ご無沙汰してます。
>瀧尾神社。
>初耳です。
>辰年生まれの私としては、この龍は是非とも観なくてはならないですね。
>次の京都はこれが目標になりそうです。


是非ー!行って見てください!拝観料無しです!
なかなか面白い。 中にある他のお社も興味深いですよ。^^
龍の眼がね、銅だったと思いますが・・・時間の経過と共に、いい味出してます!
瀧尾神社、は、ネットで調べると『たきのお』と読むとするページもあり、・・・此処はよくわかりません。
辰年生まれでいらっしゃるなら、チャンスがあれば、妙心寺に行かれてみて下さい!
(もし、既に行かれていたならすみません)
龍の襖絵、天井画は数多く観て来ましたが、
あの天井画は、他にない迫力だと思います!
八方睨みの龍の下で、
暫し
古に思いを馳せてください!!
(2014.03.14 21:32:48)

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