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2022/08/01
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カテゴリ: ITTETSU GALLERY
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 ITTETSU GALLERY:もう一つの成田一徹(621)~(640)

 バー・シーンを描いた切り絵で有名な成田一徹(1949~2012)ですが、実は、バー以外をテーマにした幅広いジャンルの切り絵も、数多く手掛けています。花、鳥、動物、職人の仕事、街の風景、庶民の暮らし、歴史、時代物(江戸情緒など)、歴史上の人物、伝統行事・習俗、生まれ故郷の神戸、小説やエッセイの挿絵、切り絵教則本のためのお手本等々。

 今回、バー・シーンとは一味違った「一徹アート」の魅力を、一人でも多くの皆さんに知ってもらいたいと願って、膨大な作品群のなかから、厳選した逸品を1点ずつ紹介していこうと思います(※一部、バー関係をテーマにした作品も含まれますが、ご了承ください)。
※故・成田一徹氏の切り絵など作品の著作権は、「Office Ittetsu」が所有しております。許可のない転載・複製や二次利用は著作権法違反であり、固くお断りいたします。


(621)村山由佳さんのエッセイのために  2011年
 ※作家・村山由佳さんのエッセイ(雑誌「あんしんLife」掲載)のための挿絵として依頼された作品。残念ながら、エッセイの内容は不明なため、この絵(ピアノと女性)が何を意味しているかは分からない。







(622)ざるそば (2態) 1990年代後半&2000年代前半
 ※代表的な夏の食べ物の一つ、ざるそばが嫌いという人はそういないのではないか。主に食関係の雑誌からの依頼で、一徹氏も、モチーフとして、いろんな構図で何度か取り上げているが、どちらも実に美味しそうに描かれている。







(623)ゴルフクラブとボール (2枚) 1990年代半ば
 ※きょう(7月14日)から、ゴルフの4大メジャー大会の一つ、全英オープンが始まる。松山選手以下、日本選手の活躍を期待したい。その生涯で、自身では(おそらく)一度もゴルフはしなかった一徹氏だが、ゴルフをテーマにしたエッセイの挿絵を依頼されることはあった。そして、あれこれ資料にあたった上で、こんな作品を提供した。1枚目の絵は、作家・邱永漢氏(故人)のエッセイ「鮮度のある人生」(1994~96年)の挿絵として使われたことが分かっている。







(624)三社祭の神輿(2枚)  1990年代前半&半ば
 ※この2枚の絵には、浅草神社の祭りである「三社祭」というタイトルが付けられている。夏の祭りかと思っていたら、現在では毎年、5月第3週の金曜日~日曜日の3日間開催されているという。発祥は江戸前期で、三代将軍・家光の頃には将軍が寄進した神輿もあったらしい(太平洋戦争で焼失)。庶民の祭りとして発展したのは、明治期以降である。
 ちなみに三社祭は以前から、「神輿の担ぎ手に体に入れ墨をした反社会的団体のメンバーが目立つ」「祭り自体が反社の資金源になっている」と問題になっていたが、その後は実態は改善されたのだろうか(2枚目の絵は、作家・半藤一利氏<故人>の連載エッセイ「歴史探偵かんじん帳」(1994~95年、毎日新聞日曜版紙上)の中で挿絵として使われた)。











(625)大相撲(4枚)  1990年代半ば
 ※現在、大相撲名古屋場所が開催中(いまいち盛り上がってはいないようだが…)。という訳で、一徹氏の残した作品の中から大相撲をモチーフにしたものを4枚(大銀杏、土俵入り、行司の軍配、稽古場)紹介する。いずれも、作家・半藤一利氏<故人>の連載エッセイ「歴史探偵かんじん帳」(1994~95年、毎日新聞日曜版紙上)の中で挿絵として制作された。





(626)「薔薇荘の殺人」の表紙絵のために  1989年
 ※米国のミステリー作家、エドワード・D・ホック(1930~2008)の短編小説「薔薇荘の殺人」(月刊「ミステリー・マガジン」<早川書房・刊>1989年3月号掲載)の表紙絵として依頼された作品。この頃はまだ「一徹」ではなく、本名の「徹」で仕事をしていた(下の絵は、トレーシング・ペーパーを載せた実際の誌面レイアウト図版)。一徹氏は、プロデビュー(1988年)前から同誌のほか、「SFマガジン」などにしばしば挿絵を提供するなど、早川書房との関係は終生続いた。









(627)蝶 <上>=2枚 1990年代前半~半ば
 ※一徹氏が得意としたモチーフの一つに蝶がある。羽根の模様が切り絵向きだと考えていたようで、初心者向きの切り絵教室の教材などでもよく使用した。今回紹介した作品は、ほぼ同じ構図で制作されたカラーとモノトーンのアゲハ蝶。









(628)蝶 <下>=3枚 1980年代後半~90年代前半
 ※昨日に続いて、蝶を描いた作品を。きょうはアゲハ蝶とモンシロ蝶(1枚目は誰かのエッセイの挿絵として、2~3枚目は自著の切り絵技法書の「作例」としてそれぞれ制作されたもの)。これで、一徹氏が残した蝶の切り絵はほぼすべて「蔵出し」したと思う。







(629)「東京あなロジー」のための挿絵 =2枚 1992年頃
 ※2枚ともに、週刊「サンデー毎日」誌上での石川雄一郎氏の連載エッセイ「東京あなロジー」のための挿絵として制作された。









(630)ハリウッド・スター =3枚 1990年代
 ※ハリウッド・スターを描いた3枚の作品。ただし、30年ほど前の作品とあって、描かれている俳優も若い世代には馴染みのない故人ばかり。クラーク・ゲーブル(Clark Gable 1901~1960)==左、リー・ヴァン・クリーフ(Lee Van Cleef 1925~1989)=右上、ポール・ニューマン(Paul Newman 1925~2008)=右下。
 代表作と言えば、ゲーブルは何と言ってもレッド・バトラー役の「風と共に去りぬ(1939年公開)」だろう。クリーフは往年の西部劇スターで、「真昼の決闘(1952年)」や「夕陽のガンマン」シリーズ(1965〜67年)でブレークした。ニューマンは数多くの名作に出演しているが、3つ挙げるなら「明日に向かって撃て(1969年)」「スティング(1973年)」「評決(1982年)」か。「アカデミー賞の主演賞・助演賞をなかなか取れない名優」とも言われ続けたが、1986年の「ハスラー2」で初めて主演男優賞を受賞した。





(631)「引きだし刑」の表紙絵のために  1997年
 ※SF作家藤田雅矢氏(1961~)の小説「引きだし刑」(SFマガジン1997年6月号所収<早川書房・刊>)の表紙絵のために制作された。誌面レイアウト見本図(下の画像)とともに紹介する。藤田氏は京都大学農学部卒、農学博士の肩書きを持ち、園芸実用書も出す異色の作家。







(632)「土用の丑」の鰻  1990年代半ば
 ※きょうは「土用の丑」。「土用」とは、具体的には「立春、立夏、立秋、立冬の直前の約18日間」のことを言う。そしてこの期間中、十二支の「丑」の日が「土用の丑」となるが、一般的には夏の「土用の丑」を指す。夏の「土用の丑」には鰻(うなぎ)料理が注目を集めるが、この習慣はいつ頃生まれたのか。
 Wikipedia日本語版によれば、鰻は日本ではかの万葉集にも登場くらい、古代から食べる習慣はあったが、一般庶民に広まったのは江戸時代の中頃、安永・天明年間(1772~1788)だという。ビタミンA群、B群が豊富で栄養価も高く、夏バテ防止にはぴったりだが、昨今、うなぎは超高級魚になって、気軽に食べられなくなったのが実に悲しい。





(633)和田弘とマヒナスターズ  2008年
 ※この連載で何度か取り上げているが、2008年、ビクターレコードのベスト盤企画CDのジャケット表紙絵として依頼された作品。過去、第31回(ちあきなおみ)、第103回(青江三奈)、第131回(松尾和子)、第197回(フランク永井)、第347回(アイ・ジョージ)、第479回(ディック・ミネ)と6回紹介したが、最後の一枚が今回の「和田弘とマヒナスターズ」である。
 マヒナスターズは、スチールギター奏者の和田弘をリーダーとする音楽グループで、ハワイアンやムード歌謡を得意とした。1954年にデビュー。メンバーの入れ替わりも激しく、2002年頃には内紛が起きて和田以外のメンバーが全員離脱、「和田弘とマヒナスターズ」としては事実上解散となった。和田は2004年に急死。その後も「マヒナスターズ」の名で今なお活動しているようだが、オリジナル・メンバーはいない。
 代表曲には「好きだった」「泣かないで」「お座敷小唄」(松尾和子との共演)「誰よりも君を愛す」(松尾和子との共演)=1959年・第2回レコード大賞受賞、「島のブルース」(三沢あけみとの共演)「寒い朝」(吉永小百合との共演)「愛して愛して愛しちゃったのよ」(田代美代子との共演)などがある。





(634)火牛(かぎゅう)の計  2000年代前半
 ※松明(たいまつ)を角に付けたカラーの牛の絵は、「火牛の計」という故事をモチーフとし、販売用の絵葉書のために制作された作品である。「火牛の計」とは、Wikipediaによれば、紀元前、中国の戦国時代に斉の将軍・田単が、牛の角に松明を付けて驚かせ、燕軍を破ったという言い伝えから生まれた言葉という。
 日本では1183年、木曽(源)義仲が倶利伽羅峠の戦いで、同じ手法での奇襲攻撃で平家軍に大勝したことを指す。「源平盛衰記」では、義仲が400~500頭の牛の角に松明を付けて平家軍に突進させ、谷底へ落としたという話が紹介されているが、史実がどうかは疑問視する歴史家も多い。
 戦いの舞台となった富山県小矢部市石動(いするぎ)地区では、1996年からこの故事にちなんで「源平火牛まつり」が始まった(毎年7月の最終土曜日に行われる)。祭りのメインイベントでは「火牛の計レース」が行われる。もちろん、レースでは本物の牛ではなく、藁(わら)でできた巨大な牛の角に火を点け、走らせてタイムを競うという。





(635)無 題 (スケッチブックのなぐり描き) 1980年代半ば?
 ※カッティング・ナイフで作品づくりに取りかかる前に、一徹氏は構想段階で必ずを下書き(スケッチ)をした。構想が固まると、下書きをトレペ(トレーシング・ペーパー)に写し、そのトレペを切り絵用の紙の上に固定した上で、カッティングを始めた。没後見つかったスケッチブックには、構想段階の下書き、なぐり描きが数多く残されている。これはどういう切り絵にしようと思っていたのか。想像を巡らせてみよう。





(636)夏 椿  2002年
 ※朝日新聞夕刊(大阪本社版)での連載「どこへ一徹 切り絵旅」(2002~03年)の第13回のために制作された作品。作された。夏椿(ナツツバキ)とは、日本の仏教寺院の庭によく植えられているツバキ科の常緑樹。これは、その夏椿で有名な京都・嵐山の鹿王院の庭を描いた。
 ちなみに夏椿は、「祇園精舎の鐘の聲(声)、諸行無常の響あり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理(ことわり)を顕す」の書き出しで有名な平家物語にも登場する「沙羅双樹(さらそうじゅ)」=「しゃらそうじゅ」とも言う=の異名も持つが、Wikipediaによれば、両者は似ているが、厳密に言えば別の植物で、夏椿は日本の気候では育ちにくい「沙羅」の木の代用として定着したという。
 沙羅自体は、主に熱帯や亜熱帯で育つフタバガキ科の常緑樹で、白い花がジャスミンにも似た香りを放つ。仏教では二本並んだ沙羅の木(=沙羅双樹)の下で釈尊が入滅したという言い伝えから、あらゆる煩悩を滅して悟りの境地に達した「涅槃(ねはん)」の象徴ともされ、古来、掛け軸に描かれる「涅槃図」にはよく登場する。









(637)「週刊小説」のための挿絵(3枚)  1992~95年
 ※一徹氏は1990年代、「週刊小説」(実業之日本社・刊)編集部からの依頼でたびたび挿絵を提供していた。この3枚はもちろん誰かの小説のための挿絵として制作された作品だが、残念ながら今となっては、誰の何という小説(の挿絵)だったのかは分からない(唯一、制作時期のみ判明している=1枚目<1994年>、2枚目<95年>、3枚目<92年>)。





(638)晴れた空とTシャツと  1990年代前半
 ※夏真っ盛りの日本列島。空気も乾燥して、快晴のお天気が続くので、さぞかし洗濯物もよく乾くこの頃だろう。何のために制作された作品かは分からないが、自著の切り絵技法書の「作例」としても収録されている。





(639)サーフィン  1990年代前半
 ※昨日に続き、夏真っ盛りに似合う作品を。ただし日本列島は、コロナ第7波による感染者急増で明るい雰囲気には程遠い。同じ「波」でも、海の波ならサーファーに大歓迎されるだろうが…。この絵も何のために制作された作品かは分からないが、自著の初心者向け切り絵技法書の「作例」としても収録されている。







(640)カツオ (2態) 1990年代前半
 ※一昨日から「夏真っ盛り」ぽい絵を紹介してきたが、最後に初夏から秋にかけてが旬の「カツオ」を描いた2つの図柄を。5~6月に獲れるのを「初ガツオ」、9~10月が「戻りガツオ」と言うが、その間である今の時季も十分旨い(ちなみに、オススメは「塩タタキ」)。1枚目の絵は、自著の初心者向け切り絵技法書の「作例」としても収録されている。



◆故・成田一徹氏の切り絵など作品の著作権は、「Office Ittetsu」が所有しております。許可のない転載・複製や二次利用は著作権法違反であり、固くお断りいたします (著作権侵害に対する刑罰は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金という結構重いものです)。

※「ITTETSU GALLERY:もうひとつの成田一徹」過去分は、 こちらへ

★過去の総集編ページをご覧になりたい方は、 こちらへ。

【Office Ittetsuからのお願い】成田一徹が残したバー以外のジャンルの切り絵について、近い将来「作品集」の刊行を計画しております。もしこの企画に乗ってくださる出版社がございましたら、arkwez@gmail.com までご連絡ください。


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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
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