ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Jul 27, 2006
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「親愛なる20世紀もの」

 今日の練習では、余った時間で、約束どおりマリリーに第一バイオリンを譲り、シベリウスを弾くことになった。僕は事前に彼女から第二バイオリンの譜面を渡されてたにも関わらず、余裕がなかったのでほとんど練習してきてない。ビオラのナンシーも、チェロのマーディまでもが、実は初見であることを白状する始末。

 予習してきてないことについては、気合い充分だったマリリーに申し訳なく思った。(彼女は何十年も前にこの曲を弾いたことがあって思い入れが強いらしい。)
 ま、なんとかなるさと開き直って、1楽章から順番に演奏開始。

 そして結果的に、僕らは何度も停まってしまい、ついに途中でこの曲を断念することになる。

 自分が準備不足だったことは反省してるけど、懲りずに言い訳させていただくと(笑)、この曲、ちょっと奇妙だと思う。

 シベリウスは、交響曲やバイオリン協奏曲などに見られるような 壮大でロマンあふれる作風 で人気だが、音色の似通った四つの楽器のみでそのワンダーランドを築こうとしても無理があるような。

 例えば、セカンドやビオラがうねうねと波の音を弾く一方でファーストがメロディーを弾くところ。


 誰が一拍めを弾いてるのか、誰がメロディーを、誰が効果音を担当してるのか、テンポは揺らすのか、大きく二つで数えるのか四つで数えるのか。
 四人全員が事前に曲を熟知しておく必要があって、さらに四人全員が心底から曲に惚れ込んでないと、そもそも音にならないので楽しめない。(ま、それは常にそうだけど。)

 3楽章は確かに名曲だと思った。が、この曲、残念ながら来月の練習にて再挑戦されることもなく、 お蔵入り が決定してしまった。

 シベリウスは室内楽向きではないのかもしれない。そもそも弦楽四重奏に五楽章編成というのも長すぎる。
 彼のピアノ五重奏曲も全五楽章だったような気がする。一応CDは持ってて、こっちのほうは是非弾いてみたいと思わせる曲風。せめて2楽章と4楽章だけでも、いつかは。

 実際、自分の今後の人生においてシベリウスの音楽を弾く機会は、はたしてあと何回あるだろう。それに、よく考えたら、20世紀に書かれた弦楽四重奏曲は、この曲を除いたら他はどう考えても手の届かないものばかり。
 今日の練習、もっと真面目に取り組むべきだったと今になって後悔している。





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最終更新日  Jul 31, 2006 09:13:45 AM
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