いたるところに senza crescendo と書かれてた。クレッシェンドせずに音量を維持、すなわちフォルテとかスフォルツァンドが出てくるまではじっと耐えてピアノのまま……。ベートーベンの曲にしては珍しくもなんともないけど、確かに、ちょっと気を緩むとつい興奮してクレッシェンドしてしまう。
こういう箇所を弾くときに、一般に奏者はどう感じてるものなのか、ちょっと興味がある。その後のスフォルツァンドとか subito f(どっきりフォルテ)に到達するまでの過程を、ピアノに抑えながら、あぁ快感っっ、と思えるストイックな人と、ほんとは本能に任せてクレッシェンドしたい衝動をぐっとこらえ、ストレスを溜めながら悶々とする人と二通りいるはず。