ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Dec 7, 2024
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カテゴリ: 映画、テレビ
「ヒー、Who、Me、Yo」(評価 ★★★☆☆ 三つ星」

 ネットフリックスで鑑賞。喜劇俳優のウィル・フェレルは、30年近く親交のある親友(アラ還男性)から「今後は女性(トランス女性)として生きることにした」と告白されたことで、彼女とともに二週間のアメリカ横断の旅に出て、旧交を温めながら今のアメリカにおけるトランスジェンダーの現状と向き合うことにする。彼女は既に名前をハーパーと変えており、胸も手術ずみ(豊胸)。
 とても興味深く観られた。
 そもそもウィルさんは面白い人だし、ハーパーさんも放送作家で頭のいい人だから、ふたりの旅は知的で心温まる道中になるかと思いきや甘かった。やはりトランスジェンダーさんたちに対する世間の対応は冷たい。有名人ウィルさんが同行しているからか面と向かっては言われなくても、影では(ネット上では)さんざん誹謗中傷されてしまう。ハリウッドの業界人ですらそうなのだから一般人ならなおさら生きにくい世の中だと思う。

 どんなに内面が女性であって外面も化粧や衣装で女装しても、完全に女性になることはできない。例えば性転換手術しても男性としての低い声は変わらず、その声のせいですぐにトランスだとばれてしまうことは彼女たちにとってはあるある。

 かといってこのドキュメンタリーは啓蒙番組というわけではないみたいで、演出も思ったよりは地味。トランスを嫌う人を声高に非難したり教育しようともしないし、公共トイレは男女どちらのを使うべきかとかの現実的な問題提起、提案をしてるわけではなかったのは意外。二人はそのまま西へ西へと旅を続ける。

 ぼくの周りにもトランスの方々は何人かいらっしゃるけど、どんなに慎重に(あるいは普通に)接していても一番気を遣うのが pronoun(人称代名詞)。he/him なのか she/her なのか。Mr とか Ms などの呼称もそう。こうゆう単語は無意識に発せられることが多いからなおさら難しい。親しい人ならまだしも、それ以外の場合、ご本人からのご指示があるまで待つべきか、それとも積極的に「何とお呼びしましょう」とがんがん尋ねるべきか。
 この番組でも、道中「なんとかなんとか、sir.」と他人に言われ、madam と言い直させる場面もあった。

 そういう意味では日本語は便利。性別に明確にせずにとも(he や she を使わずに)会話を自然に続けられる。





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最終更新日  Dec 9, 2024 10:34:30 AM
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