I love Salzburg

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2017.06.04
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カテゴリ: 日本の旅
昨年の熊本地震でショックを受けたのが熊本城と阿蘇大橋、そして阿蘇神社倒壊の映像だった。

神様がいらっしゃる場所なのにどうして、とも思った。








別府港から高速で湯布院へ、そこから下道で2時間ばかり。
至るところで地震の爪痕を目にしながら走った。

阿蘇神社も復旧工事中で大きな囲いがされており、私はどうお詣りすればいいのか戸惑い、無料のボランティア案内を頼むことにした。

案内役の女性は気さくな人柄で、手水の手順から丁寧に説明してくださった。





「ここは神武天皇の孫にあたる『健磐龍命(たけいわたつのみこと)』を中心に、その子孫を含め12の神様を祀ってあります。
なので、それぞれお得意の分野がございますので、どんな願い事でも叶えてくれますよ。」



私は去年の地震で倒壊するまで、実はこの神社の存在すら知らなかった。

「もともと有名な神社だったんですねー。」
「結婚式で謡われる高砂の歌をご存知ですよね。」
「ああ、『たかさごや~この浦舟に帆を上げて~』ってやつですね。」母も熱心に聞いている。

「そうです。その高砂の歌に阿蘇神社の神主さんが出てくるんですよー。」

どうやらあの歌詞は、播磨の国・高砂の浦を訪れた阿蘇宮の神官が松の下を掃き清める老夫婦にその松の謂れを問うところから始まるらしい。
詳しいことは世阿弥作・能の演目『高砂』にゆだねるが、

「千歳飴の袋にお爺さんとお婆さんの絵が描かれてるんですが覚えてます?」
私と母はお互い顔を見合わせて首を傾げた。

「お爺さんとお婆さんが箒と熊手を持っているのですが、それぞれどちらを持ってると思います?」
「お婆さんの手に箒、お爺さんの手には熊手が描かれています。どの絵もそうなってるはずです。」


『おまえ百(掃く)までわしゃくじゅうくまで(熊手)』、ね、分かります?
高砂の松の下を掃き清めていたお婆さんが箒を、お爺さんが熊手を持っていたそうです。機会があれば、また見ておいてくださいね。」




「で、これが参道になるのですが、珍しい横参道なんですよ。」
「横参道?」
「普通、参道は拝殿に向かうように伸びているのですが、ここは神社に並行して参道があるんです。」





参道から一つ中に入ると修復中の楼門と拝殿の前に出た。

「楼門は国の重要文化財なので元々の材木を使って復元することになります。
なので実はこれ、まだ解体の途中なんです。」
「番号をふって、取り壊す方が大変ですものねー。」

「でも、ここの修復には伊勢神宮を受け持った宮大工さんが携わってくれてるんですよ。変な言い方ですけど、ここで技が引き継がれることは嬉しいです。」

母も私も一つ一つに「へえ~」と興味深く聞いていた。

「拝殿があった時は見ることが出来なかった神殿を今なら見ることができますので、ぜひお詣りなさってくださいね。」

「神殿は無事だったんですか?」
「損傷はありますが、楼門や拝殿のように倒壊はしなかったんです。」



「大きな揺れだったのにこの辺りは被害が少なく済んで、みんな阿蘇神社が身代わりになってくれたと言ってます。
それまでも参拝される方に身代わりのお守りを勧めてたんですが、あれからここで身代わり御守りを買っていかれる方が多くなりました。」




聞けば楼門は重要文化財なので国から費用が出るらしいが、拝殿などの修復費用の一切は神社負担となるらしい。
復旧には7年ほどを要するとのこと。
私たちは身代わり御守りを買った後、少しばかりの御奉賛をさせてもらうことにした。

偶然それに対応してくださって神官さんが地震当日当直だった方で、当時の話も聞かせてもらえた。


「全然想像もしてなかったけど、阿蘇神社にお詣りできて本当に良かった。」
母は今でもそう言ってくれる。



改めて、この地震でお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りし、被災された皆様にお見舞い申し上げます。
そして、一日も早い復興を願っています。



帰ろうとする私たちを先ほどのボランティア女性が見つけて駆け寄ってきた。
「お母さんがくまモンをお好きだと聞いて。ちょうど今貰ったものなんですけど、お母さん、どうぞ。」





そのあと、阿蘇神社の北宮とも称される国造神社も参詣した。





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Last updated  2017.06.04 19:32:16
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