脂春文庫

脂春文庫


<作家プロフィール>
職 業   HP店長
 齢     42歳
体脂肪   24%
著者近影
自画像


「平成おしり戦争」


<第一話>

 ある日、右のおしり工場と左のおしり工場の工場長が議論していました。
「今まで通り、おならはわしの工場で作る」と右の工場長が主張すれば、
「いいや、このままでは生産が追いつかなくなることは明白だ。
次の四半期はわたしの工場でも作る」と左の工場長が譲りません。
「おならの生産は長年積み重ねてきたノウハウが必要だ。付け焼刃は通用せん!!」
と右工場長が言えば、「左工場はトヨタ生産方式を導入し、社内の売店も
レッド売店とブルー売店に分けて効率化を進め、社内食堂でも
ロータリーいくぜあたい定食が一番の人気じゃ」と訳のわからない攻撃で一歩も引きません。
中立工場である、尻の穴工場長はなんとかこの場を収めようと、ある提案を出しました。
「これこれ、二人ともつまらんケンカをするでない。」
「おならというものは食べるものやこく時のシチュエーションによって、
 香りも音もまったく変えなければならないデリケートなもんじゃ」
「いがみ合っていてはナイステイストのおならは創造出来ん」 
「これからわしが設定した状況で最適のおならをそれぞれの工場で試作してみろ。」
「出来のよいおならを作った工場にロイヤルV8ハイブリッドフル装備賞を与え
、今後の主力工場とする」
「よいな。さてその課題とは・・・・」         
                                                  つづく。

<第2話>

さてさて困ったものだ。あのような課題が出されるとは・・・。
右のおしり工場長は、3杯目のぎょうざ丼にラー油を振りかけながらため息をついた。
問題は左のおしり工場長めがどんな手を使ってくるかだ。
きっととんでもない手を画策しているに違いない。
とんでもない手には超とんでもない手で対抗するしかない。
こういう時は彼に戻ってきてもらうしかなさそうだ。
と、1人つぶやきながら新メニューの水ぎょうざ丼大盛りを追加注文した。

その頃、左のおしり工場長は尾てい骨付近にある執務室で、秘書と共にデザートの
あんみつくずきりところてん3種盛りをパクつきながら、とんでもない手を画策していた。
完成した計画書を持たせた伝書鳩を飛ばしながら秘書は思った。
「本当にとんでもない手だわ。スタッフ※-ビスに電話しようかしら」

左右の工場でとんでもない計画が動き始めた頃、課題を出した張本人である尻の穴工場長は、
おやつのペロペロキャンディ5枚重ねゆず風味をねぶりながら、昨夜のことを深く深く思慮していた。
「思いつきで言っちゃったがまったくとんでもない課題を出してしまったものじゃ・・・」
                                                   つづく

<第3話>

その男が霧に煙る腋臭国際空港に着いたとき、やはり来るべきではないと感じた
自分の勘を信じるべきだったと、べきべき思った。
ぼきぼき外へ出ると迎えのリムジンがむきむきの肌色でどきどきした。
すでに後部座席に座っていた人物に軽く会釈をすると、大きな体を
折りたたむようにして車内に収まった。

「よく来てくれた。君さえ来てくれたら、君さえ・・・」消えるような語尾で
何かをつぶやきながら、右のおしり工場長は、男の大きな手を両手で包んだ。
常備薬の正露丸を忘れた事を理由に日帰りで帰ろうと考えていた男は、
工場長の震えながらも力強い、いやに熱い手に戸惑っていた。

「だいたいのところはお送りいただいた手紙で理解できました」
「秘策というほどではないが、打つ手は考えてあります」
「まあ、とんでもない事には変わりは無いですが・・・」 

「君も疲れているだろう。まずはホテルで体を休めてくれ」
「その話は明朝ゆっくりと話合おう」
「シェフには君の好物のすじ肉をたっぷり用意しておくよう頼んである」

すこし顔色に赤みがさしてきた工場長が今度はしっかりとした声で言った。
「ああ、正露丸の1kgパックをホテルの部屋に用意させてある。何も心配することは無い」
                                                 つづく・・・

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