誰か他の人の虹の端





昔、よく読んでいた片岡義男の小説やエッセイ。

捜したいところがあって、久々に手に取った。

何冊もあるのでどこにお目当ての箇所があるのか見当がつかない。

手当たり次第、パラパラとめくってみる。
簡単に発見されるわけがない。

片岡義男はアメリカ育ちのせいか、彼の読んだと紹介される本は
ほとんどがアメリカのペーパーバッグからである。

有名になった「かもめのジョナサン」やブロ-ディガンの「アメリカの鱒釣り」
なども、片岡義男の本から知った。

その中でとても気になる作品があった。

題名は「誰か他の人の虹の端」。

虹は登場しないけど虹の端は登場する。

銀行から盗んだ現金をスーツケースに収めて、土中に埋め、服役し、

その間、20年間ずっと、口を割らなかった男。

この現金をからんで、二人の孤独な男女が最後にはおたがいに
孤独でなくなるというお話。

ひとりで生きる人たちが、自分の行き方を必死になって進めていくと、

その結果として、はからずも、他人とのしっとりした熱いつながりを手に

入れてしまう。

そんな背景をもちながら、読み終えるまで、手離せないサスペンスの
連続の本だった。

そんなことを思い出しながら、わたしが調べようとした箇所は未だ出ず…

果たして、片岡義男だったのかという疑問まで浮かんできてしまった。


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