★★ 『ひとがた流し』～北村薫

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2008/04/21

深い信頼関係で結ばれた幼なじみの女性3人。
バツイチで写真家と再婚、娘と3人暮らしの美々、
やはりバツイチで娘とふたり暮らし、作家の牧子、
独身の民放局キャスター、トムさんこと千波　．．．の話。

3人がお互いを尊重し、
頼り合いながら生きていく日常が
細やかに語られる　．．．

　■□■□■□■□■□■□　

少し前にＮＨＫのドラマで放送していました。

主人公の千波が癌で亡くなる …
という大筋も知っていました。

しっかり者で気丈な千波は、
ドラマで主演した沢口靖子さんの
イメージにぴったりでした。

大筋からして、もっとウェットな話を想像していましたが、
拍子抜けするくらい淡々と描かれた作品でした。
一部、この作品の人気というか評価が低いのは、
この辺の好き嫌いの結果でしょう。

『玻璃の天』、『街の灯』
北村さんの作品は、ダイレクトな説明的描写を避けて、
「行間を読め」的なところがあるように思います。

集中して読まないと
肝心なところをつかみ損なってしまう　．．．
そういうプレッシャーも北村作品の味なのだと思います。
「読んだ…」

ただこの作品は、登場人物が皆しっかりし過ぎているのと、
群像的というか、千波以外にスポットがあたる部分も多くて、
ちょっと散漫な感じが残りました。

『ひとがた流し』　．．．まさに、タイトル通り、
川の流れのように、人生がたゆたう感じの作品でした。

満足度は ★★ ☆

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