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2008.09.01
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テーマ: 洋楽(3408)
カテゴリ: 60年代洋楽



プロデューサーの ジョージ・マーティン といったら、ビートルズを手掛けたことで有名な人物だ。
その貢献度の高さは "五人目のビートルズ" と呼ぶにふさわしい、というのは誰もが認めるところだろう。

だが、根っからの名裏方である彼の仕事はこれだけではない。
有名どころでは、ジェフ・ベック、アメリカ、チープ・トリック、ケニー・ロジャース、ウルトラヴォックス(←有名か?)などがあげられる。
エルトン・ジョンがダイアナ妃にささげたシングルである 「Candle In the Wind」'97年ヴァージョン もマーティンによるプロデュースだ。

ゲイリー・グリッター (ポール・レイヴン名義)、70年代ブリティッシュ・ポップ・グループとしてマニアに高い人気をほこる スタックリッジ など、シブいアーティストとの仕事もこなしていたりする。

エドワーズ・ハンドもそのひとつだ。
ロッド・エドワーズとロジャー・ハンドからなる男性ポップ・デュオである。
学生時代に出会ったという彼らは、'67年に一度ピカデリー・ラインという名前でデビューしたこともあったが、翌年にはエドワーズ・ハンドと名前を変えて再出発している。
そのデビュー・アルバムを手掛けたのがジョージ・マーティンだった。

エドワーズ・ハンドの1stアルバム『Edwards Hand』(上ジャケット)は、'69年にリリースされている。
本盤が録音されたのは'68年の秋。
ちょうど同じ時期にはビートルズが 『The Beatles』(ホワイト・アルバム) を制作していたのだが、ジョン、ポール、ジョージが別々のスタジオでそれぞれに作業を行うという状況下、マーティンは「休暇をとる」と置き手紙ひとつだけを残して、スタジオをしばらく離れてしまう。
その合間を利用して手掛けたのがエドワーズ・ハンドだった。


だが、彼らの曲を聴いて 感銘を受けた マーティンは、急遽引き受けることにしたのだとか。
出来上がったアルバムは、そんなウソかホントか知れないエピソードを裏付けるような佳作となった(当時はアメリカのみでの発売だったらしい)。
当時のジャケット帯には、「あのジョージ・マーティンがプロデュース」という宣伝文句がしっかり入っていたという。
また、このアルバムのエンジニアリングを手掛けたのは、これまたビートルズの裏方で知られる ジェフ・エメリック

本盤は、全11曲中10曲がロッド・エドワーズとロジャー・ハンドの共作である。
ポール・マッカートニー的ポップ・センス にブリティッシュ・トラッドの要素をまぶしたようなメロディ。
それがマーティンのプロデュース・ワークとうまく融合して、良質なポップ・アルバムに仕上がっている。
どれもいい曲だが、中でも個人的にイチオシしたいのが五曲目にあたる 「House Of Cards」 だ。

木管楽器の可愛らしい音色とキャッチーで美しいメロディが強い印象を残す。
コンパクトにまとめられた曲作り、 気品のある演奏 もチャーミングに響く。サビに入る瞬間の展開がなんとも気持ちいい。
地味すぎず派手すぎないアレンジのバランス感覚は、マーティンの手腕か。
ソフトで広がりのあるハーモニーも素晴らしいこの曲は、 中期ビートルズをよりメロディアスにしたような 逸品で、そのテのファンにはおすすめだ。
このアルバムがCD化されるだいぶ前に、 大枚はたいて アナログ盤を手にしたワタシですが、この曲だけでも 「買ってよかった と思ったものです。。。(しみじみ

また、このアルバム、最後の曲などは プログレッシヴなテイスト も感じられて興味深い。
…などと思っていると、次作『Stranded』(これもマーティンのプロデュース)のレコーディングにはあの ジョン・ウェットン (※)が参加していたと聞いて「おおっ」と驚く。
ビートルズとプログレの接点はこんなトコロにあったのか~ (笑
ともあれエドワーズ・ハンドのこのアルバム、埋もれさせておくには惜しいブリティッシュ・ポップの名品です。

つーコトで「House Of Cards」を聴くには ここ をクリック!


もうずいぶん昔のことですが、今でもエドワーズ・ハンドとのレコーディングはとてもいい思い出です。このアルバムが再発されて新しいオーディエンスの耳に触れることをとてもうれしく思っています。--------ジョージ・マーティン


※ キング・クリムゾン、U.K、エイジアなどのメンバーとして知られるヴォーカリスト兼ベーシスト





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Last updated  2008.09.01 07:12:55 コメント(2) | コメントを書く


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