大家さんとラファさん

birthdaycake

最初に二人で迎えた誕生日にもらったケーキ




ただ残念な事にここに住んでいて気が付いたのは、

ほとんどの若い住人達は家賃を払っているのに自分の時間を削ってまで大家さんの手伝いをしたくはなかったようだという事だ。




だからよく大家さんが誰かに、

  「これすぐそこの(5分位離れたところ)役所に持って行ってくれる?」

と頼んでも、

  「忙しいので他の人に頼んでください。あ、三階の日本人の子ならやってくれるんじゃないですか?」

などというやりとりがあった事を大家さんから聞いた。





ついでにこれは大家さんの子供達も同じような感じで、

大家さんが病院の予約があるので一緒に行けるか頼んでも、

  「ほら、あのmerenngueっていう子にちょっとお金あげて連れて行って貰えば?」

と言っていたようだ。





子供達兄妹は50代半ばほど、

大家さん夫婦が彼らが赤ちゃんの時に養子にもらったようだが、

話を聞くとそれはそれは大切に愛情をかけてきた子供達のようだったのに。




そんな中この二階のラファさんはそれはそれはしょっちゅう大家さんに呼び出されているのに、

全く断るそぶりも見せずいろいろと手伝いをしていた。




大家さんが転べば抱きかかえて起こしていたようだし、

(一度転ぶと一人では起き上がれなかった。

体重も100キロ近くあったのでラファさんがいないときは警察を呼んで助けてもらわなければいけなかった)



それは重いベッドのマットレスを三階から地下まで運べと言われれば「Yes, Ma'am」と言って運んでいたし、



夏の40度はあるであろうと思われるものすごい蒸し暑い日に扇風機を買って来て、

と頼まれれば大きな扇風機を買って汗だらだらになって担いで帰ってきたし、



地下が水浸しになったら四つんばいで2時間ほど拭き掃除をし、



大家さんの娘が勝手に置いていった猫の糞も始末していた上にかわいがっていたし、



出来るときは大家さんの洗濯もしていたようだし、



たまに大家さんが転んではいないかパトロールにも出ているようだったし、


(いつも窓辺から見える部屋に大家さんがいたので、いない時は中に入って声をかけていた様子)




ついでに部屋に戻る時は大家さんのおでこにキスをして去っていたらしい。




そんな様子を大家さんからよく聞かされ、

「彼は優しい人なんだな」、

と思っていたけれど実際に彼と話すようになるまではまだ時間がかかった。



地下室で、、、。へ続く






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