ヨカッタ探し

ヨカッタ探し

March 23, 2006
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カテゴリ: 読書ろぐ
田口ランディ『コンセント』

ある日、アパートの一室で腐乱死体となって発見された兄の死臭を嗅いで以来、
朝倉ユキは死臭を嗅ぎ分けられるようになった。兄はなぜ引きこもり、生きる
ことをやめたのか。彗星のごとく出現し、各界に衝撃を与えた小説デビュー作。
2000年6月に単行本で刊行、ついに文庫化。


読んじゃいました、初・田口ランディ。
名前が目立つせいか、読んだことないのに気になってました。
先日、他の本でも趣味が合う友のオススメにより、
読んでみよーと思ったのです。
しかーし、なんとなく、消耗しちゃうような気がしたので、
パワーある時に読まねば!!と思って、
ちょっと取り掛かりが遅くなりました。

主人公は、かつて心理学を学んだ、という設定だったので、

カウンセリングを求めたりします。
そして、律子という友人が主人公に語る、
「世界の全てを記憶しているホスト」という主題。
これは、ユングの集合的無意識、というのをイメージしてるのかな。
実は心理学を勉強していたりするわたしは、あれこれ思いがとびました。
ただ、転移と逆転移については、必ずしもカウンセラーとクライエントの
恋愛関係を意味する訳ではないんですが…。
まぁ、描かれ方としてしょうがないのかな。
かつてのシャーマンと現代のカウンセラーについても、
対立的な見方を物語中ではしてるんですが、実際に、シャーマンは
カウンセラーの源流と一般的にみなされてもいて、

(かろうじて国家とか、民族とかあったのが近代として)
全体を覆う幻想が存在しないので、かつてのように、同じ
癒しの物語をなぞることができない。
1対1という個別の心理療法が行われる必然性、というのもあって、
その辺にカウンセラーのしんどさがあるのかも。

と思って、だからこそ仕事を始めてから、巻き込まれて共倒れ
になるケースもあるのだろう。
じゃぁ、カウンセラーの禊ぎって?となると、わからないけれど…。

それから、”エロス”について。
セックスと淫乱と官能と感応…。
いやらしくない、と言えば嘘になるけれど、エロであってもグロくない。
主人公の行為についてはノーマルではない、と思いますが、
思考については、決して理解できないものではない。女として。
淫乱って、きっとH大好きな人のことじゃないんですよ。
それは、被支配欲であったり、媚びであったりするんだと思う。

で、現実と狂気の間をうろうろして、エロくもあったりするのに、
時々、ものすごいハッとする、どこか前向きな言葉があったりもして、
その辺のバランスにも驚かされました。

 そうだ。確かに未来と過去は相似形なのだ。
 この瞬間、たった今を変えなければ、同じような形の未来があるだけだ。


更には、解説では、フッサール、見田宗介、宮台真司らの言葉を借りて、
この作品について語られていて、かつて社会学を学び、彼らの著書を
読んでいた身としては、なんだか懐かしいような気持ちにもなりました。

読む前は、必要以上に遠いと勝手に思ってた作品でした。
でも、実は意外と近かった。
勝手な思い込みとしては、結局これっての
話なんでしょー?というのもあったけれど、これも外れた。
そういう次元の話ではない、のでした。
…ただ一つ、やっぱり予想通りだったのは、精神がいいように
揺さぶられて、消耗が激しい、ということ。
まぁ、実生活で無意味に情緒が安定してるので、こういうことも
あっていいんだけど。






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最終更新日  March 25, 2006 01:27:37 AM
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