

(大きさがかなり違いますが、そろえるのがめんどくさいのでこのままで・・・。同じサイズの本の表紙写真です)
『イン・ザ・プール』『空中ブランコ』(著者・奥田英郎)
この2冊、超おもしろかったですよ~!
シリーズ3部作のうちの2冊なんですよ。
舞台は伊良部総合病院地下の精神科。
そこにやってくる患者達が、かなり奇妙な精神科医、伊良部の治療のもと、
病んだ心を回復させていくまでの、いくつものストーリーが描かれています。
伊良部がかなりのキワモノなんですよねー。
見かけは色白デブ、髪はボサボサ(おまけにフケが浮いている)、マザコンおぼっちゃま、
注射狂(刺すほう。患者に有無をいわさず、ビタミン注射を毎回、打ちます。爆)と・・・、
主人公らしい、かっこよさは皆無。
だからって性格がいい、というわけでもない(笑)
で、おもしろいのが、伊良部の治療法。
ふつうとは違う、というか、それ治療なの!?って感じなんです。
伊良部の元を訪れる患者の症状はさまざまです。
毎日長時間泳がずにはいられないプール依存症、
自分が一番美しいと信じて疑わない妄想癖のコンパニオン、
ケータイを失うと左手が震えだすメール依存症の男、
先端恐怖症のやくざ・・・・。
伊良部はそんな彼らの奇癖を上回る、奇怪な行動を取り、
逆に彼らをあきれさせます。
すると、あ~ら不思議、いつのまにか患者たちの症状が軽くなっているのです。
その伊良部の行動が毎回笑えます!
たとえば破壊衝動をもつ、大学時代の同級生が患者のとき。
この同級生は、同じ大学病院の学部長の娘と結婚したときから、周りの目を気にして、
常に「いい人」を演じてきました。そこへ突然おそってきたのが、破壊衝動。
反社会的な行動(といっても犯罪ではない)を取りたくてしょうがなくなるんです。
とくに強烈なのが、学部長の義父の「ヅラ」をはぎとりたい!!という、
やっちまったら君に明日はないだろう、という衝動(爆)。
でも、伊良部はそれをおもしろがって、先導していたずらを計画し、
ヅラをはぎとってしまうんですよね・・。
それが、まったく作為的ではなく、いたって天真爛漫なんですよね、伊良部は。
読んでいると、ふと患者たちと自分を重ねてしまうときがあるんですよね。
彼らの奇癖や神経症は、必要以上に自分をよく見せようとしたり、
何かに執着して心に厚い壁をつくっていたり、
自分の弱さをごまかすために何かに依存していたり、
の結果、生じた病気なんですよね。
現代を生きる大人たちなら、だれもが思い当たる部分です。
伊良部はその正反対の人間として描かれています。
いつも自分らしく、自分に自信があって、自分をいつわらない、自分にうそをつかない。
この本を読んでいると、ああ、私もいろいろと心に色々なものがたまって、
疲れてるんだなーということに気付きます。
そして、患者の回復の様子を見て、
「自分は自分のままで、自分らしく、でいいんだなあ」と思わされ、心が軽くなります。
文章は1つ1つ短くて、めっちゃめちゃ読みやすいのでおすすめですよ。
amazonのレビューでもかなりの好評価で、実際、ロングセラー。いつも書店では平積みされていますよー。
ま、あまりに「自分らしく」とかそういうのを追求すると、人に迷惑をかけることもありますのでね(笑)。
いま、映画「フラガール」をテレビでやっていたので見ながら、ブログを書いてました。
昭和初期の女性は、いろいろな「ガマン」があったのですね。
だからなのか女性らしい強さがありますね。
いまは色々なものがありすぎて、選択肢を与えられすぎていて、
それはいいのか悪いのか、最近わからなくなってきました(笑)。

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