PUREO CLUB

母の話では母が会館に出かけようと出た時に一緒について外に
出てしまったらしく・・・。
出てすぐ、うちの前で事故にあったようです。

彼女は私がＯＬの頃、先輩が野良猫を拾って飼い主を探してたので
私の住んでいるワンルームマンションでは
ペットは禁止とわかってて、もらってきた。
だもので、交通量が多いとこに住んでたのもあって
外に出す訳にはいかず、ずっと狭い部屋の中で飼っていたの。
今考えれば遊び盛りの子猫を閉じ込めててかわいそうだったな、って思う。

職場で主人と出会って、婚約し、主人が東京勤務になって
私が主人に東京について行く事を決めた時から
一緒に連れて行くわけにはいかず、実家に預かってもらった。

娘は気楽に実家に預けたけれど
実家では「とんでもないモン預かってしまった！」って感じだった。
だって彼女はとってもヤンチャだったから。

廊下は走りまわる、壁、柱には爪とぎする・・。
大好きな物が机の上に乗ったら盗りにくる・・・。
うちに来るお客さんには威嚇する。
最初の頃はホトホトそのヤンチャ猫に手を焼いたようで。
でもオシッコのしつけはちゃんとできてたので
両親に追い出されずにすんだようだ。

そんなとんでもないヤンチャさんだったけど
父は二番目の娘のように彼女をすごくかわいがってくれた。
母があきれるぐらいに。
「私にはアレコレうるさく怒るくせに何でこの子には
怒らないの！！」と母はよくボヤいていた。

彼女はいつも父の側から離れなかった。
父が帰って来たらすっ飛んで玄関までお迎えに行ってた。
猫も「誰が一番自分を愛してくれるか」ってわかるんだね。

彼女はここ数年の家族の歴史をずっと静かに見てきた猫だった。
私の結婚、出産・・・。
おばあちゃんの病気、そしてお葬式・・。
弟の結婚、義妹の出産・・・。
彼女が実家に来てからもう、１５年は経っていたから。

母に彼女が事故にあったメールをもらってから、
一番かわいがっていた父が心配で電話をかけた。

「お前には今度うちに来たら、報告するつもりやったんやけどな。
もう川原に埋めて、線香もあげてきたから安心してくれよ。
もうちょっと長生きさせてやりたかったんやけどなぁ・・。」

とってもおだやかだったけどさみしそうな声でそう話してくれた。

「今までお世話かけたね。父さんが一番かわいがってくれたもんね。
これからさみしいかと思うんだけど・・・。
本当にありがとうね。」
そう声をかけるだけで精一杯だった。

私も今は心にポッカリ穴があいたみたいだけど・・。
実家の父や母は
朝早く部屋まわりをして、起こされたり、
エサをくれるまで足にはりついて、歩きにくかったり、
部屋中に毛がいっぱい舞っていたり、
彼女用のハムを買ったり・・・。
そんな日常の些細な事がなくなるのが
私よりもっともっとさみしくなるでしょうね・・・。

でもものすごくかわいがってもらったから
彼女はすごく幸せな猫だったと思う。
それから、家族も彼女と出会えて幸せだった。

本当に本当に、ありがと。さよなら。