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独り言 反 女権主義
wikiの「反フェミニズム」07,3,9現在
反フェミニズムには、時勢に応じたその時々のフェミニズムに対する対論を含む。現在でも、フェミニズムを批判する者ら(知識層含む)とフェミニストと呼ばれる者ら(知識層含む)の対立は続いている。その一方で、フェミニズムは多義的な概念であり、一人一派というべきものであるため、「フェミニスト」と一括りにして批判されるべき実体が無いとする指摘もある[1]。
反フェミニズム思想を持つ者は、政治家・教職者・企業経営層(保守層・右派)から、サラリーマン(中流層)、フリーター・ニート(弱者層)まで幅広い層に存在する。
[編集] 反フェミニズムの主張と類型
フェミニズムやフェミニストが「男女平等の実現」という基本概念が共通している以外は多種多様なものである[1]のと同様、反フェミニズムや反フェミニスト(アンチ・フェミニスト)にも、「フェミニズムに反対する」という基本特性以外には、様々なタイプが存在する。主なものとしては以下のタイプがある。 (但し、個々のアンチ・フェミニストがどれか一つの類型に完全にあてはまるというよりも、複数のタイプにあてはまる場合もある。例えば、タイプ3の傾向が少し混じったタイプ1やタイプ2のアンチ・フェミニストなども存在する。)
[編集] 1.「性別役割分担肯定(ジェンダーフリー反対)」型
男は男らしく、女は女らしく生きることが生物学的にも社会的にも自然であり、男性と女性は異なった役割を有していると主張するタイプ。
家事・育児はもっぱら女性の役割とする主張を有するものが多い[2]。
男女平等(男と同様女も幸せであるべきだということ)にはあからさまに反対しないものの、男女平等の実現の手段として、伝統的な「男は男らしく・女は女らしく」という価値観の社会構成員への押し付けと男女の役割分担を否定するタイプのフェミニズム(ジェンダー・フリー推進型)を「家族の解体」と「男女が敵対する社会の実現」とみなし、そのような施策に反対する。男女共同参画社会基本法の廃棄を目指す「美しい日本をつくる会」などが典型例である。
何をもって「男らしさ、女らしさ」、「男の役割、女の役割」を定義するのかについては、個々の社会や個々人において異なる[3]が、伝統的な日本の武士道では、いわゆる「夫唱婦随」が男女の役割であるとされてきた[4]。
現代社会は男社会だと認め、総じて男のほうが女よりも有利に扱われていることを認識しながらも、社会秩序のためにはいくらかの女性差別は社会が甘受すべきものであり、必要悪だとする考え[5]の者が多い。
このタイプの男性
男性でこのタイプの思想を有する者には、社会的な男らしさを有している者(富裕層・支配層の自己肯定)や、男性本能が強い(良く言えば異性としての女性に対する愛情が強く、悪く言えば女性に対する性欲・支配欲が強い)者が比較的多いと考えられる(但し、必ずしも全員がそうだというわけではない)。
企業社会で役職の高かった人は定年後も女性を蔑視する傾向にありがちであることが報告されている[1]。
男性政治家には、「男らしさ」に固執するあまり、男性から妻や恋人以外の女性への過剰な性欲も正当化したり、子供がいない女性や年配女性を卑下する発言などがしばしばみられることがある(下記の有名な「反フェミニズム発言」参照)。
このタイプの女性
女性においてもこのタイプの思想を支持する者もいる。既にそのような人生を選択した後で、現状維持が有利な状況にある者、自らは経済力がなく、男性に依存した方が総合的にみて有利な状況にある者、尊敬できる男性と所謂上方婚ができたため、自分は黒子に徹することを選択した者、職業上、男性権力者に迎合することでもっぱら自分の地位を築いた者などがその代表例である(但し、必ずしも全員がそうだというわけではない)。男性の場合とは反対に、政治家やタレント(芸能人)、一部のキャリアウーマンなどで、男性の目を意識し最大公約数的な支持を得ることが得策な職業の者の場合は、自分自身はフェミニストが推奨するような人生を歩んでいても、対外的には性別役割分担を肯定するスタンスをとる者もいる。(細木数子や佐藤ゆかりなど。)
批判・指摘
このタイプの反フェミニズムについては、「男らしさ、女らしさ」を単なる形式・概念としてとらえるのではなく、それを社会における男女の役割にまで拡張する点については極論ととらえられることも多い[6]。
また、「ジェンダーフリー教育や男女共同参画社会に疑問を呈する人たちは、そうした考えを『男らしさ・女らしさをいっさい排除しようとする極端な思想だ』と指摘しておきながら、自分たちも『すべての男は男らしく、すべての女は女らしく』、『それは誰にとっても生まれつき決定されていることなのだ』と極論に走るのはなぜなのだろう」との指摘もある[7]。
[編集] 2.「男性差別主張」型
男性差別に書かれているような項目を男性差別だと主張するタイプ。これらの差別は、行政や経済界の権力者(もっぱら男性)により設けられ、運用されているものであり、男女同権主義(フェミニズム)によって達成されたものではないのであるが、批判の矛先が女性や女性フェミニストに向けられることが多い。
また、司法・警察の痴漢冤罪や、暫定的な防止措置として行政・企業が設けた女性専用車両も批判する。(例えば、フェミニストの主張を「SF」と表現し、「女性専用車両には『男=ワル』と薄いペイントが施されていて、サブリミナル効果によって人々を洗脳している」などと主張する[8]。)
このタイプの主張は、伝統的には「男らしくない」主張と社会からみなされるため、現実社会でこのタイプの主張を声高に主張する者は比較的少ない。彼らの活動の場はもっぱらインターネット掲示板やブログなどである。
[編集] 3.「女性蔑視(ミソジニー)」型
「男は女より高く扱われて当然」と身分差別・人種差別(黒人蔑視等)に似た思想(蔑視感情)を女性に対して有するタイプである。タイプ1(性別役割肯定型)の「男は男らしく女は女らしく」という主張に便乗し、女性蔑視的な男尊女卑を復活させたがる傾向がある[9]。
社会生活上、表立ってこの手の主張をする者は比較的少ないが、インターネットなどでは普段抑えている本性をあらわにする者もいる。
専業主婦となる女性を選んで結婚しながらも(タイプ1的な行動)、定年後妻から三行半を突きつけられると「女は男と同等の義務を果たしていないのに同じ金銭上の権利を受けるのはおかしい」と主張(タイプ2的な言動)する者や、性別役割を肯定し、自分は女性社員を決して男性社員と同等に扱わないのに(タイプ1的な行動)、形式的には女性にも機会がゼロではないことをもって企業社会における男女不平等を否定(タイプ2的な言動)する者など、自らの行動と言動が一致していない者もこのタイプの亜流といえ、女性蔑視の気持ちが根底にあるといえる。
一方、自分も女性であるのに、他人の女性に対してはこの思想(蔑視感情)を有する者もいる。現在では昔より少なくなってきてはいるが、伝統的な姑の嫁いびりなどがその代表例である。
[編集] 4.「宗教」型
宗教上の思想から、教団組織として男女の性別役割分担を肯定し、信仰上の教義として生活上で実践する(させる)タイプ。統一教会などカルト教団もこのタイプである[10]。但し、男女の性別役割分担に肯定的な教えを宗教の伝統として尊重するものの、時代に応じた解釈を加え実践には必ずしも拘らないカトリック教徒などは含まれない。
[編集] 5.「右翼思想」型
従軍慰安婦問題(否定)や靖国参拝問題(賛成)と同時にフェミニズム批判がなされることが多いのが特徴である。グーグルで「ジェンダー」を検索した際に現れる唯一のスポンサーである日本政策研究センターがその代表的なものである。フェミニズムの側では、フェミニズム推進(女性の地位や経済力向上)と同時に、痴漢冤罪を受けた男性の救済や、「日の丸・君が代」、総理大臣の靖国神社参拝反対などを主張して活動する左派(国家の思想統一よりも、思想の自由や個人の人権を重視する立場)があるが、その正反対の動きをしているのが右翼型の反フェミニズムである。
[編集] 問題点
タイプ1とタイプ2は、同じアンチ・フェミニストであっても思想的には正反対である。それにもかかわらず、両者ともお互いを批判するのでなくフェミニストを批判の矛先とすることが多い。当然フェミニストにも、(a)生物学的な差異を除き、基本的に男女を対等な存在として権利と義務の双方の同権を主張する者[1]、(b)社会的な女性性や、その時代において女性の置かれた立場を考慮し、女性の待遇の改善や女性に対する配慮を主張する者[11]、(c)その中間的な立場をとる者などが存在するのであるが、(しばしば意図的に)これを混同し「フェミニスト」が批判の矛先とされることが多いので、議論が紛糾しがちである。
[編集] 有名な反フェミニズム発言
石原慎太郎(現東京都知事)「文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババァ」(2001年11月)[12]
→都知事側があくまでも発言の非を認めない態度に終始したため、原告113名が慰謝料を求めて損害賠償請求訴訟を提起したが、裁判所は発言の違法性と不適切性は認めたものの、都知事の発言は女性全体への侮辱にすぎず、原告ら個々人の名誉を傷つけたものではないとして請求を棄却している。(→石原慎太郎東京都知事「ババァ発言」事件)
小泉純一郎(元総理大臣)「涙は女の最大の武器だって言うからね。泣かれると男は太刀打ちできないでしょ」(2002年1月)
森喜朗(元総理大臣)「子供を一人もつくらない女性の面倒を、税金でみなさいというのはおかしい」(2003年6月)
太田誠一(元総務庁長官)「集団レイプする人は、まだ元気があるからいい」(2003年6月)[13]
福田康夫(元官房長官)「女性にも、いかにもしてくれっていうの、いるじゃない。そういう格好をしている女性の方が悪いんだ」(2003年6月)
ローレンス・サマーズ(元ハーバード大学学長)「理数系の分野で活躍する女性が少ないのは、男女に生まれつきの違いがあるからだろう」(2005年1月)
→ハーバード大学内外での批判を呼び、2ヵ月後、ハーバード大学で前代未聞の学長不信任案が教授会で可決された。
菅直人(民主党代表代行、元厚生大臣)「愛知も東京も経済がいい。生産性が高いといわれるが、ある生産性は、一、二を争うぐらい低い。子どもを産む生産性が最も低い」(2007年1月)
→少子化問題を商工業の生産性と同列視して揶揄するものであり、同様の発言である「産む機械」(柳澤厚生労働大臣)よりも9日前のことであったが、それが当初は広く報道されなかった中で先に柳澤発言が話題となると菅直人は自身の発言は差し置いて柳澤厚労相に対しては大臣の辞任を求めるなど強く批判していた。
柳澤伯夫(現厚生労働大臣)「女性の数は決まっている。(機械と言っちゃ申し訳ないけど)産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭でがんばってもらうしかない」(2007年1月)
→女性を「機械」「装置」に喩えたことや、発言の内容を「少子化の責任をすべて女性に押し付けるもの」と解釈し、これを女性差別だと主張する野党の民主党・社民党・共産党などの他、与党内の自民党・公明党からも不用意な発言だとして批判が相次いだ。
[編集] 参照
^ a b c 上野千鶴子・小倉千加子『ザ・フェミニズム』 筑摩書房・ちくま文庫
^ 三砂ちづる『オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す』 光文社
^ 2004年2月20日の読売新聞朝刊は、同年2月17日に同新聞が日本の高校生が「男は男らしく、女は女らしく」という概念を否定する傾向が強くなっている意識調査結果を発表したことを受けて「何を男らしい、女らしいと考えるのかは、民族、国、時代により異なる」としている。
^ 新渡戸稲造の『武士道』には、「第14章 婦人の教育および地位」において「女子がその夫、家庭ならびに家族のために身を棄つるは、男子が主君と国のために身を棄つると同様に、喜んでかつ立派になされた。自己否定(中略)は男子の忠義におけると同様、女子の家庭性の基調であった。(中略)女子の果たしたる役割は、内助すなわち『内側の助け』であった。奉仕の上昇階段に立ちて女子は男子のために己れを棄て、これにより男子をして主君のために己れを棄つるをえしめ、主君はまたこれによって天に従わんがためであった。」とある。
^ 『武士道』新渡戸稲造
^ 読売新聞2004年2月20日の社説では、「性差による就職差別、家事や育児の女性への押しつけなど、社会に残る男性優位の構造は改めなければならない。男尊女卑などは論外だ。だが、性差別の解消と性差の否定とはまるで違うものだ。」として、家事・育児の分担や女性の企業社会への進出を、性差の否定とは別次元のものと位置づけている。
^ 香山リカ『いまどきの「常識」』岩波新書P66
^ 『男と女の戦争―反フェミニズム入門』千葉展正
^ 慶應義塾 塾員ネットワーク福澤メッセージ(福翁百話)
^ 「世界日報」(統一教会系新聞)2006年12月10日社説
^ 例えば、最高裁判事の横尾和子は戸籍上の妻ではなく内縁の妻に対して遺族年金の受給権利を認めた2005年4月21日の最高裁判決において、判決に関与した最高裁判事の中でただ一人、「戸籍上の妻との婚姻関係が形骸化していたとはいえない」として反対意見を出している(最高裁判所平成16年(行ヒ)第337号)。
^ 「石原発言に怒る会」(石原裁判原告団)ホームページ
^ 太田議員に対する『レイプ容認』発言に対する要求書(社民党女性国会議員団)
[編集] 参考文献
『男と女の戦争―反フェミニズム入門』(千葉展正著)ISBN 4886562469
上野千鶴子・小倉千加子『ザ・フェミニズム』 筑摩書房・ちくま文庫 ISBN 4480863370 他
三砂ちづる『オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す』 光文社 ISBN 4334032664
[編集] 関連項目
フェミニズム
男女共同参画社会
性別役割分担
男性差別
ミソジニー
男女同権
国際結婚
石原慎太郎
柳澤伯夫
細木数子
ローレンス・サマーズ
ババァ発言
統一教会
"http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%8D%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0" より作成
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