独り言 反 女権主義

独り言 反 女権主義

語られざる男性差別の記事

米国でも“主夫”は少数派だが、選択肢の1つとして考慮しようとする動きはある。筆者は昨年 11月に、米ミズーリ州カンザスシティーで専業主夫の会議を取材した。主催者は、同市の専業主夫グループ。育児のノウハウ、仕事で忙しい妻とのコミュニケーション、専業主婦と上手につき合う方法などについて、体験を共有することを目的に開かれた。

 会議には、平均年齢3.5歳の子供を持ち、育児に専念する男性が全米から約100人集まった。参加者によれば、彼らが専業主夫になれるのは、妻の収入が十分に高いためであるという。米国女性の経済的地位の高さゆえに成り立つ家族形態のようだ。

 米国の転職サイトCareer Builderの2005年の調査によれば、18歳以下の子供を持つフルタイムで働く男性の49%が、「妻の収入で家計を支えられるなら、仕事を辞めて専業主夫になりたい」と答えている。

 年齢別では、36~50歳の男性に専業主夫志望が最も多く、この年齢層の53%が、可能なら仕事を辞めて家で子供と過ごしたいと答えた。

 これは実現性のある数字だ。米労働省が2003年に3300万組の共働き夫婦について調べたところ、25.2%の妻は夫より収入が多かった( “Women in the Labor Force: A Databook”66ページ参照(PDF))。筆者は現在、子供を持つ米国人夫婦に家事育児分担についてインタビューしているが、特に意識しなくても「家計を支える妻と専業主夫」というカップルにしばしば出会う

 先日も、完全歩合の広告営業で月4000~1万2000ドル(約48万~144万円)を稼ぐ妻と専業主夫に話を聞いた。「彼女は、僕が外で働いた場合の3倍の額を稼ぐ」と夫。妻は「私は大学を出ていないけれど、自営業やセールスなら稼げる。この仕事には向いていたようで、年収が毎年倍増している」と言う。

 この夫婦の10代の娘さんは、「将来はサッカーで奨学金をもらって大学へ行きたい」としっかり者。妻は自分の適性を冷静に見つめて家計を支え、夫は育児責任を果たす。…外で働くのも育児をするのも、こんなふうにどちらか得意な方が担当すればいいのではないか。

自殺、労災、病気…。差別されているのは男性、との意見も
日本に比べて、男性の選択肢が増えてきた米国。そのためか、既存の男女観に疑問を投げかける声も多い。『The Myth of Male Power』(Warren Farrell著、Simon &Schuster、1993年)は様々な数値や事例を挙げ、「男性が女性を抑圧している」という常識に対抗する。例えば兵役に就く人の圧倒的多数は男性だ。米国で男性政治家は、過去に兵役に就いていたかどうかが問われる機会が多い。イエスと回答することは、国家への忠誠心を計る尺度と見なされるためだ。一方、女性政治家が兵役経験について問われることはない。

 著者のファレル氏は男女の職業上の棲み分け実態を紹介する。消防士、木材の伐採、大型トラック運転手や、建設現場や炭鉱での労働者など、危険な仕事に就く人の97~99%は男性である。そのため労災で死亡する人の94%が男性。「男性の方が危険な仕事に就いているので、平均賃金が高いのも当然」と主張する。一方で、秘書や受付業務など安全な仕事は97~99%は女性が占めてる。

 ファレル氏は、男性の命は「捨てられてもいいもの」と見なされており、これは差別ではないか、と説く。ホームレスや囚人の死亡者数も男性が圧倒的に多い。もともとホームレスや囚人は男性が多いためだが、男性がこうした状況に陥りやすいということ自体、ファレル氏に言わせれば差別ということになる。

 これらの数字がもしも男女で逆なら、フェミニストは「女性差別だ」と批判するだろう。ファレル氏は女性団体の役員を何度か経験している、いわゆる進歩的な考えの持ち主。そういう人でも、「女性に優しく男性に厳しいダブルスタンダードはおかしい」と、異議を唱える。


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