猫旅に出る ~ある生物系学芸員の日記~

猫旅に出る ~ある生物系学芸員の日記~

標本作製 その1(グロ画像注意!)


死体を見るのが怖いとか気持ち悪いという方は見ないほうがいいです。
一方、研究あるいは趣味で標本を作っている人の参考になればいいなと思います。
また、標本の作り方等に関してアドバイスいただけるとありがたいです。
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さて今回の主役はニホンイタチ君。
道路で轢かれてしまったようですが、その割には外傷もなく綺麗な子でした。
このサンプルは むさんが さんに提供していただきました。
いつもありがとうございますm(_ _)m

この子は冷凍庫に2ヶ月ほど眠っていました。
凍っていると解剖できないので、まずはぬるま湯で解凍です
解凍が終わったら解剖?
いえいえ、その前に外部計測をします。
僕は体重、頭胴長、尾長、耳長、後足長(爪を含めた長さと含めない長さ)を測ってます。
外部計測が終わったら、解剖を始めます
まず、お腹側の正中線に沿って肋骨の下からお腹の辺りまで切り込みを入れます。
次に皮と肉の間に指を突っ込み、皮と肉を剥がします。
メスとはさみと指でどんどん剥がしていきます。
足先まできちんと剥がそうとすると時間がかかりすぎて大変なので、足先の肉・骨は皮の方に残します。
前足は橈骨・尺骨と手根骨の間で切り離し、後足は頸骨・腓骨と距骨・踵骨の間で切り離します。
尻尾は腹側正中線に沿って切り込みをいれ、骨を取り出します。
こうして、皮と(骨付き)肉の分離が完了。
お腹周りと尻尾にはたくさん脂肪が付いていました(白い部分)。
厳しい冬を乗り越えるために蓄えたものなのでしょう。
しかし彼は待ちに待った春がやってきた頃、命を落としてしまいました。

ここまでで約1時間。
サンプルの状態によっては30分でできるのですが、この子の場合外傷は無くても内臓が皮筋を破って飛び出していたためちょっと手こずりました。
まだまだ修行不足です。

頭部の拡大画像。

上の写真の矢印は側頭筋(そくとうきん)、下の写真の矢印は顎二腹筋(がくにふくきん)を指しています。 側頭筋は肉食性の強いもので大きく発達する傾向があります。
顎二腹筋は、、、、
ごめんなさい、勉強不足です…

次にお腹の皮筋を切って内臓を取り出します。

肝臓を小さく切って99%エタノールに漬けます。
これはDNA解析に使えます。
消化管は70%エタノールに漬けます。

十分固定した後で、消化管の中身を調べると何を食べていたかが分かります。

骨付き肉は70%エタノールに漬けました。
いつもは鍋で煮込んで骨にしているのですが、筋肉を観察したくなったのでアルコールでしばらく固定します。

皮の方に精巣が付いていました。

精巣の長径と短径を計測してみました。
左右で大きさが違います


皮はしばらくミョウバンと食塩の溶液に漬けておきます。
こうすると、タンパク質が変性して毛が抜けにくくなるそうです。
(2)につづく。

Key words: 解剖,骨格標本,仮剥製

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