13:LA編・悪夢6~極悪~

13:LA編・悪夢6~極悪~


考えたくはない。しかし、しかし俺は選択しなければならいのだ。

それが男ってもんだ。

勇気を出してガソリンスタンドに寄るか、、、勇気を出して車で寝るか。。。。
どっちも非常にデンジャラスなのであるが、その時!!

キラーンとすばらしいアイディアが俺の頭をhitする!!

ガソリンの余裕が少しでもあるうちにガソリンスタンドに行き~
やばそうなら逃げればいいのだ!
    →平和そうなスタンドを探してさすらえば良いのではないか!!

俺ってなんて天才なんだ!!自分の頭を撫でてあげたい気分だった。


ディズニーランドらしき建築物を越え、しばらく行くと
今度はとても大きなカジノらしき建造物発見!!
この辺ならにぎやかそうだ。よしこの辺で高速を降りよう!!

そして高速を降りたのだが・・・

カジノ以外に建物が~茂み以外何もないのだ。
高速は一般道路の上にあるから下界がどうなっているのか見えなかったのである。

ヘッドライトであたりの茂みを照らす。








・・・・・・うようよと
バイオハザードのゾンビのようなホームレス
が茂みにたっくさんいるのである・・・


怖すぎる・・・

そしてガススタを発見!!
客はいないし、売店の作りも日本と同じ!!

ここにしよう。



車をガソリンスタンドへ
店員はメキシカンっぽかったから(英語のなまりが強く聞き取り難いので)
現金で払うのを辞め、カードで払う事にする。
アメリカのスタンドはセルフが基本だから、支払いも機械にカードを入れるだけ・・のはず。

カードを入れると、手始めに家の郵便番号を入力せよ、と表示される。
しかし入力欄は5桁しか入力できない・・・
当たり前だ。アメリカの郵便番号は5桁なのだから。


あの~~僕のおうちの郵便番号7桁なんですけど・・・


一応入力したが、やはりエラーが表示される。再び同じ事をしたのだが無理だった。
カードが駄目なら現金を売店に払いに行かなければならない・・・



そんな事をしてるうちに、白い大きなバンがすーっと止まり
身長2メートル位、
白のタンクトップから両腕に刺青ぎっしりで
俺の足位太い腕の白人がスケボーしながら、
そしてかなりデブのこれまた体中刺青だらけの
白人二人の計三人組が車から降りて売店に入って行く。





どう見ても極悪だ。













まさか強盗?



今日なら何が起きても不思議じゃないし、もうびびりもしない。




ピストルで撃たれない限り逃げられる距離にいると判断した俺は、遠めで中を観察。



今は売店には行きたくない。
今は絶対に嫌だ。日本人は鴨にされる。

その極悪三人組は酔ってそうだが、店内でふざけあってはいるものの
何かをちゃんと購入し車に戻っていった。


よし、チャンスだ。


俺は売店に向かう。喉が渇いたからコーラを買い、そして道を店員に尋ねる。
相手はメキシカン、発音はめちゃくちゃで俺の語学力では
何を言っているかさっぱりわからない。。。

困ったな~とお手上げ状態のその時である!!




















あの極悪三人組が、、、またもや車を降りて

こっちに向かってきているのが
見えるではないか!!

明らかにこっちに向かっている!!

絶対こっちに向かっているのである!!


奴らは清算も買い物も終わっているのだ。
普通に考えて売店に来る用事はないはずなのだ!!!



やばいぞやばいぞやばいぞ
まじでやばいぞ。
これ、本当にまずいぞ。


しかも逃げ道はない。


しかも三人とも俺より縦にも横にもでかい。
とても勝てる気がしない。俺は10年間空手をやってきたんじゃないのか?

いや、ぜって~むり!
さてどうする?焦らずこんな時程冷静になれ!
しかし冷静に考えても、奴らがこっちに向かっているのは事実な訳で、
選択肢はそう多くはない。

奴らに買い忘れがあるだけならそれで良い。
しかし、俺が狙いならば、もしくはこの売店が狙いならば・・・
メキシカンの店員が助けてくれれば良いが、あてにしない方が良い。
アクシデントが起きた時は常に、最悪の事態に備えるに越した事はないのだ。。


もう奴らはすぐそこだ。近づいて来ている。


覚悟を決めた。なるようになれ。
自分を信じてそう思うしかなかった。


奴らが歩いてくる。
でかい声でじゃれあいながら。顔は真っ赤だ。

酔ってるのか・・・やっかいだ。酔っ払いは痛みに強い。


集中した。三対一。無傷で終わるはずがない。。

なつかしい。試合の前の様な気持ちになる。
アドレナリンが脳からどんどん分泌されるのがわかり、
心の中でもう一人の自分の中の狂気が目を覚ます。


奴らはもうすぐそこ。

どんどん近づいて来ている。

奴らから視線をそらす。



戦闘準備は出来た。なるようになれ。もうどうでもいい。






バターン!
奴らが扉を開けた。背中越しに強烈な酒臭さと共に三人の存在を感じる。






その時であった!










いきなり肩を抱かれる形で、
ガバっと 後ろから
押さえ込まれてしまったのだ!!












終わった・・・
本当にそう思った。






これじゃ~何も出来ない。俺はこれからどうなるのか?






すると突然一人が耳元で、

大声で怒鳴ったのだ!























「お前日本人だろ!?
こんな時間にこんなとこで何をしているんだ!!」







『えっ?』

この外人は何言ってんだ?





「だから、こんなとこで何をしているのかと、
聞いているんだ!!」




『えっ!?』





『いや、サンタモニカに帰りたいのだが道に迷って・・・』



「はっはっは!そうかそうか、
こんな危ないとこに日本人がいるから何をしてるのかと思ったんだ。
この上の高速を○○マイル行くと分岐点に出るから、それを左に行け。
そしたら着けるぞ。」




俺は何がなんだかわからなくてもうろうとしながらも、
『さ・・・さんきゅう・・・』とだけかろうじて答えた。




「な~んだ、この日本人道に迷っただけだってよ。行こうぜ~」



と言って酔っ払い極悪三人組は車に戻っていった。

極悪じゃね~よ!

もしかして、もしかするとめちゃめちゃいい奴らだったのかもしれない。
いや、、めちゃめちゃいい奴らじゃないか!!


わざわざ心配して車から戻って来てくれたのである。
感動せずにいられるだろうか!!


体中から汗が吹き出たが、涙まで出そうになった。


こうしてガソリンを満タンに詰めた俺は、
あまりの感動に泣きながらサンタモニカへと向かった。


もちろん彼らが教えてくれた道通りに進み、その一時間後~
俺は無事にサンタモニカのユースホステルに辿り着けたのである。

なんという一日だったのだろうか。

人生史上最悪な一日は、
人を見かけで判断するなという教訓を俺に与えてくれた。


そして、アメリカをなめるな! という現実と
日本ではあり得ない光景と景色と・・・そして感動を与えてくれた。


あの時、俺がもっと英語が堪能だったらあの極悪三人組にもっとお礼が言いたかった。
飲みに行ってもいい位だった。

『ありがとう』しか言えなかった自分が悔しい。






たぶん彼らには、もう一生会えないだろう。
でも、彼らの事は一生忘れないだろう。。





この一日の出来事は、あまりにもたくさんの事がありすぎて帰国後~
誰にも話せなかったのだ。
これでやっと人に伝える事が出来た・・・

この日の出来事はこれで終わり。




しかし、翌日再び・・私は別の種類の災難に襲われたのだった。



つづく・・・・


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