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2007.01.12
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久々の乙一作品だが,なんと講談社のミステリーランドから刊行!これを読まないでどうする!!

○ストーリー
リンツは母と2人で暮らす貧しい少年だ。この国で人々を沸かせているのは,怪盗ゴディバを追う名探偵ロイズの活躍だ。リンツが,偶然手に入れたゴディバの地図をロイズに送ると,なんと名探偵が現れ,リンツは彼の捜査を手伝うことになるのだった。ところが,その地図が盗まれたことから,この捜査の方向が全く変わってしまう。リンツは身の潔白を明かすために,冒険の旅に出る。

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乙一の作品は,残酷で乾いた物語と,繊細でせつない物語の2つのタイプに分類できる。だから「乙一がミステリーランドで新刊を出す」と聞いた時は,正直向いていないんじゃないかと思った。ところが,びっくりだった。読み始めて,少年冒険小説らしい展開に驚き,読み進んで,厳しい展開に驚いた。それでありながら,物語として面白い。あっと言う間に読み終えてしまった。

セピアトーンで緻密に描きこまれたイラストの影響もあり,物語はヨーロッパの雰囲気がたっぷりだ。単純に表面を真似しただけでなく,主人公を移民の子どもとすることで,ヨーロッパの社会問題もきちんと取り込んでいる。

そして中盤からは,乙一の真骨頂ともいえる,他人に理解されない恐怖で,物語が全く違う方向へと転がり始める。ここらあたりの問題は,場所や時代と関係なく普遍的な問題だろう。

この作品は,少年冒険小説のように始まり,意外な展開に進むが,終わってみると,やはり乙一の世界だ。久々の乙一は,以前より何倍もスケールアップをして戻ってきた。

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全体を貫き,作品に重みを与えているのは,主人公のみならず,登場人物のほとんどが,たった1人で世の中と対峙しているという部分だろう。もちろん,時には裏切り,卑屈になり,という対峙の仕方もあるのだが,それなりに一貫性のある人々が活躍する。

クセのある作品で,「これでも児童文学かよ?」と考えさせられてしまう部分もあるが,僕としては,現代の児童文学としてはこれだけの毒はあって大丈夫だと思う。怪盗と探偵,秘密の地図と暗号,それに裏切りと手に汗握る冒険。読んで損はない作品だ。







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Last updated  2007.01.13 18:31:26
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