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2007.01.24
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カテゴリ: ばくばく冒険小説
札幌,そして主にススキノを舞台にした小説が多い,東直己が,東西に分断された札幌を舞台に描いたスパイ小説だ。

○ストーリー
日本側の工作員である岡田は,協力者の救出のため東札幌に潜入する。そこは第二次大戦以降,ソ連に支配されてきた日本民主主義人民共和国(北日本)の首都だった。時を同じくして,北日本の英雄である警備局次官が姿をくらます。これは亡命なのか?それとも北日本の仕掛けた罠なのか?岡田は,東西の札幌をつなぐ橋に急行する。

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ジョン・ル・カレ風の乾いたスパイ小説で,東直己の作品としては異質の雰囲気だ。舞台も重苦しい国境の町で,登場人物たちも希望を失った人々で,静かに物語は展開する。

背景となる設定は,第二次大戦終戦の折,ソ連が北海道を侵略し統治を始めたが,抵抗もあり騒動が起きたたため,北海道の中で”西札幌”だけが,連合国側の支配するエリアとなった,というものだ。北海道は社会主義国家”北日本”となり,”西札幌”と日本がアメリカ主導の民主主義国家となっている,という状況は,言うまでもなく東西分離時代のドイツとベルリンを日本に置き換えたものだ。

その上,日本人のアメリカへの憎しみ,北日本のソ連への気持ち,そして南北日本の同属同士の気持ちなど,よく考えられた設定のリアルな距離感を,うまく物語の中に盛り込んである。北日本の場面では,多くの外来語がロシア語になっており,独特の雰囲気を出している。今のわれわれが使っている日本語には,英語の外来語が山ほど入っており,それを反対側から見るような,面白い体験だった。

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冷戦が終結する前から,スパイ小説の存在意義が揺らいでいて,ジョン・ル・カレタイプの小説は,ポスト冷戦を見据えた描き方だったわけだ。架空の南北日本を舞台にしたこの小説での世界は,スパイ小説に対して新しいリアリティと緊張感を与えることに成功している。



また東直己の小説として読んだ場合,北海道に根付いたリアリティは間違いなくあるのだが,そこから先の味わいが欠けている気がした。東直己が,これ以来,このタイプの小説を書いていないのは,ある意味正解かもしれない。

ただせっかくの面白い世界設定なのだから,他の作家でもいいから,シリーズ化できないかなあ?








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Last updated  2007.01.25 13:07:59
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