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2008.04.20
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日常のふとした謎をテーマに優しいミステリーを書き上げるのが得意な加納朋子の連作短編小説を読んだ。

○ストーリー
「知寿子が死んだ」・・・その報せで7年ぶりに再会した高校のソフトボール部の女性たち。今や,仕事や家族の環境がバラバラな彼女たちの心が,亡くした友人の思い出でゆれる。だが,そんな彼女たちの前に,死んだ知寿子とそっくりの女性が現れるのだが・・・

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もしこの作品を読むのならば,ハードカバー版ではなく,文庫版をお勧めする。ハードカバー版の装丁は,加納朋子の作品世界に全くマッチしておらず,非常に安っぽいからだ。

この連作短編小説は,もとソフトボールチームの9人の女性を主人公にしている。1人は亡くなっており,1人は行方不明なので,7人の女性がそれぞれ主人公となる7つのパートで構成されている。各パートは,虹の七色の1つが割り当てられたタイトルが付いているので,「レインレイン・ボウ」という作品名となっている。

文庫版では七色のフェルト地の水滴が表紙を構成しており,作品の内容と作者のカラーがよく表現されていると思う。

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さて作品そのものについてだが,ますます上手くなったなあ,という感想が最初に来る。9人もの同じ年代の女性を登場させて,それぞれの生活を描写し,かつ全体としてミステリー作品に仕上げる,というのは随分と難易度が高いと思う。



かつて加納朋子は,「ななつのこ」では,各短編に謎解きを2つずつ入れた。また「魔法飛行」では短編をつなぐと,別の謎が浮かび上がるという離れ業をやってのけた。その作家の作品にしては,「レインレイン・ボウ」は謎解きの要素が薄い。執筆の興味の中心が,ミステリーよりも女性たちの横顔を描くことにシフトしているような気がして,これからが不安になる。

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「レインレイン・ボウ」の各編の主人公から,『キャプテン』として慕われているのは,「月曜日の水玉模様」で,しっかりしたOLとして主人公を務めた陶子だ。この作品の7つの短編全てに登場するワケではないが,やはり最後の謎解きをするのも陶子なので,彼女のファンの僕としてはうれしい。

「月曜日・・・」の主要キャストは,陶子の天敵の谷さんも含めて登場するので,この作品は続編に近い。

最後の謎解きで,もう少し7人が協力し合えれた方が,お話としてもっと盛り上がったかなあ,とも思う。

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各編について簡単に述べる。
「サマー・オレンジ・ピール」:すでに主婦として一児の母でもある美久は,高校時代の部活の仲間のお通夜に行き,チームメートと再会をする。・・・心配してしまうほどミステリーの要素が薄く,主人公にも魅力がない。導入部だから?

「スカーレット・ルージュ」:編集者の陽子は,人気作家と念願のアポイントメントを取ることが出来たのだが,現れたのは?・・・気の強い陽子とのんびりした作家の組み合わせは,なかなか面白い。一瞬,ミステリーがつながったと思えたのだが,やはり薄い。

「ひよこ色の天使」:佳寿美が勤める保育園で,1人の園児がいなくなった。果たして犯人は?・・・佳寿美は毒のないいい人だとは思うが,この短編はヒドイ。犯人は???謎が解かれないまま,事件は解決する。(涙)

「緑の森の夜鳴き鳥」:緑の担当している患者の青年が,ある夜以来,病院のルールを破るようになった。その真相とは?・・・緑はフツーすぎて印象に残らない。これもミステリー要素は希薄。



「雨上がりの藍の色」:社員食堂を委託経営する会社の栄養士・由美子は,赴任した者が次々と辞めてしまうといういわく付きの食堂に勤務する。そこで由美子を待っていたのは?・・・ミュータントと言われるほどの由美子だが,現代的でさばさばしていて,これまでの主人公と異なり気持ちがいい。物語は面白いのだが,ミステリー要素は・・・ない。

「青い空と小鳥」:フツーのOL陶子は,行方不明になってしまったチームメートを探す。様々な人に助けられ,陶子がたどり着いた先とは?・・・やはり陶子が登場すると安心する。物語りも,最後の最後でミステリー要素,そしてちょっとホラー要素まで持ち始め,大団円へと進む。もっと他の短編にこの雰囲気を回せなかったのだろうか?









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Last updated  2008.04.21 00:39:10
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