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2009.04.21
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カテゴリ: わくわく児童文学
乙一と古屋兎丸の合作と言う豪華本を読んでみた。

○ストーリー
香織は高校に入学して幼馴染みのサキと再会した。だがサキは自分のことを本当は6才で,魔法のステッキのチカラで高校生に変身しているだけだと主張する。果たしてサキが言っていることの真相は?そしてサキのステッキを盗んで捨てることに協力してしまった香織の気持ちは?2人に魔法は訪れるのか?

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乙一・作,兎丸・画ということと,装丁の美しさに惹かれ,一度は買おうと手に取ったことがある。足を伸ばすようになった隣町の図書館に収蔵されていることを知り,買うのを止めてしまった。

今回借りてみて,絵物語だと思っていたのに本格的なマンガ作品であることを初めて知った。それくらい何も知らずに買おうとしていたのも我ながらスゴイが,結論から言うと,
「あの時,買っておいても良かったな」
ということだ。

次,本屋で見たら買ってしまうかも知れない。それ位,魅力にあふれた作品だと思う。



この作品は高校生の8人の少年少女1人ずつを主人公にした8編の短編と,ラストの1編の9編で構成されている。8人のキャラクターが共通しているのは他人とのギャップを感じていて,そのことで悩んでいるということだ。

1人1人の特徴的な”ズレ”を中心に,8編のバラエティ豊かな物語が展開される。ストーリーでジンとさせるもの,画像でビックリさせるもの,など様々で,作者2人の才能とコラボレーションの面白さを強く感じた。

さて8人のズレ具合は,ずばり”イタイ”。「イケてねー」という意味でもイタイが,「ウッ,こういうことあった!!」と経験と照らし合わしてしまうという意味でもかなりイタイ。

テレビでも小説でも10代って夢のような時代のような描かれ方をしている。けれどもそれを謳歌できる人の影で,小さなことでズレを感じて悩んでいる大量の人がいると思う。なぜかタブーのように語られないその事実を,乙一と古屋の2人は見事に描写して見せた。

ズレを感じてしまったことのある全ての人に読んでもらいたい。

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各編について簡単に述べる。
「沈没記」:サヤカは登校する途中で,街が沈んでいることに気付く。その水面では,自分の好きなものが全て手に入るのだが・・・内容としてはマイルドだが,画像の描写とラストが見事だ。この本のレベルを決定付けた短編だ。

「アリのせかい」:自分の部屋の巨大なアリの飼育セットでアリを育てるのが唯一の趣味の史郎は,思い切ってあこがれの女子に話しかけてみたが・・・イタイ,これはイタイ。飼育セットの中の教室が衝撃的。

「魔女っ子サキちゃん」:サキはどうして自分のことを魔法にかけられた6才の女の子だと主張するのか?・・・胸が痛み,そして熱くなる短編だ。この作品の主人公にしては珍しくハッピーな結末を迎えるのも良かった。

「学校の中枢」:学校の部品となってしまった親友の小島くんを救うために堅太郎は学校の中枢に忍び込む。・・・映像的には優れていると思うのだけど,物語はややありきたりかな?男性の主人公の短編は不幸なエンディングが多い。



「モンスターエンジン」:幼馴染みの名倉くんと一緒にバイクで走るため,正太は自分のバイク・モンスターエンジンを完成させる。・・・徐々に明らかになる謎。物語の展開が秀逸だ。男性主人公で唯一の心温まる作品。

「タイト様を見つけたら」:嵐が迫る中,香津美はタイト様にお願いをする,「母親を殺してくれ」と。・・・ラストに向けて大きく走り出す短編だ。香津美が他人の苗字を覚える方法がブラックで笑える。

「竜巻の飼育の巻」:クラスで孤立する直嗣は自分の話を聞いてくれる竜巻の風太を育て始める。だが風太は大きくなり直嗣の言うことを聞かなくなる。・・・キョーレツにイタイ主人公だ。でも思いっきり共感もしてしまう。

「ホームルーム」:嵐の教室で起きた素晴らしいこととは?・・・妄想が現実を侵食しているだけでなく,マンガと小説も互いに侵食をしている。このラストの絵物語風の構成が,最初に僕が予想していたものなので,余計に驚いた。ぜひこの素晴らしいエンディングを読んでもらいたい。

オススメです。





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Last updated  2009.04.21 23:53:35
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