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2009.06.18
テーマ： 最近、読んだ本を教えて！(24648)
カテゴリ： びしびし本格推理
「追いかけられる恐怖」を描かせたら間違いなく日本一という腕を持つホラー作家・貴志祐介のミステリー連作短編集を読んだ。
○ストーリー
友人と休暇に出かけた弁護士の青砥純子は，リゾート地の近辺で発生した殺人事件の調査に呼び出されてしまう。事件現場は築100年の日本家屋だったが，隣家のものが畑作業をしていたため，また施錠がしっかりしていたため，そして数日来の雨により家の周辺の土がぬかるんでいたために，密室を構成していたことが分かる。純子は以前の事件で知り合った防犯の専門家・榎本を呼ぶ。彼が見抜いた真相とは？
－－－－－－－－－－－－－
言うまでも無いことだが，弁護士・純子とセキュリティ専門家・榎本のコンビは『硝子のハンマー』で登場した2人だ。純子のキャラクターは美人女性弁護士と言う以外は珍しさは無い。ただ，そこそこ頭が良く，そこそこお人好し，という所が現代ミステリーのワトソン役には申し分無い。
このシリーズの魅力は，何と言っても謎解きに行き詰った純子を救う榎本のキャラクターだろう。榎本はセキュリティの専門家で，開錠やセキュリティシステムのプロ，そして犯罪者の手口に精通していることで，警察からも意見を聞かれることがある。飄々としてはいるが，謎の多い人物で，純子も警察関係者の一部も，榎本が本物の窃盗犯ではないかと疑っている。
基本はマジメ人間の純子とひょっとしたら犯罪者の榎本の2人が，まったく異なる視点で事件にアプローチするのが興味深い。
－－－－－－－－－－－－－
『硝子のハンマー』で始まった伝統を守り，このシリーズの謎解きは全て密室関連だ。『硝子のハンマー』ではハイテクを駆使したビルが舞台だったが，このシリーズでは日本家屋，マンション，ビジネスホテル，一軒屋と，フツーは密室が構成されにくい場所を舞台にしている。
－－－－－－－－－－－－－
この本には4編の短編が収録されているが，それぞれの雰囲気も長さもだいぶ異なる。バラエティの多さは決してマイナスではないが，中にはややどうかと思われる短編もある。
－－－－－－－－－－－－－
各編について簡単に述べる。
「狐火の家」：父親が帰ると娘が殺害され隠し金庫が空になっていた。平和な農村で起きた密室殺人の真相とは？・・・表題作品に恥じない中編で，純子が榎本に対し次々と推理を語るシークエンスも楽しい。登場人物が次々に怪しく思えてくるのが不思議だ。
「黒い牙」：急死した男性がマンションの一室を借りて飼っていたペットとは？依頼にもとづきマンションに乗り込んだ純子は，容疑者2人と閉じ込められ窮地に陥る。・・・貴志祐介ファンならおなじみのホラーテイストだ。だがシリーズ作品だとどこか安心感が生まれてしまうということが発見だった。
「盤端の迷宮」：将棋界の風雲児がドアチェーンのかけられたホテルの一室で刺殺されていた。部屋に残されていた手掛かりとは？・・・緊迫感にあふれた傑作だが，ウンチクが多過ぎて集中力がそがれる。
「犬のみぞが知る」：劇団主催者が自宅で撲殺されたが，家は番犬で守られていた。果たしてこの密室のトリックは？・・・小劇場そのままの作品だが，ラストは・・・（涙）
○ストーリー
友人と休暇に出かけた弁護士の青砥純子は，リゾート地の近辺で発生した殺人事件の調査に呼び出されてしまう。事件現場は築100年の日本家屋だったが，隣家のものが畑作業をしていたため，また施錠がしっかりしていたため，そして数日来の雨により家の周辺の土がぬかるんでいたために，密室を構成していたことが分かる。純子は以前の事件で知り合った防犯の専門家・榎本を呼ぶ。彼が見抜いた真相とは？
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言うまでも無いことだが，弁護士・純子とセキュリティ専門家・榎本のコンビは『硝子のハンマー』で登場した2人だ。純子のキャラクターは美人女性弁護士と言う以外は珍しさは無い。ただ，そこそこ頭が良く，そこそこお人好し，という所が現代ミステリーのワトソン役には申し分無い。
このシリーズの魅力は，何と言っても謎解きに行き詰った純子を救う榎本のキャラクターだろう。榎本はセキュリティの専門家で，開錠やセキュリティシステムのプロ，そして犯罪者の手口に精通していることで，警察からも意見を聞かれることがある。飄々としてはいるが，謎の多い人物で，純子も警察関係者の一部も，榎本が本物の窃盗犯ではないかと疑っている。
基本はマジメ人間の純子とひょっとしたら犯罪者の榎本の2人が，まったく異なる視点で事件にアプローチするのが興味深い。
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『硝子のハンマー』で始まった伝統を守り，このシリーズの謎解きは全て密室関連だ。『硝子のハンマー』ではハイテクを駆使したビルが舞台だったが，このシリーズでは日本家屋，マンション，ビジネスホテル，一軒屋と，フツーは密室が構成されにくい場所を舞台にしている。
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この本には4編の短編が収録されているが，それぞれの雰囲気も長さもだいぶ異なる。バラエティの多さは決してマイナスではないが，中にはややどうかと思われる短編もある。
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各編について簡単に述べる。
「狐火の家」：父親が帰ると娘が殺害され隠し金庫が空になっていた。平和な農村で起きた密室殺人の真相とは？・・・表題作品に恥じない中編で，純子が榎本に対し次々と推理を語るシークエンスも楽しい。登場人物が次々に怪しく思えてくるのが不思議だ。
「黒い牙」：急死した男性がマンションの一室を借りて飼っていたペットとは？依頼にもとづきマンションに乗り込んだ純子は，容疑者2人と閉じ込められ窮地に陥る。・・・貴志祐介ファンならおなじみのホラーテイストだ。だがシリーズ作品だとどこか安心感が生まれてしまうということが発見だった。
「盤端の迷宮」：将棋界の風雲児がドアチェーンのかけられたホテルの一室で刺殺されていた。部屋に残されていた手掛かりとは？・・・緊迫感にあふれた傑作だが，ウンチクが多過ぎて集中力がそがれる。
「犬のみぞが知る」：劇団主催者が自宅で撲殺されたが，家は番犬で守られていた。果たしてこの密室のトリックは？・・・小劇場そのままの作品だが，ラストは・・・（涙）
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