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2010.07.09
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カテゴリ: びしびし本格推理
残酷な展開が話題となった道尾秀介の長編を読んだ。

○ストーリー
1学期の終業式の日,S君は学校を休んだ。帰りがけ,配布プリントを持ってS君の家に寄った〈僕〉は,S君の首吊り死体を発見する。急いで学校に戻った〈僕〉の通報で,担任と警察が現場に赴くと,S君の死体は消えていた。数日後,〈僕〉にあるモノが声を掛けてくる,「僕はSだ」と。そして〈僕〉とS君の生まれ変わりが,犯人とS君の死体を捜す夏は始まった。

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西澤保彦の「いつか、ふたりは二匹」のようなテイストの作品かと思って読み始めたが,もっとはるかにダークだった。

確かにこの作品は読者を選ぶと思う。いじめ,ネグレクト,犬猫殺戮,小児性愛が登場し,重苦しい空気がただよっている。

そうした重圧に負けないように,〈僕〉は〈僕〉なりに,子どもらしく生きているのが健気で可哀想だ。

最悪の環境と,子どもらしい価値観という組合せは,乙一のいくつかの作品を思い出させた。

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また,〈僕〉がS君と言い争いをした後に,S君に意地悪をする,主人公が加害者であるという珍しいシーンもある。これもドキドキさせられた。

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ミステリーのネタバレを避けるためにところどころあいまいな表現になってしまうが,この作品は大掛かりなトリックが仕掛けられている。それにより,ありえないハズのことが,全てきちんと説明できてしまう。

終盤近くで語られるのが,「物語の強さ」というセリフ。これがこの作品のテーマであり,〈僕〉がつらい世界を生き抜くコツでもある。

強引なミスリーディングと読後感の悪さで,かなり辛口の評価がされている作品だが,僕自身はこの作品にどこか惹かれてしまった。

やはり「物語の強さ」という悲しいテーマが訴えるチカラは大きい。ウケのいい優等生的な感傷を廃し,〈僕〉だけが感じることの出来る気持ちを貫いた結末に,あきれつつも感動してしまったからだろう。

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道尾秀介が油断のならない作家であることは理解できたので,もう少し読んでみようと思う。









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Last updated  2010.07.11 16:16:54
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