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2010.09.01
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東直己の札幌ローカル・ハードボイルド「探偵・畝原シリーズ」の最新作を読んだ。

○ストーリー
探偵・畝原は,テレビ局ディレクターの依頼で,札幌郊外でキャンプ場を経営する早山という老人の身辺調査を行う。だが早山の施設には,嶺崎という男が抗議に訪れていた。同じ時期に畝原は,兼田というヤクザ者から恩師の行方を探る依頼を受ける。それぞれの調査で浮かび上がってきた悲しい過去とは・・・

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美しい作品だ。畝原の家族,調査対象者や協力者についても細かく書き込まれているため,やや冗長なところがあるが,最後は深い感動を与えてくれる。

感動がありながら,結末は決して手放しに喜べるものではない。どこまで行っても心が通じない人もいる,という一面も痛切に描いている。

もちろんハードボイルドというジャンルそのものが,多分にある面の理想の世界を描く傾向があるので,こうした現実的な面をきちんと押さえている事が,より大きな共感を呼ぶのだと思う。

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この作品のテーマは老いだと思う。畝原の調査の対象となる男性3人が,それぞれ一般の意味では老人だ。幸せそうに見える人物の壮絶な過去,嫌悪感を与える人物の悲しい優しさ,前向きな人物が犯した決定的な過ち,どれも長い時間を経ているゆえに,読者に重い印象を与える。



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畝原の家族は,過去の不幸を乗り越えて,しっかりと明るく暮らしている。障害のある末娘の幸恵の成長は,このシリーズファンにとっての興味の1つだと思う。

最近,サザエさんファミリー的に,時間が止まっているような印象を与える畝原ファミリーは,この作品のテーマである老い,とはチョット噛みあっていない。

だが畝原と妻・明美の2人だけの会話には,間違いなく年令のいった人々の気持ちのやり取りがあり,作品に深みを与えていると感じた。

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とは言え,このシリーズがこの安定的な状況に至ってから少し時間が経っている。このまま人間を描いていてもいいような気もするが,やはりハードボイルドというジャンルの核からは少しずつ離れていると言わざるを得ない。

東直己がシリーズをどんな方向へと導くのか,楽しみにしているが,この平和な空気は壊さないでもらいたい。








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Last updated  2010.09.01 23:21:50
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