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2010.09.03

米澤穂信の大人気の〈小市民シリーズ〉の第2作を読んだ。

○ストーリー
ひょんなことから高校2年生の夏休みを，謎の少女・小山内と一緒にスイーツ店めぐりをするハメになってしまった小鳩。段々と2人でのお出かけが楽しくなってきた彼だが，その裏で進んでいる計画は恐ろしいものだった。

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いつの間にか1年が経っている。「春期限定」から「冬期限定」までの4冊で1年間を語って完結するのだと勝手に思っていたが，1年生の春だった前作から，ぽーんと飛んで2年生の夏になっている。

ってことは「秋期限定」では3年生の秋・・・じゃあ「冬期限定」はどうする？？？

時間の進み方がゆっくりな〈古典部シリーズ〉と比べると，ずいぶんあっさりと時が流れてしまった。それでいて主人公たちの距離感は全く変わっていない。この辺りの作り物めいた不自然さも，このシリーズの特徴なのかもしれない。

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物語は，前作同様に米澤穂信お得意の”日常ミステリー”で進み始める。最初の2つの章はミステリーとさえ言えるのか？というくらい，小さなネタを掘り下げていて，逆にそのギャップが面白い。

しかも大事件は，一見解決したと見せて，さらなる謎解きがあり，そして小鳩くんと小山内さんの対決があり，と予想の出来ない展開となる。

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正直，ラストへつながるパートは，なかなか切なかった。2人の正直な気持ちが現れていたし，2人の埋まらないギャップというものも痛烈に描かれていて感心した。

だが個人的には，マンガ的なキャラクターが突然設定を超えて，マジメな青春モノを始めたようで，しっくりと来なかった。今回のような自然な感情のぶつかり合いができるようならば，1年以上も同じ距離感でのほほんと暮らしていなかったと思うんだよなあ。

とにかく唐突で驚いた。でもサプライズはあるし，ロジックとしてもきちんと描けているけど，初期設定と矛盾が大きい，という印象は払拭できなかった。

「秋期限定栗きんとん事件」がどんな展開なのか楽しみではある

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各編について簡単に述べる。
「まるで綿菓子のよう」：浴衣姿の小山内さんと夏祭りを歩く小鳩くん。なぜか小山内さんは狐のお面をしていた。・・・小鳩くん，とても楽しそうに見える。今読むと，この作品を凝縮しているなあ。

「シャルロットだけはぼくのもの」：小山内さんに4つ頼まれたケーキだが，店には3つしかなかった。1つ食べた小鳩くんは，あまりに美味しさに，2つしか買えなかったことにして，2つ目も食べようとするのだが・・・よく出来たコントのような面白さだ。「おいしいミルク」を思い出させる。

「シェイク・ハーフ」：健吾に渡されたメモには，漢字の「半」のような不思議な記号が書かれていた。果たしてこの意味は？・・・なんとなく不穏な空気が漂いだすが，短編としてはいつも通り楽しめる。

「おいで、キャンディーをあげる」：小山内さんが事件に巻き込まれた。小鳩と健吾は，与えられたヒントを元に，彼女を救おうと奔走する。・・・スゴイ，日常ミステリーではなくなっている。どうなっちゃうのか？

「スイート・メモリー」：事件の後，小山内さんと小鳩くんは甘いパフェを中心に対決をする。・・・全ての謎解き，そしてコンビの解消（なのか？）。オドロキだ。

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