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2010.09.10
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カテゴリ: びしびし本格推理
第2作に続けて,米澤穂信の〈小市民シリーズ〉の第3作を早々に読んだ。

○ストーリー
夏休みが終わり,小山内さんとの関係が疎遠になった小鳩に,彼女ができる。スラリとした美人の彼女と過ごす毎日は楽しかったが,いつしかどこか物足りなくなってくる。

新聞部の瓜野は,小山内さんという子と付き合い始める。一方で瓜野は校内新聞を改革するために,市内で起きている連続放火事件の謎解き,そして犯人探しを行い,新聞紙上で状況を報告し始める。

そして2人の少年の運命は,連続放火事件の現場で交差する。

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「春期限定」から「夏期限定」までの間は,作品世界の中でいつの間にか1年間が経っていたのに,「夏期限定」から「秋期限定」までは1ヶ月と経っていない。「夏期」のすぐ後から始まっている。

けれどもなんとこの作品は上下巻を用いて,小鳩たちの2年生の秋から3年生の秋までが語られている。そういう意味では,「春期」では1年の春,「夏期」では2年の夏,「秋期」では3年の秋,をそれぞれ語るという法則は保たれている。

とすると,やはり「冬期限定」は,4年の冬??ってフツーの高校に4年はないし・・・???



これまでのシリーズは,小鳩の「ぼく」という一人称で語られていた。この作品では,小鳩と小山内さんが”別れて”別行動を取るので,瓜野という別の少年の視点で「おれ」という一人称パートが加わることで,小山内さんの行動が描写される。

小鳩と小山内が”別れる”ことは「夏期限定」のラストで明かされていたので,ひょっとして今回は,2人それぞれの視点で語られることになるのかと思っていた。だが,それでは”謎のブラック少女”小山内を描写することが困難になる。

そこで瓜野視点を導入することで,主人公2人を別々に語りつつ,小山内さんのミステリアスな部分は保つ,というテクニックが用いられている。この解決は実に巧いと思った。

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さてミステリーとしての部分だが,もう〈日常ミステリー〉の看板はほとんどどこかに飛んで行ってしまった。今回はわずかにバスの乗客で誰が立つか?というネタだけが,それに該当すると思う。

それでも「春期限定」のココア,「夏期限定」のシャルロットで展開された,小ネタでどこまでも楽しむ,というものとは離れてしまっていて,残念だ。

ミステリーの中心は,連続放火事件の謎を追う,という〈日常〉ではなく,立派な(?)犯罪に関するものになっている。引きとめようとする部員や学校にあらがって,勇ましく事件を追う新聞部の新部長・瓜野の行動が語られるのだが,なかなか解決に近付かないので,あまり爽快感は感じられなかった。

ただしラスト近くで,放火現場にて小鳩と○○が対峙するという場面は,状況や絵的に素晴らしい迫力があり,ぐっと引き込まれた。

そこから始まる本当の謎解きは,やはり米澤穂信だなあ,と感心させられた。

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この作品のタイトルは「栗きんとん事件」だが,一時期仮タイトルとして「マロン・グラッセ事件」が広告されていた。作品の中でも,2つのお菓子の製造法は,本来エグイところのある栗の加工法として紹介されている。



でも失敗したからといって,ここまでのことをしていいのだろうか?この行動はあまりにもエグイので,どうしても読後感が良くない。

マロン・グラッセ方式は明らかに失敗しているのだけど,栗きんとん方式は失敗だったのだろうか?先方の事情で終わってしまっただけのような気がするが???

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今回は,物語の半分が高校の新聞部を舞台に起きるので,第1作目から登場していた小鳩の小学校時代からの友人・堂島健吾の登場するシーンが多い。新聞部なのに体育会系というキャラはますます進んでいて,まるで古武士のような重みのある人物として描写されている。

小鳩にとっては唯一,本心を語ることのできる友人なので,さぞかし親しいのかと思えば,「もう今後クチをきくことも無いだろう」とか言っていて,なんだかとてもさみしい気分になった。



最後まで理解ができなかったのが,小鳩の新しい彼女だ。結局,この女性は何がしたかったのだろうか?ひょっとして小鳩って,ものすごくルックスがいい,という裏設定があるのだろうか?

女性は謎だ。









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Last updated  2010.09.11 12:09:21
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