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2010.12.10
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カテゴリ: びしびし本格推理
石持作品としては久々のリアルタイムの事件を描く作品を読んだ。

○ストーリー
中堅の全国紙・秋津新聞の中で,閑職と思われている投稿課,そこに縛られた女子中学生が写った写真が届いた瞬間,事件は始まった。犯人は少女を誘拐したことを伝え,新聞社に対して身代金を要求してきたのだ。警察への通報もできない中,記者たちは犯人の計画を阻止できるのか?

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物語のほとんどの舞台は,秋津新聞の投稿課の部屋となる。事件への対応をめぐり,会社の事情がからみ,人々が自分の立場を守ろうとしてぶつかり合う姿は,まるでサラリーマンドラマのようだ。

途中まで明かされない過去の事件の話などがあり,なかなか興味を持たせて引っ張る。だが組織ドラマは,早々に社長が逃げ,常務が壊れることで,ガタガタとリアリティを失ってしまう。

いくら日本の組織が危機管理に強くないとは言え,僕が知っている様々な組織の長は,ここまでもろくない。結局,若手たちを活躍させるためだけの不自然な設定なので,読んでいてガッカリしてしまった。

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主人公の舞原かおるの造形も,どこかの作者と同じく大学で化学を専攻したことが自慢のようで,鼻につく。「修士課程を出たから頭がいいはず」「新聞社に入れたから頭がいいはず」という,田舎の中学生的な表現はやめたほうがいいと思う。



新聞社が,誘拐事件の当事者となってしまい,組織として対応に(スピードはともかく)苦慮する,ということは理解できる。だが,自分たちで対応するならば,記者らしく記録を取り,それを掲示して,分析を行う,ということは必要だろう。・・・というより他にできることが無いのだから,本物の記者たちはゼッタイすると思うな。

また細川記者の行動も僕自身は評価しない。どう考えたって危険すぎるので,偶然うまく行ったとしか思えない。

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一番興味深いのは,犯人側の行動だろう。大胆な誘拐事件を起こしたのはどんな人物なのか?そして身代金はどうやって回収するのか?

例によって,ここにも不自然さが大量にあるので,せっかくのプロットが機能していない気がした。

事件現場は警察の手で徹底的に鑑識調査が行われるだろうから,アタマのいい犯人なのだから,そんなずさんな行動取らないでしょ?とか,この手が多すぎる。

この犯人を描いて,作者は何を表現したかったのだろう?人と人のつながりの薄さ?まったく分からない。

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たぶん不自然さは,石持浅海のカラーの1つなんだと思う。もう仕方が無いと諦めてみると,イタイ恋愛ドラマを持ち込まない分,この作品はまだましだと思った。















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Last updated  2010.12.11 15:38:35
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