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2011.04.28
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カテゴリ: びしびし本格推理
道尾秀介の悲しみに満ちた作品を読んだ。

○ストーリー
友彦は10才の夏に,隣の家族のキャンプ旅行に参加し,悲劇的な事故に遭遇する。それから5年,両親の離婚と父親の転勤をきっかけに,友彦はその隣の家族のところに居候をすることになる。さらに2年,高校生となった友彦は,年上の女性と出会い,そして悲しい事件のドミノ倒しが始まる。

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売れることが確定的な作家の本の装丁は,編集も装丁作家も安心するのだと思えて,デザイン的に洗練されているものが多い。この本の表紙も,雪景色の上に光沢があって半透明のフィルムが被せられていて,触っているだけで嬉しくなってしまうような美しい仕上がりだった。

とは言え,厳しい言い方をすれば,手法的にはもう使い古されているし,そして何よりもベースの写真が甘すぎる。

この批評は,残念ながら中身の小説にもそのままあてはまる。

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作品は冒頭からノスタルジアと諦念と自己憐憫に満ちている。道尾秀介の作品の共通したトーンでもあるが,それにしてもここまでメソメソしているのは珍しいと思った。



とにかくメインの登場人物が,揃いも揃っていい人ばかりで,ちょっとした誤解が累積して,しかもミステリー部分の決着がこれ???

また主人公の友彦が,学生となり上京してからの展開なんて,必要だったのだろうか?ムダに人間への悪意に満ちているし,フォークソングにでもなりそうな貧乏くさいエピソードの連続だった。

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スノードームの小道具としての使い方や,何回も用いられる比喩の分かりやすさなどは,小説家として巧いと思う。

でも青春物語としての甘えのようなものが,全体のトーンや物語の構成をゆるくしている。読者に解釈をゆだねるような部分も含めて,カッチリとした部分が少しもない作品だった。

確実に実力のある作家なので,もっと読者をぐいぐいと引っ張りまわすような作品を書いてもらいたいと思う。








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Last updated  2011.04.29 22:21:11
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