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2011.07.30
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カテゴリ: わくわく児童文学
京都のヘタレ大学生の物語を書いていた森見登美彦が,ジュブナイルファンタジーに挑戦した。

○ストーリー
小学4年生のアオヤマ少年は,両親と妹と一緒に郊外の一軒家に住んでいる。彼は現在複数の研究を進めており,とても忙しい。研究のテーマは,世界の果てを探ること,相対性理論,街の探検,歯科医院のお姉さん,そして街に現れたペンギンたち。だが夏が終わったある夜,これまでの世界は終わりを告げた。

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万城目学がジュブナイル作品「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」を著したのと呼応するように,森見登美彦がこの作品を発表した。不思議なレゾナンスで面白い。

この作品は,いつもの京都を離れ,日本のどこにでもありそうなベッドタウンを舞台にしている。小学生の日常をキチンと描いている一方で,主人公のアオヤマ少年の飄々としているイメージや,彼と歯科医院のお姉さんのサラリとした恋,唐突に登場するペンギンなど,村上春樹などのポップな純文学の空気もある。

そう言えば,舞台となる街は,日本と言うよりアメリカの郊外も感じさせる。万城目が意識をしたのは,ある映画らしいのだが,それよりも『グーニーズ』,『E.T.』などの少し前のSF冒険映画を思わせるシーンも多い。

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この作品の魅力は何と言っても,ちょっと不思議系の入った主人公・アオヤマ少年だろう。クラスでは,勝気なハマモトさんと仲良くなり,スズキ君グループにイジワルをされ,それでもどこか超然としている。



ただ,この小さい紳士は,意外と大人でもある。何しろ近所の歯科医院のお姉さんと仲が良く,毎週デートをしているし,コトあるごとにお姉さんの〈おっぱい〉を観察したり,考察している。(まあ,素直なんだよね。)

最初は呆れてしまったが,何回かさらりと〈おっぱい〉についての描写があるので,いつの間にかゆるせてしまった。

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歯科医院のお姉さんは,それこそ村上春樹作品に出てくるような,現実感の無い女性だ。主人公に対して「おい少年」と呼びかけるあたりもいい。お姉さん度マックスだ(←???)。

最初は主人公の父親の恋人なのかと思ってしまったが,そういった生々しさとは無縁の作品だった。

歯科医院を休んだり,電車の中で気分が悪くなってしまったり,とあまり丈夫ではなくて,いろいろと少年を心配させる。

アオヤマ少年だけでなく,周りの多くの人々もお姉さんに好意を持っているらしいのだが,ハマモト女史だけがお姉さんに反感を持つ。このあたり,ちょっと可愛らしい。

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さて,ペンギンが現れてから,街には不思議なことが起きるようになる。そしてその事件を解決するために,少年はある決断をしなければならない。その代償として失うものはとても大きい。

それだけで終わっても,この作品は十分魅力的だったと思う。けれども普通はこの事件をひと夏の経験として終わらせるところで,森見登美彦はアオヤマ少年に,決して諦めない決意を語らせている。

この気持ちは普通ならば,とても青臭いもので,1年後には消えているだろう。けれでも我らが小さな紳士のアオヤマ少年ならば,これを持ち続けて,この夢を成就する気がする。


















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Last updated  2011.07.31 22:42:00
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