Nemesis

Nemesis

【桜雪】




春の月夜に

軽やかに舞ひゆく

月に照らされ風に乗った

優雅な桜の花片は

さながら冬の名残を残した

粉雪のように冷たく散っていった


咲き誇る桜の美しさは

舞い散る桜雪の優雅さに敵うことはなく

舞うからこそ美しく 散るからこそ儚く

散りゆく花片に手を伸ばし

その桜雪に触れたいと

願わくばその姿を永遠にと

叶わぬ願いを願いたくなるのだろう


散りゆく桜雪の花片は

息を吹いたなら壊れてしまうかのような

その美しさを永遠にすることはなく

ただその瞬間のためだけに

一瞬の可憐な美しさを望んだのだろう


散るからこそ 桜は美しい


一瞬の命だからこそ 雪は美しい


幻と消えるからこそ 桜雪吹雪舞い散る月夜の晩はただ美しい――






© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: