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『発達障害&グレーゾーンの小学生の育て方』は、発達障害やそのグレーゾーンにいる小学生を育てる保護者・教師に向けて、「困りごと」から逆引きできる実践的なヒントをまとめた一冊です。
本の基本的な位置づけ
本書は、発達の遅れや偏りが気になる小学生をもつ保護者の悩みに応えることを目的に、発達障害情報サイト「発達ナビ」に寄せられた保護者の声をベースに構成されています。 発達障害という診断の有無にかかわらず、「グレーゾーン」を含む子どもたちの日常的な困りごとを扱っているのが大きな特徴です。 監修は鳥取大学大学院教授で臨床心理士の井上雅彦氏が務め、研究と臨床現場双方の知見が反映されています。
構成と章立て
本書は、小学生生活の6年間でよく生じる悩みを領域ごとに整理し、「家庭」「日常」「学校」「対人」「学習・運動」という生活場面からアプローチできるよう構成されています。 章立ては、おおむね次のようになっています。
第1章 不安だらけなのは、みんな同じです
発達障害・グレーゾーンの基礎知識や、「悩んでいるのは自分だけではない」というメッセージが示されます。
第2章 「家庭習慣」の悩み
生活リズム、朝の準備、食事や身支度など、家庭内ルーティンに関する困りごとが扱われます。
第3章 「日常生活」の悩み
ゲームやネットとの付き合い方、興奮のコントロールなど、家庭と外の世界のあいだにある日常場面がテーマです。
第4章 「学校生活」の悩み
授業中の集中、教室移動、忘れ物、整理整頓など、学校環境への適応に関する課題が取り上げられます。
第5章 「対人関係」の悩み
友だちとの距離感、コミュニケーションのズレなど、人間関係のつまずきとその支援が解説されます。
第6章 「学習・運動」の悩み
勉強のつまずきや運動の苦手さに対して、具体的な支援と練習の進め方が示されます。
「困りごと」から引ける実践的なつくり
本書の大きな特徴は、診断名や特性分類から入るのではなく、「気になる行動」から逆引きできる構成になっている点です。
出版社説明によると、「食事や身支度に時間がかかる」「忘れ物が多い」など、子どもの“困った行動”を33ケース挙げ、それぞれに対して三つ前後の具体的な対策が提示されています。 各ケースは、例えば次のような流れで整理されています。
ケースの行動例
例:「失敗や間違いを極度にいやがる」「同じ質問を何度もする」「ゲームやネットばかりしている」「授業中に立ち歩く」など。
行動の背景にある可能性
発達特性や環境面の要因など、「なぜそうなるのか」をかみ砕いて解説します。
対策1~3
「短い言葉で具体的に伝える」「スモールステップで成功体験を積ませる」「ルールを一緒に決める」「片づける場所を視覚化する」など、すぐ実践できる工夫が示されています。
一つの困りごとに複数の対処法が示されているため、「これがダメなら別の方法を試す」という発想がしやすくなっています。
親・教師・子どもそれぞれの「困り感」へのまなざし
本書は、「親も先生も、子どもも困っている」という視点から書かれており、誰か一人を責めるのではなく、“困り感”そのものを減らすことを目標としています。 「ほかの子と同じようにできないのは、本人の努力不足か、障害特性か、親の育て方か」という、保護者が抱きがちな問いに対し、原因を単純化せず、行動と環境の相互作用として理解しようとするスタンスが貫かれています。
監修者のインタビューでは、「自分の子どもをよく理解すること」「困りごとにはさまざまな原因があり、対処法も一つではない」というメッセージが繰り返し強調されています。 そのため、「正解」を一つ探すというより、「わが家の子どもに合うやり方を一緒に探す」ためのガイドとして利用できる構成になっています。
読みやすさと実務性
本書はイラストが豊富に使われ、文章も平易で、忙しい保護者でも気になる章やケースから拾い読みしやすい作りです。 先輩保護者の体験談やコラムも収録されており、日々の困りごとに対して「自分だけではない」と感じながら読み進められる工夫があります。 また、学校とのかかわり方や学級選択に関するコラムなど、教育現場との連携を考えるうえで参考になる情報も含まれています。
全体として、本書は「発達障害・グレーゾーンの基礎知識を押さえつつ、明日からの具体的な対応を知りたい」保護者・教師に向けた、実践的で使い勝手のよい1冊といえます。
発達障害 & グレーゾーンの小学生の育て方 / 井上雅彦 【本】
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