Rin's

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田舎のススメ ~イナゴ編~

イナゴの佃煮って今高級食材だって聞いてびっくりした。
デパートなどの佃煮売り場にあるそうだ。グラム400円~500円。
イナゴなんて養殖してる訳もないし、農薬を散布された水田にイナゴはいない。
特に美味しい訳でもないのに、珍しいって事で高級食材の仲間入りらしい。

イナゴは稲を荒らすのでそれを駆除し、ついでに食べちゃえ!
という感じで佃煮にしたのかと思っていたら・・・違った。
戦争中の食糧難の為に考え出されたシロモノらしい。
栄養価はカルシウムかなと思っていたら、タンパク質とビタミン類が多く
カルシウムはあまり入ってないそうだ。意外。

イナゴの佃煮の作り方は各地で違うらしいが、私の祖母の家も稲作農家なのでもちろん作り方は知っている。
これを人に説明するとものすごく嫌な顔をされるが、それがまた面白くてやめられない。

まず、水田に行きイナゴを採取する。
とれたイナゴは1日置いて体の中の不要物を取り除く。
水で洗い、熱湯で茹でる。イナゴの緑色が鮮やかな緑色に変わる。
茹でている音は「ザワザワ」。
湯で揚がったイナゴを新聞紙の上にあけ、手の平を当てて転がしながら足と羽を取り除く。
音は「ザラザラ」。
足と羽を取ったイナゴを再び鍋に入れ、醤油と砂糖で味付けし甘辛く煮込む。
こうして保存食イナゴの佃煮は完成する。

味は甘辛くパリパリした触感が小気味良い。特に苦味などは感じない。
ご飯のおかずにも酒のつまみにもなる。
じっと見ると食べられなくなるので、箸でつまんだら即効で口に入れる事。

小学生の頃、土曜日の午後に委員会の用があった為みんなお弁当を持って来ていた。
一緒のグループで食べていた男子のお弁当の中に、それはいた。
まわりの女子は「イナゴ入ってる~」と退いていたが、特に私も本人も驚いてはいなかった。
むしろ一度食べてみるが良いと思ったくらいだ。
そしてお弁当の時間も終わり、委員会の仕事を始めた。
模造紙にグラフなどを書いていたら、急にイナゴ弁当の持ち主が咳こんだ。
かなりの咳こみようだったので、あわてて背中をさすってやった。
すると一際咳こんだその瞬間、何かが口の中から・・・出た。
それはイナゴの後ろ足だった。叫ぶ女子。 笑う私。

その日から彼のあだ名は「イナゴ」である。


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