日々雑感

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覚書3


「ヘルニア」(hernia)の意味は鼠径ヘルニアの項でも説明していますが、その一部もしくは全部が本来あるべきところになく、逸脱している状態をいいます。食道は、頸部から始まり胸部(正確には後縦隔)を通り、腹腔内に出たところで胃につながります。したがって、食道・胃接合部は腹腔内に位置するのが本来の姿です。その後縦隔から腹腔内への通じる孔を食道裂孔といいます。つまり食道裂孔ヘルニアとは食道裂孔より胃の一部あるいは全部が後縦隔内へ脱出した状態をいいます。胃の脱出の状況により次の3型に大別されます

症状がない場合には特に治療の対象にはなりません。症状の大部分が逆流によるものです。
 治療方針としては、[1]まず保存的療法を試みる、[2]保存的療法で症状が改善されないもの、ガンを合併するもの、ならびに傍食道型の場合(呼吸循環障害や脱出胃からの出血の頻度が高いため)は手術療法が行われます。

1)保存的療法
 逆流の防止、胃酸分泌の抑制、胃内容排出促進、食道粘膜保護が主な目的となります。

[1]姿勢
 食事摂取後は、横臥(横になること)・前屈位(前かがみ)を禁止します。解剖学的には、逆流は臥位の中では腹臥位(うつぶせ)で最も少ないのですが、成人ではなかなかとりにくい体位ですので、就寝時には15~30°程度上半身を高くする体位をとることが大事です。

[2]食事
 消化のよいものを少量ずつ何回にも分けてとるようにします。つまり、満腹に食べるのを控え腹八分目以下にします。就寝前の食事も控えます。またアルコール、コーヒー、チョコレート、脂肪分の多いものなども避けます。便秘・肥満を解消(どちらも腹腔内圧を上げるためヘルニアを助長させる)するためです。




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