姉妹日記

姉妹日記

帝王切開談(由佳編)


その日2番目の手術で、3時半頃を予定していた由佳の帝王切開。

最初の手術が早く終わったので12時頃に、そろそろ準備して手術室へと声がかかる。

心の準備が~!という私の心の叫びもむなしく、看護師さんの指示で色々準備。

手術着となんと紙パンツに紙おむつを渡されました。

手術着ならまだしも、何で紙パンツ紙おむつ?

「手術室ではどうせすぐ脱がされちゃいますけどね~」
と看護師さんに言われ、なんのために?と疑問を持ちながら、着替えました。

恐怖のあまり、手術室に行くまでに失禁しちゃうから?
なんて考えながら。
いくら肝っ玉小さい私でもそこまではしませんとも。

そしてストレッチャーに寝かされて、移動。
病人みたいだなぁ・・・でもなんかドラマみたい。
里彩のときは、確かパジャマのまま自分で歩いて手術室に入ったけど。

入院中の担当医さんは、若くてかわいくて小柄な女医さんだったけど、
手術が予定より早まったことでまだ戻ってこられないから、
別の若くてかわいい女医さんが担当するって。

おいおい聞いてないよーー。
でもどっちも若いから経験の度合いも同じくらいよね?
なんか緊張のせいかいちいち動揺しちゃうじゃないの。

エレベーターで、パパに努めて笑顔でいってきまーすってバイバイして、手術室へ移動。
さすが大学病院、手術室までの距離もあるし設備もスケールが大きくて立派。

何かの製造工場みたいな場所で、たくさんある手術室の中の一つの部屋に入る。
そこにはなんだかよくわからない機械やらモニターやらいっぱい。
手術台にストレッチャーが横付けされ、ストレッチャーから台へ移動。
ストレッチャーと台の高さが合わないとかで、そこは自分でズリズリ移動することに。
これがドラマならNGよ、としばし現実の世界へ戻る私。

眼鏡を没収され、ここから視覚からの記憶はぼんやり。
「○○を担当します○○です」って、
担当の先生、看護師さん、麻酔科の先生等、
手術室に入ってから、色んな人が挨拶してくれる。

麻酔科の年配の女医さん
緊張してる私をほぐそうと、準備の間、色々話し掛けてくれる。

妊娠中、検診のほとんどを担当してくれた先生が来た。
私が前回の帝王切開で、
赤ちゃんをなかなか取り出せなかった事、
羊水塞栓になった事、
麻酔が途中で効かなくなった事があるけど、
今回は大丈夫かしつこく聞いてたので、
今回は麻酔科の先生がついてるから大丈夫というようなことを話してくれる。

しかしこの時の私の緊張はMAXに達していて、どんなありがたい言葉も馬耳東風・・・

横向きに丸くなって腰に麻酔を入れられて、
段々両足がホカホカして重くなって、そして感覚が無くなった。

下半身の麻酔なので、必要な部分だけに効かせたいから、
胸まで麻酔が効かないよう調節される。
が、後にこれが今回の手術の私の最大の苦しみを生む事になろうとは・・・(ちょっと大袈裟?)

麻酔が効いたことを確認される。
「これ冷たいですか?」「これわかりますか?」等の質問。

前回のことがあっただけに、今回はしっかり効かせてもらわねば。
そう思った私は、感覚なくても1~2回大げさに、
「わかります、まだ冷たいです。」
って答えちゃった。(よい子はマネしないでね。)

そして、とうとう手術開始~
麻酔が効いてるし、痛くはない。
でも麻酔は、触られてる感覚までは消せないから、下腹部をいじられてる感じはわかる。

もう泣きそうなほど緊張。

枕もとで麻酔科のシスターみたいな先生が、まめに
「気分悪くないですか?」って聞いてくれる。
そして手術の様子を中継してくれます。

やっぱり5~10分で取り出せるものではないようだ。
時間がかかってます・・・
でも里彩の時のように乱暴に体が振り回されることはない。

「あ、頭が見えましたよ。」
どれだけの時間がたったかわからないけど、
麻酔科のシスター先生が教えてくれた。

それからは多少揺さぶられる感じで、引っ張ってるのがわかる。
やっぱりチュルンと簡単に出るもんじゃないんだなーって思う。

まだかなぁ、早く無事に取り出して手術終わって欲しいよーっ
て祈るような気持ち。
完全に他力本願。あとは頼んだ・・・

「あ、もうすぐ出ますよ!」

そういわれた途端、悪夢がやってきた。

お腹全体がグフフ~っと動かされた感覚と共に
右のお腹の上が刺すようにそれはそれは痛いではないの。
里彩の時の羊水塞栓の時のような、命の危険を感じるほどのことではないけど、
苦しいくらい痛い!

「痛い痛い。」と騒いだら、どこが痛いかのやりとりの後、
麻酔科の先生が慌てた様子で、「麻酔を足しますね!」

「あ!出てきましたよ~」
非常に感動的なこの瞬間、私は痛みのせいで、それどこじゃない。

痛いけど、でも、早く泣いてくれーと思う余裕はある。

ちょっとして、
「ふぎゃ、んぎゃーー・・・」

「わ~(体が)大きいぃ~、声も大きいね~」
誰かわからないけどうれしそうな女性の声。

泣いたーーー生きてるぞーーよかったーーー
そして痛いけど私も生きてるぞーーー

眼鏡をかけてもらって、
くしゃくしゃの顔で泣いてる赤ちゃんを見たら、
ちょっと涙が出たよ。

里彩を生んで以来、
もう命がけの出産は無理だ・・・でも赤ちゃんはほしい・・・と
5年も6年も迷い続けた自分を乗り越えられた瞬間。

やっと会えた二人目ちゃん!

痛いけど、感動する余裕はあった今回の帝王切開。

そのままストレッチャーに乗せられて、病室へ。

麻酔のせいで痛みは引いたけど、眠い!パパと喋りながら眠りに落ちそうになったり寝ずに喋りたくてがんばって目を覚ますの繰り返し。

今回2003mlも多量に出血し、12以上あるべきヘモグロビン7.9まで落ちてしまいました。

子宮の下の方をT字切開して、縦に縫うのに時間がかかってる間だらだら出血したんだって。
幸い輸血することなく、その後5日で退院という大学病院ならではの強行スケジュールなのでした。
















病室から

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: