臥雲県-ただ一つの森の中-

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第十六説 中編


猫無が上から降ってくる。
「あああぁぁぁ!!・・・あれ?」
これだけの距離を落ちれば、ものすごい痛いに決まってると思い込んでいた猫無は驚いた。なぜか、猫無の下には豪華なソファーが。
「なんか、やさしい敵だな。って先生!!?」
豪華なベッドですやすやと眠る水草先生を猫無が見つけた。猫無が大声をあげたせいで水草先生が起きる。
「ふぁ~あ・・・えっ!?寝込みを襲うなんて!」
「いやいやいや・・・違いますよ。」
「のどかじゃなくて私だったのね!!まぁ仕方ないわよね。こんな美人でかわいいくて、魅力的だもんね。」
猫無も成長したのか、水草先生を無視する。
「そういえば先生、なんで寝て・・・」
勢いよく少し気になっていた飾りだと思われる、いい感じの電話ボックスが急に開いた。それにビビリ、猫無はソファーの陰に隠れる。
「猫無じゃねぇか!」
聞き覚えのある声。おそるおそる覗いた。
「雪!!・・・なんでそんなとこから?」
やっと雪の体が全て出てくる。
「あ~疲れた。」
さっきまで猫無が座っていたソファーに雪が腰掛けた。
「あれ?おまえもあそこから出てきたんじゃねぇの?」
「違うよ。おれはなんかよくわからない、洞窟。もう泥だらけだよ。」
汚れた部分を雪に見せ付ける。
「2人とも大変だったねぇ・・・。ふあぁあ。」
完全に人ごとだというように、水草先生があくびをした。
「あっ!先生いたんですか!!?」
雪が軽く動揺する。
「なによぉ。いちゃいけないっていうのぉ?」
頬を膨らました。
「い、いえ!いちゃいけないってわけじゃ・・・。」
雪は赤面し、目をそらす。それをみて、猫無は思う。
「・・・雪ってさぁ。」
「ん?」
「水草先生のこと好・・・」
猫無の口を雪が必死で押さえた。
「むふぁfじうshf・・・」
「えっ!?なに?ちょっと、雪君~。放しなさいよ~。私のことなによ。」
「あ~いや、その~・・・無理です!」
猫無の口に手を押さえたまま、雪が猫無を電話ボックスにつっこむ。
「ぷはぁ!雪、急になにを!」
「うるせぇ!入ってろ!!」
「雪君!猫無君を出しなさい!!」
「嫌です!!!あっ!!」
雪が指を指す。その先にあるドアがいつの間にか開いていた。
「あれ?雪君、開けた?」
「開けてないです。」
「じゃあ、敵が誘っているのね・・・。いこっか。」
ベッドを飛び降りる、水草先生。
「レッツゴー♪」
「おー♪」
「雪・・・。」
ノリノリの雪を見て、猫無はひく。それを見て雪は、引きずりだし、腹に一発殴った。
「さぁいくか、猫無。」
「う、うん・・・。」
3人でワイワイしながらしばらく歩いていると、青い大きな扉が進路を塞いでいた。扉には大きくDと掘ってあった。
「D?なんのことだ?」
雪がたずねる。
「・・・ドラゴンじゃない!!?人の姿もかっこいいんだろうなぁ・・・」
猫無がうれしそうにいう。
「それほどすごい気は感じねぇけど。」
即、否定。
「・・・ドラえもんのDだったりして!」
「いやいやいや、ないですよ。ドラえもんがいるわけないじゃないですか。まぁとりあえず、開けますか。」
「「お~!!」」
雪が重い扉を押す。3人はなにがでてくるのか楽しみでドキドキしていた。
「・・・ようこそ。我が部屋へ。」
3人が中へ入ると、1人の男が足を組んでイスに座っていた。めがねを掛け、おぼっちゃまヘアーのいかにも勉強ができそうな顔をしている。もちろん扉は自動で閉まる。
「おまえはだ・・・」
「おっと、早まんないでくれ。今から自己紹介するからね。ぼくの名前は出来杉 のび太(できすぎ のびた)。以後よろしく。」
名前を聞いて、水草先生が気付いた。
「ドラえもんだ!!」
「・・・いないですよ。出来杉 のび太って名乗ってたじゃないですか。」
「そうじゃなくて!!あの扉のD、やっぱりドラえもんであってたのよ!!」
「なにいってるんですか?大丈夫ですか?」
猫無が水草先生の頭を本気で心配する。
「だから、今、目の前にのび太くんと出来杉くんの名前をあわせ持つ人がいるじゃない!!」
「「!!おお!!!すげぇ!!!」」
猫無も雪もようやく気付いた。
「・・・ぼくが名前を名乗ったのだから、自分達も名乗るのが常識じゃないかい?」
「「「あっ!すいません・・・。」」」
単調にそれぞれ名前を名乗っていく。
「ちょっと、いいですか?」
そういって、3人は集まり固まった。
「ちょっと、疑問に思ったんだけど、いい?」
「「どうぞ。」」
「あの出来杉 のび太の力が、本人達の名前どおりだとするわよ。だとしたら、天才?どバカ?」
2人とも頭を抱え、考える。雪説。
「平凡なんじゃないですか?うまく中和されて。」
猫無説。
「たぶん、出来杉くんが上回ってると思う。めっちゃ丁寧だし。」
「んじゃ、当たってたほうに・・・なんかあげる!」
「「決めといてくださいよ!!」」
出来杉 のび太が咳払いをする。
「ごめんねぇ。待たせたでしょ?」
「いえ。では、やりましょうか。」
イスの足元にあった、縄跳びを手に取った。出来杉 のび太の武器は縄跳びのようだ。
「のどか!」「幽海!」「ラキ!」
それぞれパートナーの名前を呼ぶが返事がない。もちろんここにいないからだ。
「「「しまったぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」
出来杉 のび太が縄をほどいて近づいてくる。
「「「ちょっと、待ったぁ!!」」」
ピタリと歩めるのをやめた。
「武器がねぇんだ。なんか貸してくれ。」
「おっと、忘れてた。パートナーさんがいっしょにいないんだったね。くっくっく・・・。」
ゆっくりイスの横にあった箱に手を掛けると、猫無達に向かって投げる。
「その中から好きなものを選んでくれたまえ。」
箱を開けると、中にはおはじき、お手玉、ゴム縄、竹とんぼ、コマ、あやとりの紐が入っていた。どれも戦闘にむかない、子供の遊び道具ばかりだった。それを見て、雪がキレる。
「おいコラ!ナメてんのか!?あぁ!?」
「おやおや、怖い怖い。使わないんですか?んまぁそれでも結構ですが、この部屋は特殊でね、ぼくへの直接攻撃はすべて無効化されるんだね、これが。」
「ちっ!!」
しぶしぶ道具を選ぶ3人。
「ほらほら見てみて、ほうき!いや~、まだ覚えてたのね。身体が。」
水草先生に至ってはあやとりをし始める。そんな水草先生を無視し、猫無はおはじき、雪はコマを選んだ。
「いいかね?じゃあ、行くぞ。」
出来杉 のび太が1度、縄を横に弾くと、ふにゃふにゃだった縄は硬直し、長い棒になる。
「マジかよ!?」
それを見た雪は急いで、コマからゴム縄に持ち替え、何重にも重ね、硬くなった縄が雪の頭上に来たときに両手に持って、頭上で左右に思いっきり引っ張った。やわらかいゴム縄でも何度も重ね、引っ張ると丈夫にもなり、持っている側が手を離さなければ、どんな力を加えても曲がらなくなる。
「あっぶねぇ・・・。」
「まだですが。」
そういうと、やさしく硬くなった縄をなでる。さっきまで持っていた部分がふにゃふにゃになった。縄を回し、雪にぶつける。
「ぐっ・・・。」
腹にもろに入り、思わず方膝をついた。
「おや、すいませんねぇ。一応、片方10キロ程度しかないんですけど、痛かったですか?」
雪の頭上にあった硬くなった縄もふにゃふにゃにし、出来杉 のび太の手元に戻る。
「だ、大丈夫!?」
猫無に心配されると、立ち上がった。
「てか、おまえなんかしろよ!!」
「おはじきでなにすればいいのさ!!」
「わかんねぇのに手に取るな!!貸せ!!」
猫無から、雪はおはじきを奪い取る。
「思いっきり投げれば痛ぇだろ。くらえ!おはじきのショットガン!!」
雪がおはじきを出来杉 のび太に投げると、出来杉 のび太は縄跳びを自分の目の前で振り回し始めた。おそらく、それで弾くつもりだろう。だが、回し始めると出来杉 のび太がゆらついた。そのせいで、縄が身体に巻きつく。
「くっ・・・ぼくとしたことが・・・!?」
身動きがとれない状態で無数のおはじきが出来杉 のび太に襲い掛かった。
「ラッキー♪自滅しやがった。でも、いったいどうして?」
「目を回したのよ!」
さっきまであやとりに夢中だった水草先生がずばり答える。
「そ、そんなわけないだろ!!」
縄で身動きがとれない中、必死に否定する、出来杉 のび太。
「「(図星だ・・・。)」」
「やっぱり・・・。あいつはのび太くんといっしょで、バカなのよ!!」
「いや、さっきまでちゃんとした攻撃をしてたし、偶然じゃないですか?」
「え~、だってさっきまであやとりをしている私をチラチラ見てたもん。」
どうしても、バカ説を突き通す。
「それは、注意を払ってただけじゃ・・・。」
「のび太くんはあやとりが好きなのよ!」
「かもしれませんけど・・・。」
「ぐっ!」
雪と水草先生で話し合っていると、遠くから出来杉 のび太が苦しむ声がした。2人で見てみると、いまだ絡まっている出来杉 のび太が、猫無におはじきをぶつけられていた。
「一旦、動物の姿に戻ってもらえばいいのに・・・。本当のバカかも」
「バカなのよ!!!」
「・・・ですね。バカです。」
ようやく認める。
「とどめ、さしちゃって。」
「・・・はい。」
たった1度でも出来杉 のび太に攻撃を当てられたことがショックで肩を落としながら、向かう。
「猫無、どけっ!!」
なんにも悪いことをしてない猫無が怒鳴られた。
「は、はいぃ!!」
急いでどける。
「おいコラ。よくも1発いれてくれたな。100倍くらいにして返してやるよ。」
「ひっ!」
雪が縄が絡まって倒れこむ出来杉 のび太の顔面を殴る。そのあと、腹に数発いれ、両手、両足をへし折った。極度の激痛が走り、出来杉 のび太は気を失い、試合終了。縄は元の動物の姿に戻る。
補足 前に出てきた双子姉妹の我的姉妹(第8説 中編から登場)の場合は双子だったので、どちらか片方が両手、もう片方が両足を使えなくなったので、戦いは強制終了しました。今回の場合は双子でもなんでもない人だったので、両手、両足が使えなくなったから、戦闘は強制終了いたします。あと、人が両手、両足にダメージを受けるではなく、その人のペットが両手、両足にダメージを受けた場合も強制終了いたします。そこらへんの説明が不足していたので、今、補足させていただきました。
動物の姿は珍しい青い猫だった。その猫は猫無達が入ってきた扉の反対側にあった穴へ落ちていった。
「出口かなぁ・・・。」
「さぁな。」
「次は誰がくるのかしら?ジャイアン?しずかちゃん?」
「「まだドラえもんシリーズかよ!!」」
水草先生はわくわくしながら穴へ入る。それに続いて雪が入ろうとする。が、背中になにか寒気を感じ、身震いをした。後ろを振り向くと気絶しているはずの出来杉 のび太がいなくなっていた。
「ん?どうしたのさ?」
「・・・あ、いや、なんでもねぇ。」
不思議に思いながら穴に入る。そのあとすぐに猫無も穴へ飛び込んだ。

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