美味しいワインと出会う旅

Chambertin　Domaine　Camus　1979　CP99

自宅のセラーで飲み忘れていた一本です。段ボールごと水をかぶってドロドロになっていた汚い瓶です。インポーターは今は無き大沢商会です。大沢商会出身の優秀なインポーターは沢山います。会社は無くなっても人材は今も活躍しています。

1979年のブルゴーニュはパーカーの評価も低く、「私はこの年のワインを買う気になれない」とまで書かれています。

ドメーヌ・カミュに関してはこれまた酷評です。「過大評価されている生産者」「このドメーヌのワインを理解できたためしがない」と書かれています。3週間の長い仕込みと30カ月の樽熟、1830年以降全く変わっていない古典的つくりを猛烈に批判されています。

パーカーさんの評価は低いですが、個人的にはとても好きな蔵でして、昔200人の宴会に78年のシャンベルタンを4ケースお出しした事もあります。皆さん大変良い評価を頂いたのを覚えています。

と言う事でヴィンテージも生産者も酷評されたワインですが、開けてビックリ凄いワインでした。

色はオレンジがかった薄めの澄んだルビー色、香は苺ジャム、獣、なめし革、バラ、紅茶、花粉、森の下草、キノコ、甘く柔らかい香りが部屋中に溢れ出します。そして何時までも消えません。まるで香水の瓶を開けた様です。うっとりと香りだけで酔えそうです。

味はタンニンはほぼ姿を消し、太い酸がワインを支えています。ミネラルとエキス分でもっているのがよく判ります。実に甘く柔らかい果実味が心地よいです。正にトロットしていて、ビロードの様な喉越しで幾らでもスルスルと喉を通って流れて行きます。古酒の醍醐味ここにありと言った感じです。人気のトルショーが年をとったらこんなワインになると思います。凄いワインであっという間に空っぽになってしまいました。幸せです。

30年経って十分な果実味があって飲んで美味しいシャンベルタン、実に見事なシャンベルタンらしいワインでした。古典的な作りのカミュならではと思います。当家のセラーが20年間異常が無かった事もついでに確認出来ました。