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| 作者:J・ラコタ(PN&HN) ―2022年 3月― この話はラルドとカインが出会う、2ヶ月も前に遡る。 ―フランスの首都パリ― ―パリの警察署― 警部補「諸君。今日集まってくれたのは、他でもない。あのロシア最大の麻薬の密売人であり、ロシアンシンジケートの首領、イヴァン・ノヴァコフスキーが先週、ロシアのモスクワで確認された。」 警部補が合図を出すと、目の前の壁に映っていた絵が変わる。 写っているのは、中年の男性だった。 警部補「ところがだ。あいつはモスクワから姿を消した。」 警部「しかし、昨日、ある場所でノヴァコフスキーが見つかった。それは、このパリだ。」 警部補「これを見ろ。」 警部補がそう言った後、スライドが変わった。 警部補「これが奴の経歴だ。奴は、ヨーロッパの国々でも指名手配されている犯人だ。」 警部「しかも、奴の犯した犯罪の数は半端ではない。強盗、殺人、脅迫、窃盗など、合計24件の罪に問われている。」 その直後、再びスライドが変わった。 警部「これが、奴がこのヨーロッパで犯罪を行った場所だ。」 警官たちがざわつき始める。 警部「我々の国とロシアを除くとしても、ウクライナにルーマニア。ドイツ、ノルウェー、ベルギー、さらにポルトガルやブルガリアなどを含むヨーロッパの16カ国でも奴はお尋ね者だ。」 刑事「これは機密事項だったが、今度こそあの犯罪王を捕らえなくてはならない。 そこで、我々は、他の国の警察と連携して、あの凶悪犯を捕らえる作戦に出る。 この際、民族的な争いなどは一切除外しなくてはならない。」 警部「例え、奴が他の国に逃げようとも、国境沿いには警官が配置に就いていて、空港や港でもイヴァンの国外逃亡を阻止しようと専念している。 奴はこのフランスに閉じ込められたということになる。」 警官1「質問しても?」 1人の警官がそう言った 警部補「何だ?」 警官1「我々の配置はどうなるのですか?」 警部補「お前達はこのパリで警備を行う。いいか、今、3名の警官が休職処分になっているが、そいつらも呼び戻して、警備も倍にする必要がある。」 警部「これは周辺の国との連携が必要になる作戦だ。さぁ、モタモタしていられないぞ。 解散!急いで準備に掛かれ!」 警察官たちが解散していく。 だが、警部と警部補はそこに残った。 警部補「・・・しかし、どうしますか?この警備体制となると、今、休職中の3人も含めても、少し足りませんよ?」 警部「となると・・・、・・・今年卒業した新米たちを呼ぶとしよう。」 警部補「しかし、ライアン警部、まだ見習いの彼らにその荷は重過ぎると思いますが・・・。」 ライアン(=警部)「心配ない。今回の卒業生たちの中には、私が直接訓練した奴もいる。 そいつらをかき集めるんだ。」 警部補「りょ、了解!」 ―首都パリ― 今、フランスは3月末。春まであと少しだが、肌寒い気温である。 だが、そんな歩行者路の一角で、1人の少女が座っている。 少女「・・・寒いなぁ・・・。」 少年「お待たせ。リリス。」 リリス(=少女)「遅いよ、ラザロ。」 ラザロ(=少年)「ゴメン。」 だが、2人が会話している内に、粉雪が降り始めてきた。 ラザロ「雪だ・・・。」 リリス「綺麗・・・。」 ラザロ「・・・なぁ、リリス。」 リリス「何?」 ラザロ「この3年間・・・。何していたんだい?」 リリス「・・・それは色々と・・・。」 ラザロ「分かっているさ。話したくないなら、別にいいよ。」 リリス「・・・機嫌悪くしちゃった?」 ラザロ「いいや。」 少女の名はリリス・ウッドサティラ。 彼女の操る力は重力。初めは暴走していたが、今では完璧に制御できる。 一方、少年の名前は、ラザロ・ヴァンベルデーン。 彼はリリスの幼なじみだ。 リリスが持つ特別な力を知った時、彼以外の子供はリリスを気味悪がった。 だが、ラザロは違い、彼女を気味悪がらず、仲良しになった。 そのお陰で、リリスにも友達が出来たのである。 小学校を卒業すると、2人は別々の学校へ別れてしまった。 だが、今、3年の時を経て、こうして彼らは再会した。 しかし、リリスはプラノズと出会う前の記憶をプラノズによって、封印されていた。 だが、彼女が自分の能力をコントロールする訓練をしているときに、誤って木箱を自分の頭にぶつけてしまった。 その時のショックで、彼女に掛けられていたプラノズの封印が解け始めたのだ。 最初に思い出したのが、ラザロの事だった。 そして、時が経つ内に、次々と記憶を思い出し始めた。 今では、ほとんど全部の記憶を取り戻し、彼女はプラノズのもとから逃げ出したのだ。 ラザロ&リリス「・・・あのさ。」 2人の言葉が重複した。 リリス「あ、あの・・・、」 ラザロ「いいよ、先に話して。」 リリス「い、いいよ。ラザロが先よ・・・。」 ラザロ「・・・そういえば、前にもこんなことあったよな・・・。」 リリス「・・・え?」 ラザロ「小学4年の時のクリスマスパーティの時だよ。 あの時、僕らはこうやって階段に座って、雪の降ってくる空を見上げていたよな。」 リリス「・・・うん・・・。」 和んだ雰囲気が続く。だが、リリスはこれからのことを考えていた。 「これからどうすればいいのか?」 その疑問が頭の中に浮かぶ。 プラノズのところから逃げ出したはいいが、これからどうすればいいのか迷っているのだ。 家出した自分の家はもう既になくなっていたため、家族のもとには帰ることができない。 と言って、どこかで泊めてもらうのも、やはり忍びなかった。 あれこれ考えているリリス。 ピロリーピロリー。 リリス「え、な、何?」 その無言の状態を打ち消すかのごとく、ラザロの携帯が鳴った。 ラザロ「あ、ゴ、ゴメン、僕の携帯だ。」 リリス「・・・わかったわ。」 ラザロ「・・・はい。・・・え?本当ですか!?・・・はい。・・・はい、すぐ行きます。」 ピッ、 リリス「どうしたの?」 ラザロ「実は話そうと思っていたけど・・・。」 リリス「えーっ!警察官なの?ラザロが?」 ラザロ「正確にはまだ新米の見習いだけど。・・・リリス。力を貸して欲しい。」 リリス「どうして?」 ラザロ「実は、この町に凶悪犯がいるんだ。ロシアンマフィアの親玉とその集団が。」 リリス「でも、私なんかが行っても・・・。」 ラザロ「大丈夫、君なら出来るはずだよ。重力を操れる君の力なら、マフィアとも戦える。」 リリス「・・・。」 ラザロ「・・・ゴメン。今のは、・・・忘れて。」 リリス「・・・私が行っても、何の力にもなれないわ。本当に良いの?」 ラザロ「・・・目を閉じて。」 リリス「え。・・・う、うん・・・。」 リリスは目を閉じた。 だが、ラザロは彼女を抱いた。そして・・・、 ・・・ラザロとリリスがキスをした! リリスは目を開けてみるとビックリした。 それも当然。不意を突かれたキスだったのだ。 そして、2人の口元が離れた。 リリス「・・・ラザロ・・・。」 ラザロ「・・・ゴメン・・・。」 リリス「うぅん、いいのよ。私もあなたが・・・。」 しかし、突然のサイレンの音で会話が中断された。 ラザロのいる歩道の前に走りこんできたのは、スウェーデン製の青いボルボだった。 ライアン「ヴァン!」 ラザロ「ら、ライアン教官!」 リリス「ラザロ・・・。」 ライアン「ほぅ、ラザロ。お前の恋人か?ハハハ、お前も隅に置けんな。」 ラザロ「催促にでも来たんですか?」 ライアン「ちょっと近いな。早く乗れ。」 ラザロ「・・・リリス。・・・僕、行ってくるよ。」 リリス「・・・。」 リリスは微笑んだ。 そして、こう言った。 リリス「頑張ってね。ラザロ。」 ラザロ「うん。君も気をつけて。」 ラザロはライアン警部の車に乗った。 ラザロ「警部、話によると・・・。」 ライアン「あぁ。その通りだ。配置する警官たちだが、数が少し足らない。そこでだ。私がみっちりと鍛えた今回の警察学校の卒業生達を呼ぶことにした。 だが、これが始めての実戦だぞ。気を抜くな。」 ラザロ「はい!」 リリスはラザロの乗った車を見送った。 そして、目の前の坂道を下った。 しかし、彼女は坂を下った直後、突然、倒れた・・・。 その直後、彼女は救急車で病院へと運ばれた。 ―フランス警察署 資料保管室― ラザロは警察の資料保管室にいた。 ここには、犯人の資料や、被害者の資料がある。 ラザロ「はぁ・・・。」 ライアン「どうした?」 ラザロ「あっ、・・・はぁ・・・、警部でしたか・・・。」 ライアン「今何時だか分かるか?」 ラザロ「午後8時30分では?」 ライアン「いいや、今は午前5時だ。」 ラザロ「はぁ・・・、徹夜してしまった・・・。」 ライアン「どうしたんだ?この頃、ずっとこの資料保管室に入り浸っているようだが?」 ラザロ「・・・他の人には、話さないでくださいよ?」 ライアン「ん?・・・あ、いいとも。」 ラザロ「実は・・・、「ウッドサティラ」という名前を知っていますか?」 ライアン「ウッドサティラ・・・。・・・あの夫妻か?」 ラザロ「えぇ、そうです。そして、その夫妻は自分の子供の行方が分からずに、捜索願も出してきました。でも・・・、」 ライアン「でも、その夫妻は残念ながら死んでいる。殺人事件でな。犯人も見つかっていない。」 ラザロ「えぇ・・・、残念だな。彼女に生きている両親を合わせてあげたかった・・・。」 ライアン「彼女?」 ラザロ「リリスですよ。リリス・ウッドサティラ。」 ライアン「あの女の子か!?お前とキスをしていた!?」 ラザロ「声が大きいですよ、警部・・・。」 ライアン「あ、す、すまん・・・。とりあえず、お前はゆっくり休め。」 ラザロ「・・・分かりました。」 しかし、その直後、 警官「警部、大変です!」 ライアン「どうした!?」 警官「中央病院で銃撃戦が発生しました!警備主任が警察に応援要請をしてきました!」 ライアン「何だと!?わかった。すぐに向かう。」 ラザロ「・・・行きます。」 ライアン「大丈夫か?」 ラザロ「えぇ。」 ライアン「・・・わかった。行くぞ。」 ラザロ「はい、警部。」 ライアンとラザロは現場へと向かった。 ―フランス中央病院― 病院の壁には銃弾の跡。 床には空になった弾が落ちていて、血が流れている。 ライアン「くそっ、遅かったか・・・。」 病院の中から警備員が1人出てきた。 右肩を負傷している。 ライアン「何があったんだ?」 ライアン警部はその警備員に聞いた。 警備員「いきなり、銃撃戦が始まって、患者数人が撃たれて重軽傷です。私は肩を撃たれて、犯人は残念ながら見ていません・・・。」 ライアン「ロマーノ警備主任は?」 警備員「あそこです。」 警備主任「大丈夫だ。ドクター、はやく治療してやってくれ。」 ライアン「ロマーノ。・・・いったい何があったんだ?」 ロマーノ(=警備主任)「犯人はロシアンシンジケートだ。」 ラザロ「状況はどうなんですか?」 ロマーノ「警備員8名と医者1人が負傷。死傷者はいない。だが、女の子が1人さらわれた。」 ロマーノ警備主任は一枚の写真を胸ポケットから取り出した。 ロマーノ「この女の子だ。」 ロマーノはその写真をライアンに渡した。 その写真を見た2人は、愕然とした。 ラザロ「リリス・・・。」 ライアン「・・・犯人達はどうなった?」 ロマーノ「すまない。あいつらは数分前に逃げた。1人も捕まえることが出来なかった。」 ラザロ「何故こんなことに・・・。」 ロマーノ「・・・だが、この病院に内通者がいた。」 ライアン「何だと?」 ロマーノ「しかし、何故、この少女をさらう必要があったんだ?」 ラザロ「何故、リリスが・・・。」 ライアン「・・・くそっ、やっぱりか!」 ラザロ「警部・・・?」 ライアン「やはり、俺の勘が正しかったんだ!」 ロマーノ「どういうことだ?」 ライアン「ウッドサティラ夫妻が殺されたあの事件、俺は犯人がロシアンシンジケートだと思った。 ウッドサティラ夫婦は実はロシアンシンジケートと関わりがあると考えたし、こんな荒っぽい手口に、このサブマシンガンが現場に落ちていた。 だが、残念ながら、立証が出来なかった。 ・・・すまない、ラザロ。」 ラザロ「・・・。」 ラザロは怒って、病院から出て行った。 ロマーノ「・・・あの新人は?」 ライアン「俺の部下だ。だが、そのさらわれたリリス・ウッドサティラの旧友だったらしい。」 ―14時間後― リリスはどうなっているかと言うと・・・、 リリス「う、うぅん・・・・、」 リリスが目を覚ました。 そこは何処かのうす暗く、狭い部屋。 リリス「(・・・ここはどこ?・・・う、動けない・・・?)」 リリスは周りを見ようと、立ち上がろうとした。 しかし、彼女はイスの上に座らされて、縄で縛られていた状態だった。 さらに、首にも何かある。恐らく、首輪か何かだろう・・・。 目の前にあるドアの下部分から光が漏れる。 そして、声が聞こえる。 ???1「にしても・・・、何故、あの娘をバラさねぇ?」 ???2「何でも、ボスはあの娘を奴隷市に売り飛ばすんだとよ。」 リリス「!」 ???3「え?イグニスって奴に渡すはずだったんじゃないのか?」 リリス「!!」 ???2「いいや。あの娘は美人だし、今、奴隷市ではフランス娘の値が高いんだとよ。」 ???3「ほぅ、妥当だな、ボスも。」 ???1「そりゃぁ、確かにバラすよりも儲けになるな。」 ???2「そういうこった。」 そして、足音が聞こえる。 3人は部屋の前から去っていくようだ。 リリス「(・・・どうしよう・・・。私・・・、奴隷市に売り飛ばされちゃうの?・・・お願い、誰か私を助けに来て・・・。)」 その頃、ラザロはというと・・・。 ラザロ「・・・。」 店の店主「お客さん・・・、あんた酒をながめているだけだな。」 ラザロ「・・・。」 店の店主「あーはいはい、分かったよ。」 店の店主はそう言った。 ラザロの目はすこし虚ろになっていた。 そこで、店にまた別の客が入ってきた。 ・・・ライアン警部だ。 ラザロ「ライアン警部・・・。」 ライアン「ラザロ・・・。・・・酒を飲んでいるのか?」 ラザロ「全く・・・、女の1人も守れないなんて・・・、」 ライアン「・・・ラザロ。酒に酔ってもその原因が解決されるわけではないんだ。 頼むから、私と同じ間違いをするな。酒に逃げないでくれ。」 ラザロ「・・・警部も?」 ライアン「あぁ。前にも似たことがあった。捜査が行き詰まったときに、私も同じことをやってしまった。 その後、2日間は吐き気が収まらなかった。 それは・・・、おまえの両親が殉職したときのことだ。」 ラザロ「・・・!」 ライアン「・・・お前は、とりあえず、水でも飲んで酔いを覚ませろ。」 ラザロ「・・・警部。僕、酒をまだ飲んでいないんですけど・・・。」 ライアン「とにかく、頭を冷やすことだ。今日はもう帰れ。」 ラザロ「・・・わかったよ。・・・ありがとう、叔父さん。」 ラザロは店から出て行った。 ラザロが去った後に、カウンターの上には酒が一杯注がれただけのグラスがポツンと置かれていた。 ライアン警部はそのグラスを見た。 そして、その酒を一気に飲んだ。 ラザロは町を歩き、自分のアパートへと向かっていた。 だが、いつもとは別の道順を辿り、彼は寂れた裏通りに出た。 その時だった。 その寂れた裏通りの1つの建物に、明かりがついていたのだ。 ラザロは少し不思議に思い、その建物を覗いた。 すると・・・。 ガチャッ、とドアの開く音。 中に入ってきたのは、リリスと数人の黒いメガネを掛けた男達。 そして、彼らを待っていたのは・・・、 ???4「待たせたな。」 ラザロ「(・・・あれは、イヴァン・ノヴァコフスキー。それにリリスまで・・・。どうする気なんだ・・・?)」 イヴァン(=???4)「ほぅ、いい娘だな。育ちもいいな。これは確かに高値がつく。」 男1「どうしますボス?」 イヴァン「当然、奴隷市へ売り飛ばす。」 ラザロ「(!!?)」 男2「残念だな・・・、いい娘なのに。」 男3「結合してやりたいけどな。ハハハハ。」 リリス「い、いやぁぁ・・・。」 イヴァン「おい、手を出すな。」 ラザロ「(大変だ・・・。リリスが売り飛ばされちまう・・・。何てこった・・・、こりゃぁ、人権違反だぜ・・・。)」 ラザロはそう思いながらも携帯電話で、警察署を呼び出した。 ライアン「ラザロか。アパートに着いたのか?」 ラザロ『叔父さん、大変だよ。それが・・・、』 ライアン「・・・何だと!?分かった。そこで待機していろ。10分で着く。」 ライアンはすこし乱暴に受話器を戻した。 ライアン「ノヴァコフスキーがいたぞ!10分以内に出来る限り警官を集めろ!」 警官「了解。」 「10分待て」というライアン警部の命令を受けたラザロ。 しかし、彼はその命令に従わなかった。 ラザロ「(10分も待っていられない。こうなったら・・・、)」 ラザロはなんと、銃を出し、手に持った。 ラザロ「(実弾を人相手に撃つのはこれが初めてだ・・・、落ち着け、落ち着けラザロ。)」 彼は深呼吸し、気持ちを落ち着けた。 そして・・・、 ドンッ! ラザロ「警察だ!動くな!」 ラザロは遂に踏み込んだ。 しかし、やはりマズかった。目の前には大勢のギャングがいる。 しかも、ショットガンやら、拳銃やら、サブマシンガンや自動小銃まで、ありとあらゆる武器がラザロに向けられていた。 「絶体絶命。」 ラザロはそう頭の中で思った。しかし、ギャング達に突っ込んでいった! もはや、彼は玉砕覚悟だ。 だが、急に彼のスピードが上がった! ラザロ「(な、何だ!?)」 本人もそれに驚いている。 なんと、高速移動しているのだ。 ギャング達はラザロに銃を構え、撃った。 しかし、彼らが撃ったのは残像だった。 ラザロ「(何だ?この力は・・・。・・・でも、いける。いけるぞ!)」 ラザロはその高速移動の能力を使い、ギャング達を物凄いスピードで倒していく。 あっという間に、ギャングたちはラザロによって倒されて気絶した。 ラザロはさらに奥へと向かう。 イヴァン「何だ?今の音は?」 イヴァンがそう言った直後、部屋に1人の男が飛び込んできた。 男4「ボス、大変だ。サツだ。」 イヴァン「何だと?」 男4「相手はガキ1人だが、そいつは入り口の前にいた奴らをあっという間に倒しちまった!」 イヴァン「・・・お前達。そのガキをぶっ殺せ。」 イヴァンはショットガンを男達に手渡した。 男4「でもボス・・・、」 イヴァン「相手はたった1人なんだろ?」 男4「あぁ、そうだ。」 イヴァン「楽勝だろ。この部屋に通じるのはたった1本の通路だが、その通路は狭い。 どんなに早い相手だろうと、無理なはずだ。」 男4「あいよ、ボス。」 男達は部屋の外へと出て行った。 イヴァン「クフフフフ・・・、奴隷市ではお前のような、少女がどうやって売られるのか知っているか?」 リリスは青ざめた顔をし、首を横に振った。 すると、イヴァンはこう言った・・・。 イヴァン「身包み剥がして、裸体にして売るのだ!ハーッハッハッハッ、」 リリスの目の下には涙が流れていた。 リリス「(狂っている・・・。)」 リリスはそう思った。 一方、ラザロは奥に進んだ。 そして、目の前には、狭い一本の通路が。 だが、ショットガンを構えた4人組の男がいる。 一斉に撃ってきて、ラザロは急いで物陰に隠れた。 物陰に隠れながらも、ラザロは応戦する。 1人倒した。 しかし、相手の銃弾が彼の右肩を掠めた。 すぐさま彼は物陰に隠れて、傷口を抑える。 このままでは、とても進めない。 その時、彼はあることを思いついた。 彼は拳銃をスプリンクラーに向けて撃った。 ちょうどそのスプリンクラーはショットガンを撃ち込んでくる3人の真上にあった。 すごい勢いで噴き出す水に慌てる3人。 ラザロはすぐさま彼らの前に出て、拳銃を撃ち、ショットガンを撃ってきた全員を倒した。 ラザロはその犯人達の後ろにあったドアを開けて、中へと入った。 すると、その暗がりの部屋の中で、イヴァンがサブマシンガンを構えていた。 リリス「ラザロ!」 ラザロ「リリス!」 イヴァン「ふ・・・、これは傑作だ。まさか、あのウッドサティラの夫婦の娘のお友達が警官とはな。しかも、こんなガキか。」 ラザロ「リリスを離せ。奴隷市なんかに売り飛ばさせてたまるか。」 イヴァン「ほぅ。なかなか勇気のある子供だな。だが、このサブマシンガンには、弾が50発もある。全部ぶち込んでやる事だってできる。 それでもこの俺様に銃を向けるつもりか?」 ラザロ「リリス、お前重力を操れるはずだろ?こんな奴投げ飛ばせるはずなのに・・・。」 リリス「ゴメン、ラザロ・・・。何故か力が・・・。」 イヴァン「ふん、そういうことか。重力を操るねぇ。この首輪が首に掛かっている限り、絶対にそんな力は使えないだろうよ。 少なくとも、コレを俺に渡したイグニスという奴はそう言っていたが、その通りだな。」 ラザロ「誰だ?」 イヴァン「イグニスっていう男は俺に多額の報酬を与える見返りに、この娘を引き渡せと言ってきた。だが、まだ報酬はもらっていないし、この娘は奴隷市では高値になりそうだ。 奴がよこす報酬の、少なくとも3倍にはなる値段だ。ハッハハハハ。」 ラザロ「・・・チッ・・・。(どうすればいい?相手はサブマシンガンを持っている。しかも、弾が丸々50発装填されている。・・・か。・・・それならば・・・。)」 そこでラザロは捨て身の手段に打って出た。 高速移動だ。 だが、イヴァンはラザロの姿を捉えきれずに、あっという間にサブマシンガンを手から叩き落とされて、顔を蹴飛ばされた。 そして、ラザロはイヴァンの腹を殴り、今度は瞬く間に後ろに回りこんで、背中を蹴って、倒した。 ラザロ「あんたには黙秘権がある。これからの発言は、法廷での証拠になる。逮捕する。」 ラザロはそう言って、イヴァンに手錠を掛けた。 リリス「ラザロ・・・。」 ラザロ「リリス・・・、ゴメンな・・・。そばにいてやるべきだった。」 リリス「いいのよ。でも、あの凄いスピードは・・・。」 ラザロ「分からない。何故か突然、あんな不思議な力が出たんだ。」 ラザロはリリスの首に掛かっている銀色の首輪みたいな装置を外そうとする。 しかし、取れそうにはない。 ラザロ「ダメだ、取れない。・・・何か道具を探してくる。」 リリス「いいのよ、ラザロ。私はあまり、この力を使わないから・・・。・・・別に大丈夫よ。」 リリスは目の前にある鏡を見た。 そして、リリスとラザロの姿が映っている。 リリス「・・・フフッ。何だかアクセサリーみたい。」 ラザロ「(-∀-;)」 とりあえずは一件落着した。 だが、ラザロはイヴァンの胸から財布を取り、現金を引き抜いた。 その現金は全部で1000ユーロだった。 (ちなみに、今の状態では、1ユーロ=135円。つまり、1000ユーロと言うことは、13万5千円ということになる。) 警察が到着したのはそれから5分後の事だった。 警官達はイヴァン率いるロシアンシンジケートのアジトへと踏み込むが、ギャング達は皆、何故か気絶していた。 ラザロとリリスもその時に発見される。 ライアン「全く・・・、待機していろといったはずだぞ?ラザロ。」 ラザロ「でも警部・・・、」 ライアン「分かっている。必死だったんだろ? それにしても、あのギャング全員を1人で倒したのか、ラザロ?」 ラザロ「はい。」 ライアン「信じられないな・・・。後で詳しく聞かせてもらうぞ。」 そう言ってライアンは自分の車に乗り、警察署へと向かって行った。 ラザロは連行されるイヴァンを見た。 リリス「ラザロ。ありがとう。それから・・・、ゴメンね。こんなことに巻き込んでしまって。」 ラザロ「別にいいさ。それに、」 リリス「・・・どうしたの?」 ラザロ「ユーロ札。」 リリス「見れば分かるわよ。どうしたの?こんな大金。」 ラザロ「奴の財布から引き抜いておいたんだ。」 リリス「え・・・、ヤダ、それって犯罪じゃぁ・・・。」 ラザロ「この金を使って欲しいんだ。出来る限り、遠くへ行くんだ。」 リリス「で、でも・・・。」 ラザロ「どうせ別れるなら、こういう結末がいいかもしれない。」 リリス「何で・・・どうして?」 ラザロ「僕がシンジケートを潰したことによって、多分、報復が来ると思う。 君をそんな危険なことにはもう巻き込めないよ。もう、僕のことを忘れていい。」 リリス「ラザロ・・・、・・・一生忘れない。だけど、このお金は受け取れないわ。 それに、・・・二度と離れたくないの。」 ラザロ「リリス・・・。」 リリス「私が何処かへ行くときには、あなたも連れて行く。あなたが何処かへ行くときには、私も連れて行く。」 ラザロ「・・・あぁ。分かったよ。」 再び粉雪の降る中で、ラザロとリリスは抱き合った。 ラザロ「解雇命令!?」 ライアン「あぁ。その通りだ。今回の命令違反が引き金になった。」 ラザロ「でも、ロシアンシンジケートのメンバーはほとんど逮捕できたし、麻薬も見つかった。なのに、何故・・・。」 ライアン「確かにその通りだ。表向きは、命令違反が原因だがな・・・、裏は違う。」 ラザロ「・・・はぁ!?」 ライアン「あのリリスとかいう少女だが・・・。」 ラザロ「リリスがどうしたんですか?」 ライアン「・・・お前が守ってやれ。」 ライアン警部はそう言った。 ラザロ「え・・・。」 ラザロは固まるが、ライアン警部はサブマシンガンを出した。 ライアン「コレを持って行け。」 ラザロ「このサブマシンガンは・・・?」 ライアン「弾は全部で50発装填できる。使ってくれ。」 ラザロ「・・・分かったよ。叔父さん。」 ライアン「元気でな。ラザロ。彼女を守り抜くんだぞ。大切な恋人なんだからな。」 ラザロ「うん。」 ラザロはサブマシンガンとその弾倉を持って、部屋を出て行った。 ラザロ「リリス。」 リリス「何?ラザロ。」 ラザロ「君は、何処へ行きたい?」 リリス「え・・・、でも、大丈夫なの?仕事はどうするの?」 ラザロ「解雇命令が出たんだ。君を守れ。ってね。」 リリス「え・・・。」 ここからラザロとリリスの冒険は始まった。 そして、彼らが向かったのは、ギリシャのはずだった。だが・・・、 第13話へと続く |


