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| 作者:J・ラコタ ―イギリス― ―2006年 10月― 中年男性「バカ者っ!」 1人の中年男性が、ある1人の男性の顔を殴った。 この老人、男爵だ。 男爵(=中年男性)「せっかくの許嫁(←「いいなずけ」と読みます)との結婚を断るじゃとー!? 冗談にも限度がある!!」 男性「でも、僕は・・・、」 男爵「言い訳は無用!まったく・・・、少しは兄のラフェルを見習ったらどうなんだ、ジェイド! あやつには、既に娘ができておるというのに、お前は、ことごとく許嫁との結婚を遠退こうと、あの手この手で・・・、」 ジェイド(=男性)「父さん!分かってもらおうと思ったけれど、・・・無駄だったよ。 この分からず屋!!」 と、ジェイドという男性はそう言い放って部屋から出て行った。 男爵「・・・フン、我が家の恥さらしめ・・・。」 ジェイドが部屋の外に出ると、目の前に女性がいた。 女性「・・・どうだった、ジェイド?」 ジェイド「・・・自分の父親があんな分からず屋だとは思わなかった。 ・・・ミリア。もう僕は君と一緒にこの家から出て行くことに決めた。」 ミリア(=女性)「でも・・・、何処へ行けばいいの?」 ジェイド「・・・フランスさ。」 ミリア「・・・え?」 ジェイド「わかっているさ。親と縁切りしたら、資金の援助もなくなってしまうけど・・・、でも、僕ら2人で、できる限りの事をしようよ。 この子のためにも・・・。」 と、ジェイドはミリアの膨れているお腹を撫でた。 ミリア「・・・そうね。」 こうして、許嫁との結婚を拒否し、我が家を飛び出し、親と縁切りした、ジェイドという男性。 彼はミリア・ウッドサティラと共に翌月、イギリスからフランスへと渡った。 それに伴い、彼は名前を「ジェイド・ウッドサティラ」と改め、パリの郊外で住むことになった。 それからというもの。ジェイドは就職先の選択に困難を生じていた。 というのも、「世の中は駆け落ち夫婦に冷たかった」・・・わけではなく、本当ならば、彼は許嫁と結婚していれば、その結婚した相手の家の財産を引き継ぐことになっていたからだ。 だが、その結婚を拒否した以上、イギリスのロンドン~フランスのパリ間を結ぶ、オリエント急行のチケット代、それに、入居と家賃代を差し引くと、残っている財産は、わずか300ユーロ。 300ユーロというと、日本の単位で、1ユーロ=134円と換算すれば、40200円。 一応、節約できれば、半年は持つ見積もり。 だが、ミリアは妊婦。人一倍食べなくては、子供も元気に生まれそうにはない。 ・・・そのため、このままだと、備蓄も食糧もすぐになくなるのは目に見えていた。 が、いざ就職しようにも、なかなか自分に合いそうな就職先は見つからない。 ―現在― ―セルビア・モンテネグロ― 皆さん、この話のタイムラインを既にお忘れでしょうが・・・、 今日の日付は2022年の7月12日です。 つまり、第16話から丸々25日経ちました。 で、キャラクターたちは色々あって、カインとミラルが住んでいる町へと出てくることに。 そいでもって、「家計支えるのが厳しい」というわけで、皆、バイトでその家計代を稼ぐハメに。 まぁ、ほぼ自腹で生活することに。当然、節約も仕方ない。 バイトの仕事にも色々ある。 例えば、鉱山での鉱石採掘の仕事。 この町の近くには、ボーキサイトや鉄鋼を掘り出す鉱山がある。 危険なバイトだが、報酬は1日で大体10~15ユーロ。 しかし、非常に体力と注意深さがなければ勤まらない。 この仕事をやっているのはファラスだ。 何年も森で暮らしている間に、体と感覚を鍛え上げていたので、この仕事には適任だった。 本人も、「これも鍛錬の内だ。」と納得している。 一方、ラルドとウラン、カインの3人組はというと・・・、 なんと、海外進出した「吉野家」でバイトとして働いていた! まさか、日本の牛丼店がこんなところにまで進出するとは・・・。 ちなみに、1日の報酬は1人2ユーロ。 ・・・がぁ、バイトが決まってないのが、約4名・・・。 ―ミラルの家― ラザロ「参ったなぁ・・・セラとミラルさん、もう2時間過ぎているのに帰ってこないなぁ・・・。」 リリス「それに私達・・・、2週間も経ったのに、全然バイトが見つからないし・・・。」 2人「はぁ・・・。」 今、家には2人きり。 ミラルとセラはバイト探しのために家を出ている。 しかし、2人が出掛けてから、既に2時間は経っている。 が、一向に帰ってくる気配は無い。ここはそんなに大きな町ではないのに・・・。 ラザロ「・・・ん?どうしたんだ。リリス、顔赤いぞ?」 リリス「・・・へ?い、いやいや、なんでもないよ・・・。」 とリリスは言って立ったが、突然、力が抜けたかのように、フニャリと倒れてしまった。 ラザロ「リ、リリス!?」 ラザロはリリスのおでこに手を当てた。 ラザロ「すごい熱だ・・・、」 リリス「・・・はっ。」 気が付くと、リリスはベッドにいた。 その側にはラザロが。 ラザロ「良かった。ただの風邪で・・・。」 リリス「どうして・・・、私、こんなところに?」 ラザロ「熱で倒れたんだよ。あれから1、2時間位は寝ていたよ。」 リリスは起き上がろうとする。 ラザロ「ま、まだダメだ、リリス。」 リリス「でも・・・、」 ラザロ「まだミラルさんとセラは戻ってきてはいないけれど・・・、」 リリス「だったらなお更・・・、」 ラザロ「リゾットぐらい、俺だって作れるよ!」 と、ラザロは2階の部屋を出て、1階に下りて行った。 リリス「あ、ラザロッ・・・。(・・・そういえば、お母さんも、私が風邪を引いた時に、同じことをしてくれたっけ・・・。 でも、ラザロ・・・。あなた料理が下手だったはずじゃぁ・・・?)」 話は変わるが、リリスが生まれる前の話。 約16年前のこと。 ジェイドとミリアは就職先が無いことに慌てていた。 だが、ジェイドは自分の家から持ってきた医学書を熟読していた。 そこで、彼は妻とこれから生まれる子供のためにも、と、医者になることを決めた。 そして、医師免許を習得する試験に受かり、ギリギリ、備蓄が切れる寸前に、彼は就職先を見つけることが出来た。 それは、産婦人科の医院で、ちょうど、入居しているマンションのすぐ近くだった。 同僚の中に、これから生まれる子の伏線をもつ人物がいるとも知らず・・・。 そして、それは突然の事だった・・・。 入居から数ヶ月後、3月20日の午前3時。 突然、ミリアが苦しみ出した。 ・・・陣痛が始まったのだ。 すぐに自分の通っている医院に駆け込むジェイド。 ジェイド「ワーグナー、ジュリア、」 ワーグナー「どうしたんだ、ジェイド。・・・あ、奥さんか・・・、」 ジュリア「陣痛が始まったようですね。すぐにオペ室へ!」 ミリア「ジェイド・・・、」 ジェイド「大丈夫、僕がついているから・・・。」 緊急手術が始まった。 ミリア「く、苦しい・・・、」 ジェイド「息んで、息むんだ。」 ワーグナー「一応、痛み止めを打った方がいい。」 ジェイド「あぁ、その通りだな。」 と、ジェイドは同僚のワーグナーから痛み止めの入った注射器を受け取り、それをミリアに注射する。 ジェイド「痛み止めを一応打っておいたよ。」 ミリア「わかったわ・・・、うぅぐ・・・、」 ジュリア「ミリアさん、息んで。頭が見えてきましたよ。」 ミリアは息むのを繰り返す。 そして・・・、 赤ちゃんの元気な声が上がった。 ミリア「ハァ・・・、ハァ・・・、ハァ・・・、やったのね・・・、」 ジェイド「ミリア。ほら・・・、僕らの子供だよ。」 ジェイドはミリアにその赤ん坊を見せる。 髪の色は母親似の緑色で、女の子だった。 その赤ん坊は「リリス」と名付けられ、育てられた。 リリス「・・・何か焦げ臭い・・・、」 リリスはベッドで寝ていたが、何かが焦げているニオイを感じた。 ラザロ「わわわっ、」 下ではラザロの慌てているような声がした。 ―数分後― ラザロがリリスの部屋に戻ってきた。 リリス「どうしたの、ラザロ?」 ラザロ「ハハハ・・・、目玉焼きを作ろうとしたら・・・、」 ラザロは後ろに隠してあった皿をリリスの目の前に出す。 その皿の上に乗っていた物とは・・・、 リリス「・・・コレって、炭の塊?」 ラザロ「・・・元目玉焼き。」 ・・・。 リリス「・・・え゛、まさかこれが!?」 ラザロ「火の加減を間違えて、・・・こんな炭の塊に・・・。」 あのお皿の上に乗っていたのは、真っ黒コゲになった目玉焼きだった。 とても食えるような代物ではないのは一目瞭然だ。 ラザロ「・・・ゴメン。作り直してくるよ。」 ラザロは再び、1階に下りて行った。 リリスが生まれてから数年後。 彼女が7歳の、小学2年生の時。力が覚醒した翌日の朝。 リリス「はぁ・・・。」 リリスは玄関に座り込んで、ため息をついた。 何しろ、自分のせいで窓ガラスが数枚割れ、しかも、それを大勢いる前で見せてしまった。 学校へ行こうにも、足が動かない状態だった。 というよりも、学校へと行こうとしない。 それほど昨日のショックが大きかったということだ。 そんな状態が数日続いたある日の朝。 彼女の心情を変える少年が、彼女の家を訪ねてきた。 少年「・・・ねぇ。一緒に行こうよ。」 リリス「あなた誰・・・?」 ラザロ(=少年)「僕の名前はラザロ。」 リリス「・・・確か、あの時に・・・、」 ラザロ「ガラスが何枚も立て続けに割れた時の事?」 リリス「あれ・・・私がやったのよ・・・?何人もケガしたのよ・・・?」 ラザロ「わかってるよ。僕だって、」 ラザロは自分の手をリリスに見せた。 リリス「・・・この傷はまさか・・・。」 ラザロ「僕もあの場にいたんだ。ガラスが割れたときに左手を切っちゃったけどね。」 リリス「・・・ごめんね・・・、私があそこにいたばかりに・・・。」 ラザロ「僕は、そんなのどうでもいいんだ!」 リリス「!?」 ラザロ「・・・君に戻ってきて欲しいんだよ。」 リリス「・・・みんな、私を許してくれる?」 ラザロ「わからない。でも・・・、その時は僕が。」 リリス「・・・。」 ラザロ「ねぇ、まだ遅くは無いんだ。行こう。」 リリス「・・・うん。」 そして、リリスは自分の荷物を持って、家を出て、学校へと行った。 ・・・と、まぁ、2人の出会いはここからだった。 それから数年は、2人とも順調だった。 しかし、・・・小学校5年を終えようとする頃からリリスとラザロには、様々な災難に襲われるようになった。 リリスの父親が勤めるクリニックの倒産と、その借金の返済に追われる毎日。 ロシアンシンジケートの犯罪率の増加。 そして、そのロシアンシンジケートを追っていた、ラザロの両親の殉職。 お互いにこんな辛い数年間は無く、それは2人が小学校を卒業しても続いた。 ―2019年 8月25日― それは、リリスが小学校を卒業した翌日の事。 彼女は親が働いていたクリニックが倒産した事を考えていた時。 リリスの目の前に、突然、青年が現れた。 リリス「だ、誰!!?」 青年「怖がらなくてもいい。・・・1つ聞く。君は、こんな暮らしに嫌気がさしているのか?」 リリス「・・・うん・・・。」 青年「それなら、私について来い。」 と、青年が指を鳴らした瞬間に、リリスと青年は、その場から消えた。 2人が現れた場所は、洞窟だった。 リリス「!」 青年「驚いたかい?」 リリス「ここは・・・何処!?」 ???「セルビアの洞窟よ。」 リリスの目の前に現れたのは、白髪の少女だった。 ユーリィ(=???)「私の名前はユーリィ。あなたが来るのを待っていたわ。」 リリス「え・・・?」 ユーリィ「一緒に来て。」 と、リリスは、青年とユーリィという少女につられて、洞窟の奥深くへと連れて来られた。 その奥にいたのは・・・、 青年「彼らは、君と同じように、特殊な力を持つ者だ。」 ユリウス「プラノズ様。」 プラノズ(=青年)「あぁ、分かっているともさ。」 リリス「・・・何が?」 プラノズ「フッ・・・、君らは、この世界が憎いのだろう? それならば、壊してしまえばいいのさ。」 リリス「!?」 プラノズ「君も、それを承知でここに来たはずだ。そうだろう?リリス。」 リリス「・・・違う・・・、」 プラノズ「・・・何だと?」 リリス「こんなの・・・間違っている・・・。あなたたちは、世界を滅ぼす気なの!?」 ユリウス「承知して無きゃ、ここには来てないさ。」 シルビィー「・・・それに面白そうだし。」 リリス「冗談じゃないわ!帰らせて。」 プラノズ「そうか・・・。だが、返すわけにはいかない。」 と、プラノズはリリスの頭に手を当て、気絶させた。 イディン「何をした?」 プラノズ「この娘の記憶を封印した。記憶が戻る事も無いだろう。」 シルビィー「ふぅん。じゃぁ、私が彼女の従姉妹だってことも知らずに過ごすのね。」 プラノズ「そういうことだ。」 ・・・思い返せば、それから数ヶ月間、リリスは自分の事も、ラザロの事も思い出せずにいた。 一方でラザロは中学校生活と並行して、警察官の試験を受けていた。 リリスはある日に自分の力を使って、重い木箱を持ち上げる練習をしていたが、ちょっと操作を誤り、自分の頭に木箱をぶつけてしまった。 気絶しているところをユーリィに発見されたが、大したケガではなかった。 そのショックで、リリスは記憶を取り戻し、現在に至る。というわけだ。 リリス「・・・(何か、いいニオイがする・・・)。」 と、リリスのいる部屋のドアが開いた。 ラザロがおいしそうなマカロニグラタンの盛ってある皿を持ってきた。 リリス「おいしそう・・・。」 ラザロ「インスタントだけどね。」 リリス「・・・ありがとう。」 ラザロ「それじゃ、下にいるから。」 リリス「ラザロ・・・。」 ラザロ「何?」 リリス「・・・ごめんね。」 ラザロ「な、何、いきなり?」 リリス「昔から、私ってあなたがいないとダメダメだったよね・・・。 いじめられた時も、私の力が覚醒した時も、ケンカしてお互いに傷つけ合ったり、ギャングに捕まったりした時も、私って何もできなかったね・・・。 私達って、本当は出会うべきではなかったのかも。って、時々そう考えてしまう。」 ラザロ「・・・。」 ・・・。 ラザロ「・・・そんなこと無いよ。」 リリス「え・・・?」 ラザロ「君と過ごせた日々は、辛い思い出よりも綺麗だったよ。 ケンカしたり、泣いたり笑ったり。それに、守ったり守られたり・・・。」 リリス「・・・。」 ラザロ「俺・・・、こんなことを言うのは変かもしれないけど・・・。」 リリス「何?」 ラザロ「・・・一緒に、いたいんだ。君を守りたい。これまでも、これからも・・・。」 リリス「・・・ありがとう。ラザr」 ミラル「ただいま~、」 会話の途中でミラルが帰ってきた。 ラザロが2階から降りてきた。 ラザロ「おかえりなさい。」 セラ「あれ、リリスさんは?」 ラザロ「今、ベッドで寝ているよ。」 ミラル「あ、そうそう。」 ミラルがラザロと一緒に2階へ上がってきた。 そして、こう言った。 ミラル「2人に話があるのよ。」 ラザロ&リリス「?」 第22話へ続く ※この話はフィクションです。実際の、国名、団体、都市などには関係ありません。 |


