NOVELS ROOM

無尽の鎖 第22話

無尽の鎖 第22話「アニマルパニック ―Medicine―」
作者:倉麻るみ子

―深夜1時 カインの家―
カイン「うーんと・・・、これがこうで・・・、それと・・・、コレを入れて・・・。」

カインは何故かゴーグルをかけている。
手に持っているのは、なんと、三角フラスコ。
中に入っているのは、何かの液体。
カインが今さっき、何かを加える前までは、赤い色だったが、薬を加える内に、紫、緑、黄色、ピンク。という順で、色が変化していった。
そして、最後の液体を一滴フラスコの中に垂らすと、色は、ピンク色から、煙を噴出すと共に、水色に変化した。

カイン「・・・よし、出来た。あとは、このまま冷蔵庫に入れて、6時間ぐらい冷やす。かぁ・・・。ふぁ~ぁ・・・、そろそろ寝るか・・・。」

カインはその液体の入った三角フラスコを冷蔵庫に入れて、リビングから自分の部屋へと向かい、眠りについた。


―翌日―
―午前6時―
ラルドが目を覚まし、部屋から出てきた。
喉が渇いたらしい。
ラルドは冷蔵庫を開けた。
すると、そこにあったのは・・・。

ラルド「・・・何だ、コレは?」

あの三角フラスコだった。
中には、水色の液体が入っている。
しかし、ラルドはそれを何かのジュースと勘違いして・・・、

ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、

ラルド「はぁ~・・・。」

・・・飲んだ。飲んでしまった・・・。
すぐさま異変が起きた。

ラルド「う、うぁぁ・・・、」

倒れこんでしまった。
起き上がろうにも、身動きが出来ない。

ラルド「(な、何だ・・・、体が・・・う、動かない・・・。目の・・・前が・・・、霞んで・・・きた・・・。)」

ラルドは意識を失った。


―2時間後―
―午前8時―
今度はウランが起きた。
隣のベッドには、ラルドがいるはず。・・・だったのだが、いない。
ベッドはモノケのカラで、触ってみると、すこし冷たかった。

ウラン「(どうしたんだろう・・・、ラルド・・・。・・・まさか、トイレで寝ちゃった。なんてことは・・・、)」

ウランは1階に降りてきた。
すぐさま、トイレの中を見た。だが、そこにラルドの姿はなかった。

ウラン「(・・・そうだよね。ボク、何考えていたんだろ。ラルドの事だから、散歩にでも行っているんじゃないかな。
・・・うん、きっとそうだよ。)」

と、ウランは頭の中で、そう納得した。
そして、リビングへ通じるドアが目の前に。

ウラン「(さぁてと、今日の朝ごはんの当番はボクだから・・・、何作ろうかな・・・。)」

ドアを開けた。だが、そこにいたのは・・・、

ウラン「・・・?」
???「・・・オイ。」

・・・。

ウラン「何じゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

と、一階の別室。
ファラスには、ミラルの家に一時的に移ってもらっているため、カインは久々に1人でソファーに寝ていたが、ウランのその声で飛び起きた。

カイン「うぅん・・・、もぅ・・・、何なんだよ・・・。」

カインは眠いまぶたを擦りながら、リビングへと向かう。

カイン「何なんだよ、ウラン。朝っぱらから、そんな大声出すな。目玉焼きを焦がすなって何度言えば・・・、」

カインはリビングに入ったが・・・、

ウラン「ねぇねぇ、カイン。見て、見て~(≧∀≦」
???「ちょ、やめろ、ウラン!」

ウランが持っていた。というか、抱いていたのは、羽が生え、尻尾が生え・・・。
・・・とにかく、どういう「動物」なのかは分からないが、「小動物」だというのは、確かだが・・・。
・・・。

カイン「マジで、何じゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


ミラル「へぇ~、かわいいじゃない。」
ファラス「・・・で、ラルド。何故こんなことになったんだ?」

ファラスはそう言った。
そう、あの「小動物」とはラルドだった。
言われて見れば、顔つきといい、風貌といい、首に巻いているマフラーといい、ラルドと似ている。

ラルド「冷蔵庫の中に入っていた、うーん・・・、あのスポーツドリンクにでもあたったのか・・・。」
カイン「何だって!?(`д´!」
ウラン「そう言われれば、三角フラスコがあったような・・・。」

ジロリ。

カイン「な、何だよ?(゜д゜;」
ファラス「こんなトラブルを起こすような奴が近くにいるとしたら、お前以外いない。」

グサッ、

ミラル「またなんか、「ミックスジュース」モドキでも作っていたんでしょ?」
ウラン「まったく、呆れるね。」

グサリ、グサリッ、

ラルド「お陰でこのザマだ。どうするんだ!?」

グサリッ、

ミラル「まぁ、ラルドはこのままでもいいかも。」
ラルド「なっ、」
ウラン「こっちのほうがかわいいもんね。」
ラルド「冗談じゃない!一生このままでいろというのか!?(怒。」
ウラン「そんなに怒らなくても・・・。」
ラルド「カイン!私を元の姿に戻せ!!」
カイン「んな事言われても、まさかこんな状態になるとは思わなかったし、解毒剤みたいな物は作ってないぜ?」
ラルド「・・・(怒。」
ミラル「怒ったように見えなくて、むしろ可愛いんだけどw」

結局、暫くはその姿でいる事になってしまった。

ウラン「そうだ!翼あるんだから、飛んでみてよw」

と、ウランが興味深そうに、抱いているラルドに問う。

ラルド「バカ者。仮にも私は、元は人間だぞ?翼があっても、飛べるものか。」
カイン「やってみないと判んないぜ♪」
ミラル「そうよ♪やってみてよ♪」
ラルド「・・・。」

ウランは、ラルドをテーブルに乗せようとしたのだが、何か思いついたかのように、突然ラルドを上に軽く投げた。

ラルド「な、何やっているん・・・?」

セリフは途中で止まる。何故なら、ラルドはその翼を使って飛んでいたからである。
その事に、本人も驚いている。

ウラン「やっぱり飛べるじゃんww」
ミラル「飛んでいる姿も可愛いww」

ラルドを絶賛する2人。

カイン「飛べるんだったら、これから余り不便はなくなるなww」
ラルド「はぁ?不便に決まっているだろうが!これからのバイトはどうなるんだ!!?」
カイン「まぁ、その姿で行くのもなんだし、休むしか他ないということで・・・。」
ウラン「じゃ、ボクも休めるねww」
カイン「何でそうなるんだよ!」
ウラン「だって、皆バイトに行っていたら、ラルドはどうするのさ?」
カイン「ぐ・・・。」
ウラン「だから、ボクが面倒見るって事で、いいよね?」
カイン「で、でもなぁ・・・。」
ウラン「ねぇ、いいでしょ?いいでしょ??」
カイン「・・・仕方ないか・・・。」
ウラン「やったぁww」
ラルド「何が、「やったぁ」だ!」

2人の会話に、ラルド介入。
しかも怒っている。

ラルド「私の事は別に面倒見なくてもいい!一人で何とかする!!」
ウラン「で、でも、ラルドが心配だよ・・・。」
ラルド「五月蝿い!何とかすると言ったら、何とかするんだ!!」

かなり必死で、面倒を見られるのを拒否するラルド。
ウランの事だ。きっと何かされるに違いないと思ったのだろう。

で、今日からそういうことに・・・。


―翌朝―
ラルド「く、苦しい・・・。」

何故ラルドがこんなセリフを吐いているのか?
それは、ウランにしっかりと抱かれているからである。
昨日の夜から寝相も崩さず、小動物になったラルドを抱いているのだ。
その所為で、夜も上手く寝ることが出来ず、寝不足になってしまって、今でもウランから抜け出せない状態なのだ。

・・・と、ウランに隙が!
ラルドを抱いていた腕は途端に緩み、ラルドはその腕から抜け出したのだ。
眠いながらも翼を広げ、飛ぶラルド。

今では重いドアを、必死に開け、ふよふよと飛ぶが・・・、

・・・ボテッ。

床に落ちた。
そしてそのまま、眠ってしまった。


ウラン「ふわぁ~・・・、・・・あれ、ラルドは・・・?」

目が覚めたウランは、ラルドがいない事に気付く。
あたりを探すが、全くどこにもいない。

ウラン「まさか・・・!」

ウランは飛び起き、ドアを開け・・・、

ウラン「ラル・・ド・・・?」

床にラルドが寝ていることに気付く。

ウラン「(こんなところに・・・。でも、何で・・・?)」

・・・と、カインも目覚めた。

カイン「ふわ~。」

カインの頭はボサボサになっていた。
ウランは寝ているラルドを抱き上げ、カインの元に行く。

ウラン「おはよ。カイン。」
カイン「・・・ん?あぁ・・・、おはよ。」
ウラン「ねぇ、ねぇ。ラルドが床で寝ていたよ。」
カイン「何で?」
ウラン「ボクさ、ラルドしっかり抱いていたのに・・・。」

カインはため息をつき、いかにも「原因はそれか・・・。」という顔をした。

ウラン「何さ、何でそんな顔してんのさ?」
カイン「それだよ。原因は。」
ウラン「はぃ?」

ウランは何が何だかさっぱりわからなかった。
そして、カインは説明する。

カイン「ウランがしっかりと抱いている所為で、ラルドが凄く苦しい状況になって、それで必死こいてウランから抜け出して、ここまで来たんだよ。判ったか?」
ウラン「わかんない♪」
カイン「てめ、水ぶっ掛けて凍らせたろか!?」
ウラン「その前に、ボクの鞭で絞め殺すよw」

ウランの「わかんない」に即答のカイン。
そして、そのカインのセリフに対してまたもや即答するウラン。
何なんだ、この2人の会話は・・・(汗。

そんな訳の判らない会話で、ラルドが目覚める。

ラルド「・・・うぅん・・・、もう少し寝かせてくれ・・・。」

・・・目覚めて一発目のセリフがこれかい。
それもそうだろう、ウランのお陰で寝不足なのだから。

ウラン「あ、え、えっと・・・、ごめん・・ね(汗。もう少し寝ていていいからさ(汗。」

ウランの言葉に、再び眠るラルド。

カイン「これからは、隣で寝かせてやるだけにしろ。」
ウラン「判ったよ・・・。」


朝ごはんも済ませ、バイトに向かう準備をする。
が、ラルドはまだ眠っていた。
ウランとカインは、置手紙をおく事にした。

ウラン「はぁ・・・、ホントはボクだってバイト休んで、ラルドのそばにいてあげたかったんだけどなぁ・・・。」
カイン「俺も心配だけど、仕方ねぇよ。ラルドが一人でも大丈夫だって言うんだし。
・・・さ、行くぞ。」
ウラン「うん・・・。」

2人は、鍵を閉め、バイト先へと向かっていった。


―数時間後―
ラルド「ふわぁ~・・・。」

ようやくラルドが起きた。
姿が小動物だけあって、いつものあくびより数倍可愛いww
辺りを見回し、家に誰もいないことに気付く。
きっと、バイトに行ったんだろうと思った。

リビングに向かうと、テーブルに手紙が置いてあった。
しかも2枚・・・。
きっと、カインが書いた後に、ウランも書いたんだろうと思った。
とりあえず、一枚目を読む。

「ラルドへ。
俺らはこれからバイト行ってくるからな。
ラルドのことは、店長に風邪引いたとでも言っておくから。
安心しな!
あ、飯とかは、冷蔵庫に作ってしまってあるから、レンジで温めて食べるよな!
あとは・・・、家の鍵閉めておいたから、大丈夫だとは思うけど、あんまり外に出るなよ。
あ、ミラルたちは買い物済ませてから家に寄るとか言っていたから、淋しくなったら、ミラルの家にでも移ってもいいぜ!
あ、でも、ちゃんと鍵は閉めろよな。
そんじゃな!
カインより。」

必要事項が、所狭しと書かれていることが判る。
いつもはいい加減なカインだが、こういう時だけは、しっかりしている。

そして、もう一枚を手に取る。

「ラルドへ。
やっほー!ラルド起きたぁ~?
ボク、ラルドの分までバイト頑張ってくるからね♪
ちゃ~んと、お家で待っているんだよ?
それじゃぁねぇ~♪
ウランより。」

ラルド「・・・。」

いかにも、ペット扱いされているような文章だ。
何せ「お家」と書かれているのだし、雰囲気的にも「ラルド一筋」という感じが見て取れるのだから。

ラルド「・・・全く、ウランは無駄な事を・・・。」

ラルドはため息をつきながら、そう呟いた。
とりあえず、冷蔵庫まで飛んで、重い扉を開ける。

ラルド「はぁ、はぁ、はぁ・・・。扉を開けるだけで、こんなに体力を使うとは・・・。」

とにかく、「朝飯」と紙に書かれた物を取り出そうとした。
が、重い。持ち上がるのだが、重い。
小動物の姿で、お皿を持ち上げると、これだけ重いのかと思いながら、必死に持ち上げる。

ラルド「くそ・・・、意地張って「何とかする」なんて言わなきゃよかった・・・。」

兎にも角にも、レンジがおいてあるところにたどり着き、扉を開け、ラップのかかった朝ごはんを入れて、扉を閉める。
時間は1分とボタンを押し、スタート。
―1分後―
電子レンジが「ピー、ピー」と鳴るので、扉を開けてお皿を取り出そうと手を伸ばす。
だが・・・、

ラルド「熱っ!」

お皿が熱かった。普通なら、1分温めた程度では火傷するような熱さにはならない。
だが、考えてみれば、今のラルドは小動物の姿。
単なる温かみのあるお皿が、いつもより熱く感じてしまったのだ。

それでも何とかテーブルに持ってきて、食べようとしたのだが、ふと時間を見れば、午後12時半。
すでに、朝ごはんではなく、昼ごはんと化していることに気付く。

ラルド「・・・不便だらけだな、この姿は・・・。」

ふとそう呟いた。


―数時間後―
ラルドは窓からでて、すぐ隣のミラルの家の前に来た。
呼び鈴を押そうと思ったが、やめた。
もし帰ってきたら、可愛い物好きのミラルに何されるか判ったものじゃない。
結局、カインの家に帰る事にした。

・・・が・・・、何か嫌予感を感じた。

少女「わぁ~可愛いお人形さん♪」

・・・嫌な予感はすぐに的中した。
知らない女の子は、ラルドを抱き上げた。

「お人形さん」と言われてしまっては、動くわけにはいけないと思ってしまい、ラルドはそのまま、女の子に連れて行かれてしまった。


―午後 15:30―
ウラン「たっだいまぁ~!」
カイン「ただいま~。」

カインとウランが、バイトから帰ってきた。
だが、ラルドの気配がなかった。

カイン「ラルド~?いるんだろ~?」
ウラン「返事してよねぇ~。」

やはり何度呼びかけても、ラルドは出てこなかった。
「もしかしてミラルのほうへ行ったのか」と、ミラルの家に行くが・・・、

ミラル「ラルド君?来なかったけど・・・、それがどうしたの?」
カイン「畜生!心配していた事が的中した!」
ウラン「何?どういうこと?」
カイン「ラルドは、外に出たんだ。そのときに、誰かに連れ去られたんだ!」
ミラル「それって、誘拐じゃない!?」
カイン「その可能性もある・・・。で、ファラスは?」
ミラル「まだ帰ってきてないけど・・・?」
カイン「ファラスにも手伝ってもらいたかったが、仕方ねぇ。
ミラル、この事をセラにも伝えて、一緒に探してくれ。」
ミラル「うん、判ったわ!」
カイン「おっしゃ!行くぞ、ウラン!ラルドを探しにな!」
ウラン「OK!」

2人は、ラルドを探す為に走り出した。


第23話へ続く


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: