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| 作者:J・ラコタ ―セルビア・モンテネグロ― ある日の正午。 アドリア海沿いにある、コトーという町。 この町は港町として、最近では毎日20隻近くのフェリーが出入港している。 そして、今日もフェリーが一隻、入港する。 イカリを降ろし、定着場に船を固定する。 船から下りてきたのは、何十人もの観光客。 その中に、赤茶色の髪の毛の少年がいた・・・。 その少年は、入国許可証を持って、手続き所の前にズラリと並ぶ列に並んだ。 役人「君が最後だな。」 少年はパスポートを差し出した。 役人「・・・で、滞在期間は?」 少年「うーん・・・、大体5ヶ月ぐらいかなぁ・・・。」 役人「5ヶ月だと!?そりゃぁ、入国許可金は大金になるなぁ・・・。」 少年「ちゃんと、400ユーロはありますよ。」 と、少年は持っていた片方のバッグを机の上にひっくり返す。 すると、大量のユーロ札が出てきた。 役人「・・・よし。」 役人は入国金を受け取り、パスポートに判子を押す。 役人「入国許可。」 少年「ありがとうございます。」 ニュースキャスター『次のニュースです。イタリアの軍事政権が民主政権レジスタンスによって、首都ローマ陥落から1ヶ月が経ちました。 現在では、民主政権へと交代し、軍事政権が崩壊した事によって、「EU崩壊戦争」が危うく回避されたことに、EU加盟国や、イタリア周辺の国々では、一安心したような情勢となっています。 しかし、未だに軍事政権時代のビザが使用されている問題で、イタリアの新外務長官であるインパラ大臣は、「今のところ、軍事政権に取って代わる直前まで使用されていたビザと、軍事政権が台頭していた時のビザは、イタリアへの入国には使用できる。 だが、国外へ出るとしたら、かなり大変になるだろう。あと半年の間にそれらのビザを新しいビザと取り替える準備も出来るだろう。」とコメントしました。』 役人「まぁそれにしても、イタリアの軍事政権が倒れてからは、観光客も少しずつ増えてきたな。」 役人2「でも今イタリアは、やれ軍の再編だ。やれ法律の改正だ。で、かなり慌しいのに、よく観光客なんて・・・。」 役人「バーカ。ほとんどこの町を訪れてくるのは、ベルギーとかフランスとか、とにかく、イタリア以外から来た観光客ばっかりだ。 多分、今の小僧もベルギーとかじゃないか?」 少年「・・・俺は違うけれどね・・・。」 と、その話をコッソリと聞いていた赤茶色髪の少年は、ボソリとつぶやいて港をあとにした。 そして、彼はトロンボーンを入れる細長いケースを背負って、セルビアの内陸の方へと向かう。 バスで数十km移動し、彼はあるバス停で降りた。 そこは、カインたちの住んでいる町だった。 少年「セルビア・・・か。この国に来るのも3年ぶりだな。」 ・・・彼の名前はブラウン・ラファール。 イタリア出身。・・・つまり、彼もレジスタンスの1人で戦っていた。 彼がこの町に来る切掛けは、レジスタンスによる、軍事政権の中心都市であるローマへの攻撃時だった。 レジスタンスはこの時既に、軍事政権よりも有利な立場に立っていた。 そして、首都への度重なる兵学校への襲撃、首都を囲む要塞壁爆破などを行なった結果、首都の防御に穴が開いた。 それが1ヶ月前の事である。 ―イタリアの首都ローマ― ―約1ヶ月前― ブラウン「アルファリーダー、首都に侵入した。」 アルファリーダー『了解。そのまま収容所の警備網を突破。捕虜の救出を開始!』 ブラウン「了解。」 少女「さぁ、行くわよ!」 と、装甲車は収容所の壁を突き破った。 兵士「う、撃て、撃てー!」 兵士達は装甲車に発砲する。 しかし、装甲車はビクともしない。 少年「装甲車に機関銃は効かないぜ。」 ブラウン「相手もそれをわかっているみたいだぞ?」 と、ブラウンは正面の窓を指差した。 すると、兵士の1人がバズーカ方で、装甲車を狙っていた。 少女「大変、スティンガーミサイルだわ!」 少年2「地対地ミサイルか・・・、畜生!」 ブラウン「任せて!」 兵士2「発射!」 軍曹の階級である兵士はバズーカ砲を持っている兵士に命令した。 バズーカ砲からスティンガーミサイルが飛び出した。 少年「もうお終いだ!」 少女「ブラウン、どうしたの!!」 と、ブラウン、装甲車の上部にあるドアからショットガンを出し、ミサイルを狙い・・・、 ―ドンッ! 兵士「・・・やったのか?」 兵士達はそう思った。しかし、煙が止まない内に、装甲車が兵士達の面前を突っ切る。 今の爆発は、ブラウンが自分の力の媒体に使ったショットガンから放たれた火炎弾が、スティンガーミサイルを破壊したときのものだった。 少女「やったわね、ブラウン。」 ブラウン「このまま行こう。」 少年2「異議なし。」 装甲車は収容所に突っ込み、装甲車がやっと通れるぐらいの廊下を疾走。 そして、収容所の最深部。 ・・・つまり、捕虜達が収容されているエリアにたどり着いた。 だが・・・、 少年「・・・あぁ、なんてこった・・・、」 そのエリアには、何百人もの捕虜がいた。 ほとんどが政治犯。・・・つまり、ブラウンの両親もそこにいたのだが、・・・死んでいた。 ブラウン「父さん・・・、母さん・・・。そんな・・・、嫌だよ・・・、ここまで来たのに・・・。」 ブラウンは・・・泣いていた。 少女「酷い・・・、それじゃぁ、母さん達も・・・。」 少年2「ち、畜生、なんてことを・・・、」 だが、その間にアルファリーダーたちのチームは、軍事政権の司令塔にいる防衛部隊と銃撃戦を繰り広げていた。 数時間後、防衛線に穴が開き、司令塔へとレジスタンスは突入する。 そして、レジスタンスは6年近くの激戦の末、遂に軍事政権の中核を破壊したのだった・・・。 ―翌日― ブラウンは突入した時の収容所の屋上にいた。 ブラウン「(・・・俺、結局、約束を果たせなかったなぁ・・・。何のために俺、レジスタンスに加わって戦ったりしたんだろう・・・?)」 ???1「何も生きがいが無くなって困っているようだな。」 ブラウン「だ、誰だ!?」 と、ブラウンはショットガンを片手に持ち構える。 イグニス(=???1)「そんなに興奮するな。私の名前はイグニス。」 ブラウン「・・・イタリア系じゃないな。レジスタンスでも軍事政権でもなさそうだ。」 イグニス「さすがな洞察力だ、ブラウン。」 ブラウン「何故俺の名前を?」 イグニス「・・・それは自分で見当が付いているんじゃないか? とにかく、お前はこれで自分の役割が終わったと思っているんだろ?」 ブラウン「・・・あぁ。そうさ。結局、親を助けられず、生き残っちまった。友達も大勢死んだ。」 イグニス「いや。お前の役割は、ここで終わったわけじゃない。」 ブラウン「・・・どういうこと?」 イグニス「・・・答えはセルビアにある。鋼鉄やボーキサイトが多く採れる鉱山の近くにある町に行け。」 ブラウン「ま、待ってくれ!」 と、イグニスはテレポートで姿を消したが、同じ頃、そのテレポートの波動を感じた人物がいた・・・。 プラノズ「・・・ん?」 ユーリィ「プラノズ、どうしたの?」 プラノズ「・・・いや、何でもない。(・・・しかし、今の波動はどこかで感じたことがあるなぁ・・・。)」 ―1ヶ月後― そして、今に至る。 ブラウン「(あのイグニスって人、この町にその答えがある。って、言っていたよなぁ。 ・・・本当にこんな町に答えがあるんだろうか?)」 ???2「うわぁぁっ、退いてーっ!」 ブラウン「へ?」 ―ドーン、 ブラウン「うあぁ・・・、いたた・・・、」 ぶつかった相手は・・・、ラルドだった。 ラルド「・・・すまん、大丈夫か?」 ブラウン「ラルド・・・?」 ラルド「あぁ・・・、しまった・・・。出前から持ち帰るはずだったドンブリを割ってしまった・・・。」 ブラウン「・・・任せなよ。」 と、ブラウンは割れ目に沿って、指で撫でた。 すると・・・、驚くべきことに真っ二つに割れていたドンブリは元通りになった。 ラルド「その力は・・・、」 ブラウン「ラルド、俺の特殊能力を忘れたのか?」 ラルド「何故、私の名前を知っている!?」 ブラウン「何だよ?・・・まさか、忘れた?」 ラルド「・・・そのようだ。」 ―ガーン ブラウンは、上からタライが落ちてきた気分だった。 ラルド「では、これで失礼する。」 ブラウン「お、おい、ちょっと待てよ・・・、」 と、ブラウンはラルドの左手を掴むが・・・、 ラルドはすぐさま、ブラウンの胸の辺りに回り込み・・・、 ―ドスンッ、 背負い投げを炸裂した。 ブラウン「いってぇぇぇ!!な、何するんだよ!!」 ラルド「私に触れるな!」 ブラウン「お前は俺に触れただろ!」 ラルド「お前なんか、知らないといったら、知らない。と言っているだろ。この愚者!」 と、ラルドは倒したブラウンを放って、バイト先の店に戻る。 結局、ブラウンは少し町から離れ、ある木の下に座った。 ブラウン「あー、最悪だ・・・。俺の存在忘れられているし・・・、初っ端ラルドに会えば背負い投げを食らうし。 「俺が必要とされている所」って、本当にここなのか?はぁ・・・。」 と、ブラウンはため息をついた。 その時だった。 ミラル「ん?」 ブラウン「・・・ん?」 たまたま、ブラウンの近くをミラルが通り掛った。 ちょうど、夕日が沈んだ、午後6時という時間だった。 ミラル「・・・どうしたの?こんなところに1人で?」 ブラウン「・・・別に。あんた誰?」 ミラル「私はミラル。ミラル・ドレイン。あなたは・・・、ブラウン・ラファールね。」 ブラウン「な、何で俺の名前を知っているんだ!?」 ミラル「うーん・・・何と言うか・・・。まぁ、今のところ、泊まれそうな場所も無いんでしょ?」 ブラウン「・・・はい。」 ミラル「それなら、私の家に来ない?」 ブラウン「え?」 と、ブラウンはミラルに誘われて・・・。 ―ミラルの家― ミラル「ただいま~。」 全員「おかえり~。」 ―パンッ、 ―パンッ、 クラッカーの音がする。 ブラウン「え・・・、」 ウラン「何驚いた顔しているのさ、ブラウン。」 ブラウン「ど、どうして、こんなパーティを・・・?」 カイン「まぁ、ワケはリリスにでも聞いてくれ。」 リリス「その・・・、今日が9月17日だって事に気付いた時に・・・。」 ―数時間前― ウラン「ただいま~。」 ミラル「「ただいま~」って、ここ私の家なんだけど・・・。」 カイン「まぁ、かたい事言うな。これ差し入れ。」 ラルド「・・・。」 カイン「・・・どうしたんだ?ラルド、さっきっから何か考え事でもしてんのか?」 ラルド「・・・ちょっとな。・・・変な奴に会った。」 ミラル「変な奴?」 ラザロ「ただいま~。」 ラザロとリリスが家に帰ってきた。 ミラル「お帰り、2人とも。」 ラザロ「どうしたの?」 ラルド「・・・あいつは私の名前を知っていた。髪の色は赤茶色だった。」 リリス「赤茶色!?まさか・・・、」 ラザロ「リリス?」 リリス「・・・ブラウンね。」 カイン「誰?」 ウラン「・・・思い出した。ブラウン・ラファールだよ。」 カイン「だから、誰だよ?」 ウラン「プラノズの所に、僕らと一緒に集められた、特殊な力を持つ人間の1人だよ。 2年前からそれっきりだけど。」 リリス「そういえば、今日は・・・、」 ラザロ「9月17日だけど?」 リリス「9月17日・・・、ブラウンの誕生日だわ!」 リリス「それで、パーティをすることにしたの。」 ウラン「ケーキはないけど・・・、」 ―パンッ、 ―パンッ クラッカーをさらに使う。 全員「お誕生日おめでとー!」 ブラウン「うれしいけど・・・。俺の誕生日、明日なんだけど?」 一同「・・・え゛!?」 ウラン「で、でも、いいじゃない。ただ単に今回は1日早かった。ってことにすれば。」 ミラル「そうよ。それに、パーティ開くのに、半月分の給料を丸々全部、使ったんだからね。」 ブラウン「・・・ありがとう。」 しかし、お祭ムードな1階とは裏腹に、2階の方では、明らかに重たい雰囲気が圧し掛かっていた。 ラザロ「うぅ・・・、何だよ・・・、リリス・・・、元彼がいたのかよ・・・。酷い・・・。隠していたなんて、あんまりだ・・・。」 ・・・ブラウンが現れたことで、なにやら、とんでもない誤解が生まれてしまったようだ。 第27話へ続く |