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無尽の鎖 第32話

無尽の鎖 第32話「そして全てが・・・ 中編 ―Last Attack―」
作者:倉麻るみ子&J・ラコタ

ウランの死により、一同は悲しみに暮れていた。
でも、皆は解っていたはずだった。
この戦いで、誰か一人は命を落とすことをみんな覚悟していたはずだった。
だが、いざ自分達の目の前で人が死ぬと、立ち直るには相当の時間が必要になる。
しかし・・・。

カイン「・・・みんな。早く行くぞ。」

意外にもカインが、そう切り出した。
そして、一歩一歩前に進んでいく。
だが、その歩みはとても重そうであった。
まだ立ち直っていないのがよくわかる。

ミラル「カイン、ウラン君はどうするのよ!?」

カインは足を止める。

カイン「ウランは・・・死んじまった。だけど、こいつ死ぬ間際に少し微笑んだんだ。
それで、俺だけにこう言った・・・『ボクの体はこのまま残していって』って。
そう言い残して逝っちまった・・・。だから俺は、前に進む。
ウランの分まで俺達が頑張ればいいんだ。
・・・それに、ウランが何のために俺達に言葉を残したかわかんなくなるじゃねぇか。
俺達はあいつの言葉通りにするんだ。ウランの死を無駄にしちゃいけねぇんだ。」
ミラル「だからウラン君の体をここに残すの?」

カインは、皆に背を向けた状態で頷く。

ミラル「私は嫌よ。ウラン君をここに残しておける訳無いじゃない!」
カイン「馬鹿野郎!男のプライドを踏みにじるつもりか!?
こいつが、ここに残せって言ったんだから、そうしてやれよ!!」

と言いながら振り向く。
・・・カインの目には涙があふれていた。

ミラル「カイン・・・。」
ラザロ「・・・ミラルさん、カインの言う通りにしましょう。」
シルビィー「そうよ。みんな気持ちは同じなんだから・・・。」
マイケル「一番悲しいのはミラルさんだって解っている。」
ブラウン「だけど、・・・あいつを倒すには前に進むしかないんだ。」
リリス「ミラルさんには、人を・・・サポートする力がある。」
イディン「だから、・・・カインの言うことに従って・・・欲しいんだ。」

みんな、途切れ途切れにそう言う。
・・・内心、泣いている証拠だ。

ミラル「私・・・、やっぱり無理よ・・・。」

やはりミラルには無理があった。
いくら気が強いとはいえ、こんな事があっては気が強い所ではない。

カイン「だったら、お前もここに残れ。」
ファラス「カイン、お前何を・・・!」
カイン「・・・この先に行けねぇんだったら・・・、ここに残れって言ってんだ!」

それにこれ以上、ミラルに悲しい思いなんてさせたくないんだ。

その言葉を敢えて口にしない。

ミラル「・・・わかった。・・・私も前に進む・・わ。」
カイン「ミラル・・・!?」
ミラル「だけど、せめてウラン君の体を他の場所に移してほしいの。」
カイン「・・・そうだよな・・・。・・・分かったよ。」

他の場所といっても、この部屋の中でだ。
辺りはどこもかしくも薄暗い。
だが、ひとつだけ光が刺している場所があった。
窓からではない。そもそも、この部屋に窓一つない。
光が出ていた場所、それは、穴の開いた壁からだった。
光の先には、一輪の紅い花が咲いていた。花の名はわからない。

カインは、その場所にウランの体を座らせた。

カイン「この花、・・・何だかウランみたいに赤いよな・・・。」
ファラス「そうだな。」
ミラル「いつものあの笑顔が、頭に浮かんでくるわ。」
イディン「じゃ、この花の名前は『ウラン』だね。」
シルビィー「イディン。いい所取り。」
イディン「ごめん、そんなつもりはなかったんだ。」
カイン「どうって事ねぇよ。誰が言ったって、この花は『ウラン』だからな。」
ブラウン「そうだね・・・。」

皆は、手を合わせて祈った。

ファラス「・・・先へ進もう。」
マイケル「え、でも、セラを待たなくていいのか!?まだ戻っていないぞ。」

そういえばそうだ。このメンバーの中にセラの姿がなかった。
おそらく、まだ影と戦っているのだろう。

ファラス「だから、ここに目印を残しておく。」

と、ファラスは枯れた木の枝を「→」の形に並べた。
矢印の先にあるのは先の見えない洞窟だ。

カイン「・・・行こう。」
ファラス「すまないな。」
ラザロ「謝る必要なんてないさ。俺たち、仲間だろ?」
ファラス「あぁ、そうだな。(・・・セラ、無事でいてくれ・・・。)」


セラは未だに自分の影と戦っていた。
自分が攻めれば相手は防御して押し返してくる。
相手が攻撃してくれば、防御して力を押し返す。
その繰り返しで、先の見えないような戦いが続いていた。

セラ「(早く、戦いを終わらせないと・・・。みんなが待っているのに・・・。)」

・・・つまり、彼女はまだ、ウランが死んだことを知らないのだ。
疲れが彼女の体を襲い、もうバテバテの状態だ。

その様子をプラノズは見ていた。

プラノズ「この小娘め、しぶといな・・・。・・・それなら、こうしてやろう。」

と、プラノズは指をパチンッと鳴らした。


影が一瞬隙を見せた。腹部が無防備になっていたのだ。
彼女はそれを逃さず・・・。

―ズバッ、

・・・影を倒した。
影は彼女の体に戻されていく。
そして、彼女もカインたちの所へと戻されるはずだった。
だが・・・、・・・セラが送られたところにカインたちはいなかった。
しかも、ファラスの置いたあの矢印もない。
セラは当然そのことは知らずに、「先に進んだ」と思い込んで、目の前の真っ暗な洞窟の入り口へと足を踏み入れた。
しかし、そこで彼女を待っていたのは、驚くべき人物だった・・・。
その人物とは・・・、

セラ「ニィナ!」

・・・ニィナだった。しかも、獣化している。
そして、彼女の目は血のように赤かった・・・。

ニィナ「いらっしゃい・・・。あなたが来るのを待ってたわ。」
セラ「待っていた・・・?」
ニィナ「プラノズ様に、この部屋に来るように言われたの。」
セラ「どういうこと?」
ニィナ「決まっているじゃない。あなたと戦って・・・、私が勝つ!」

そういって、セラとの間合いを詰め、切り裂こうとする。
だが、条件反射で刀を取り出し、その攻撃から身を守るが、威力が強くてセラは吹き飛ばされてしまう。

セラ「くっ・・・何て力なの・・・?」
ニィナ「何?あなたこれで終わりなんて言わないわよね?もっと私を楽しませてよ!!」

ニィナはそう言って、再びセラを襲う。
セラは避けるのが精一杯だった。


カイン「何も見えてこないな。」

その頃、カインたちは廊下らしきところの壁に設置されたライト以外、何も明かりが無い道を歩いていた。
安全に進めることは確かなのだが、部屋らしき場所にたどり着かない。
まるで、樹海を彷徨っているような感じだ。

イディン「でも、道はここしかないし。」
マイケル「まさかこれも、プラノズの差し金!?」
ファラス「それはないと思うが?」

暫く歩いていると、目の前に、地下へ潜る階段が。
彼らはその階段を降りていった。
そして、目の前の道が3つに分かれているのを見つけた。
・・・洞窟への入り口だ。

カイン「・・・どうするよ?」
ファラス「「どちらか選べ」と言ったところだろうか・・・。」
ラザロ「・・・ここで分かれた方がいいかも。」
シルビィー「その通りね。」

ということで、彼らは3つに分かれることになった。
右の洞窟へはマイケル、イディン、シルビィー。
左の洞窟へはラザロ、リリス、ブラウン。
そして、目の前の洞窟へはカインとミラル、ファラスの3人が入っていく。


一方、セラとニィナの戦い・・・。

セラ「(スピードがあり尚且つパワーもある。そんな彼女に立ち向かうなんて・・・、到底無理な話よね。
・・・でも、これはチャンスかも!
彼女に勝てば、正気に戻すことが出来るかもしれない!!)」

セラはそう考えた。
だが、どうしたら彼女に攻撃をしかけることが出来るのであろうか。
攻められる一方で、タイミングを見極められない。

ニィナ「ほらほら、かかってきなさいよ!つまらないでしょ!?」

セラに攻撃をしかけながら挑発する。

セラ「ニィナ!自分を取り戻して!!」
ニィナ「フフッ、何言っているのよ。これが私・・・。本当の私なのよ!!」

と、ニィナは攻撃を振るう。
それをセラは自分の剣で受け止める。
だが、押しが強く、ついにはしゃがんでしまう。

ニィナ「あたしがいるべき場所はプラノズ様のもと!あんた、結構弱っているし。さっさと片付けたいのよね。」
セラ「ニィナ!!」
ニィナ「五月蝿い!!」

と、ニィナはセラを突き放すように離れる。
反動でセラは後ろに倒れ、また素早い攻撃が始まる。
セラも反論したいのだが、言葉を話す機会さえ与えてはくれない。
それほど素早い攻撃なのだ。
・・・だが、一旦攻撃をやめた。

セラ「!?」
ニィナ「はぁ・・・、つまんないわね。もう少し楽しませてくれると思ったのに。・・・残念だわ。」

・・・ニィナの攻撃は終わらなかった。
シュンッと消えたかと思うと、ニィナはセラの背後に移り・・・、

ニィナ「さようなら。かわいい女剣士さん。」
セラ「!!」

―ドスッ、
―ドバァーッ・・・、

・・・背中からセラを突き刺した。
ニィナの腕は、セラの胸を貫いていた。

セラ「ぐはぁっ・・・!」

セラは口から血を吐き出した。
そしてニィナは、セラの体から腕を勢いよく引き抜く。
セラはそのまま、うつぶせの状態で床に倒れ、床に血が広がる。

セラ「ニィ・・ナ・・・。どう・・し・・・て・・・、」

・・・薄れていく意識の中で、セラは最期にそう言った。
床にセラの血が広がり、セラはもう動かない。
・・・セラは・・・・・・死んだ。

ニィナ「永遠に眠りなさい。セラ・ラズカーン。」


ミラル「・・・どうしたの?」
ファラス「・・・いや、少しな。」
カイン「当てようか?セラの事を考えていたんだろ。」
ファラス「あぁ・・・。あいつは体力やスタミナに問題があるからな・・・。
できる限りの事はしていたが・・・。・・・何だか心配だ。」
ミラル「・・・大丈夫だと思うわよ。」
ファラス「何故そう言える?」
カイン「確か、セラはお前が直々に鍛えたんだろ?しかも、俺たちより長く一緒にいた。
・・・それに頑張り屋で、部屋をあまり汚さない感じだったし。」
ファラス「・・・ウランは死んだぞ。」
カイン「・・・。」
ファラス「・・・先へ進むぞ。」


その頃、ブラウンたちは・・・。

ブラウン「・・・。」
ラザロ「・・・。」

・・・相変わらず、睨み合いが続いていた。

リリス「・・・はぁ・・・。(どうしよう、この2人・・・。)」

まだまだこの道は続いていく。


そして、カイン、ミラル、ファラスの3人は、ようやくひとつの部屋にたどり着いた。
だが、そこにプラノズはいなかった。
そこにいたのは・・・

ユリウス「待ってたぜ。」
ライディス「こうして会うの、久し振りだよね。」

ユリウスとライディスだ。しかも獣化している。
そして、体が血だらけであった。これはすべてかえり血だ。
ライディスよりも、ユリウスのほうが酷い。

カイン「お前らだけは・・・お前らだけはぁああ!!」
ファラス「はやまるな、カイン!!」

ファラスが止めに入ったが、カインは既に殴り掛かっていた。
だが、勿論の事、カインはユリウスに殴り飛ばされる。

ユリウス「そんなに俺が憎いか?そうだよな。俺がウランを殺したんだもんな!!」
カイン「・・・っ!!」
ファラス「やめろ。あいつらはプラノズに操られている。故意にやったわけではない。」
カイン「だけどよ!!」
ファラス「落ち着け、カイン。今は、あの二人を正気に戻すのが先決だ。」
カイン「・・・。」

ユリウス「お前達、この先に進もうとしてるみたいだが、そうはさせないぜ。」
ライディス「僕ら兄弟の力、思い知れ!」

ユリウスとライディスは、全員の周りを走りだし、三日月型の衝撃波が飛ぶ。
素早く走るため、衝撃波が四方八方に飛んでくる。
3人はそれをうまく避けた。避けたはずだった。
だが、それは単なる目くらましに過ぎず、気付けば、腕や足に切り傷があった。

ミラル「・・・っ!」

突然、ミラルが座り込んでしまった。
見ると、ミラルの足の腿に深い傷があった。

カイン「ミラル!!」

ユリウス「おっといけねぇ・・・弱くやるつもりが、力を入れすぎた。」

カイン「テメェッ!!」

カインは、水の波動をユリウスに向けて何度も飛ばすが、呆気なく避けられてしまう。

ユリウス「何度やっても無駄だ。やれ、ライディス。」
ライディス「オッケー!」

爪を構えてカインに切り掛かるが・・・

―バシュッ!バシュッ!

エネルギー弾が飛んで来た。

ライディス「!!」

それを避けるライディスだったが、猛スピードで飛んでくるヨーヨーを避けることが出来ず、脇腹に命中した。

ライディス「・・・くっ・・・!」

ライディスは、ユリウスのいる場所まで下がった。
エネルギー弾とヨーヨーが飛んできた方向にいたのは、なんと、ラザロとリリスだった!

ラザロ「落ち着けって、さっきファラスが言ったばかりだろ?」
カイン「ラザロとリリス・・・!・・・ブラウンはどうした?」
ユリウス「ち・・・、・・・ヘヘッ、獲物が増えたぜ。」
リリス「5対2なのに、そんなのん気な事言っていられないでしょ?」
???「あら?そうかしら。」

その声と共に飛んできたのは衝撃波。
地面に砂煙が上がる。
その中から出てきたのは、ユリウス、ライディス。
そして、ニィナの3人だ。

ニィナ「どう?これで、5対3でしょ。」
カイン「ヘンッ、何言ってんだよ!こっちは5人もいるんだ!お前らよりも大人数だぜ!」
ファラス「過信するな、カイン。」
カイン「な、何だよ!?」
ファラス「確かに5対3だ。だが、相手をよく見ろ。獣化しているあいつらのパワーやスピードは俺たち一人一人では比べ物にならない。油断するな・・・!」
ユリウス「ほーぅ、かなり慎重だな、ファラス。だけどなぁ、それを言い換えたら何だと思う?」
ファラス「・・・わからんな。」
ユリウス「そうか。じゃぁ、言ってやる。「腰抜け」だ。」
ニィナ「それに、ファラスだっけ?あんたにプレゼントを持ってきたのよ。」
ファラス「プレゼントだと・・・!?」

ファラスがそう言った直後、ニィナは自分の後ろからあるものを鷲掴みにして、ファラスに見せた。
それは・・・、

ファラス「セラ!!」

胸から大量の血を流し、目に生気の無い状態で、頭を鷲掴みされ、力なくぶら下がるセラの姿があった。
その直後、ニィナはファラスの足元にセラの亡骸を転がした。

ニィナ「どう?愛する教え子に会えた感想は?」

・・・ファラスは泣いていた。
だが、その涙を見せる間も無く、ファラスは静かに口を開いた。

ファラス「・・・セラ・・・、お前は・・・、よくやった・・・。」

そして、セラの目を閉じさせて、ファラスは立った。

カイン「ファラス・・・!」
ファラス「カイン・・・、お前の意見が正しかった。・・・叩きのめしてやる。」

涙目を拭いながら木の枝を鋼鉄の剣に変えて構えながら、ファラスは力強く言った。
それに対してユリウスは・・・、

ユリウス「ハハッ、そうかい?やれるもんならやってみな!!」

その直後、ライディス、ユリウス、ニィナは高速移動で分散し、一斉にカインたちへ襲い掛かる。

ミラル「来るわ!」


その頃、シルビィーたちは・・・。

イディン「どこまで続くんだろう、この道。」
シルビィー「知らないわよ!最初はいった時、暗黒魔城っぽかったけど、途中から洞窟になるなんて訳わかんない!」
マイケル「いや、俺ら地下洞窟を歩いていると思うぜ?」
イディン「前に進むとき、階段下りたし・・・。」
シルビィー「・・・そういえば、そうだったわね。」

と、くだらない会話をしていると、何かの部屋についた。
そして、そこにはプラノズがいた。だが、様子がおかしい。

プラノズ「・・・来たか。イディンにシルビィー。お前たちを見出したのはこの私のはずだ。
なのに、あの凡人どもに手を貸すとはなぁ・・・。」
シルビィー「あーぁ、五月蝿いわねぇ。私ねぇ、あんたの野望についていく気がなくなったのよ。」
プラノズ「「気まぐれな性格」・・・昔と比べてあまり変わっていないな。
イディン。お前はどうなんだ?シルビィーにこき使われっぱなしで満足なのか?」
マイケル「・・・確かに、俺たちシルビィーにこき使われっぱなしだったなぁ。」
イディン「・・・だけど、僕にとって、大事な人は、マイケルとシルビィーしかいない!
プラノズ!あなたが凡人と罵ったみんなも、僕には大切な人たちなんだ!!」

と、意外なことに、最初に攻撃を始めたのは、イディンだった。
いつもは2番手、3番手なのだが・・・。

マイケル「よく言ったぜ、イディン!」

次に、ナイフを具現化してそれを投げつけて攻撃したのはマイケル。

シルビィー「・・・確かに、私、あんたたちをこき使っていたわね・・・。」

その次に雷を落とすシルビィー。
3人は、プラノズに攻撃を仕掛け、その命中した場所に須磨煙が上がり、目の前の様子が見えなくなる。
そして、シルビィーは2人に振り向いた。

シルビィー「これが終わったら、みんなでバカンスの仕切り直しをしましょ。」
イディン「シルビィー・・・。」
マイケル「・・・おい、アレを見ろ!」

マイケルがそう言い、シルビィーとイディンは、3人でプラノズに攻撃を仕掛けた場所を見た。
・・・プラノズが平然と立っている。
しかも、かすり傷1つ負っていない。
と、次にプラノズの体が歪んで、消えた・・・。

マイケル「しまった!立体映像(ホログラム)だ!!」

そして、これが罠だということもすぐに判ったのだが、なんと、プラノズが以前誘拐した子供達が何十人も現れた。

イディン「な、なんだ!?」
マイケル「こいつら・・・、あの時の!」

マイケルが思い出したのは、ロシアンシンジケートがクレタ島の地下深くに作ったアジト。
そして、そのアジトの中には、大量の保存冬眠用カプセルがあり、それらのカプセルの中に入っていたのは、プラノズが世界中から拉致してきた子供たちだった・・・。

その子供たちが、3人の周りに瞬間移動して現われ、グルッと取り囲んでしまっていた。
外見が普通の子供もいれば、獣化している子供もいる。
だが、全員で共通していることが1つだけ。・・・目が赤かった。
彼らは躊躇なく3人を襲う。もちろん、これは戦わずにはいられない。

シルビィー「何よ!?いきなり!?」

イディン「話してわかる気はしないなぁ・・・!」

と、イディンは空気弾を放つ。

マイケル「そのようだ!」

そう言うと、マイケルはナイフを具現化し、それを投げ飛ばした。

シルビィー「・・・みたいね!」

そして、シルビィーは、地を這う雷を放ち、応戦する。
だが、戦っても、戦っても次々に現れてくるので、3人は体力を壮大に消耗していく。
それと同時に、技の威力も落ちていく。

シルビィー「もう、キリがないわ!」
イディン「でも、ここで倒れるわけにはいかないよ?」
マイケル「とにかく、やれるだけの事はしておかないとなぁ・・・。」

しかし、その時、マイケルは横側を見ていなかった。
・・・獣化した少年と少女が飛び掛ってくるのを見ていなかった。
しかも、イディンとシルビィーは、マイケルに背中を向けていたため、何も言えなかった。

マイケル「ぐぁあ!!!」
シルビィー&イディン「マイケル!!」

マイケルが攻撃をもろにくらい、倒れる。
その獣化した少年と少女は、地面に倒れて足掻いているマイケルの胸に、ナイフのような指先を突き立てた・・・。
助けようと寄りたかったのだが、子供達はそんな暇さえ与えなかった。
2人のすきを狙い、傷を付けていく。
真空波による攻撃や、衝撃波、獣化した子供たちの振るう刃物のような手。
色々な攻撃が2人を襲い、反撃できない。
マイケルのそばに寄れず、攻撃から逃げるが、空気弾と雷の攻撃を受ける2人。
振り向くと、自分たちによく似た子供がその場に立っているのが見えた。
結局、うまく逃げることが出来ず、攻撃は確実に当たっていった。
そして、2人は壁際に追い詰められてしまった・・・。

イディン「シルビィー・・・、もっと雷を・・・。」
シルビィー「イディンだって、空気弾を出せないでしょ・・・?」

2人に徐々に迫る子供たち。
ふと、シルビィーはその子供たちの向こう側に、倒れているマイケルを見た。
・・・床には血が広がり、目を開け、口から血を出している。
動いている様子は無く、マイケルも・・・死んだ。

シルビィー「・・・私たち、・・・もう戦えないわね・・・。」
イディン「うん・・・。」
シルビィー「・・・ねぇ、イディン。これで最期になる。だから言うわ。
イディン。ずっと、ずぅっと前からあなたの事好きだったのよ!!」

と、シルビィーはイディンの唇にキスをした。
これが2人のファーストキスであり、これが最初で最後のキスだった・・・。
その時と同時か、はたまたキスをした後かわからないが、子供達は一斉に攻撃を仕掛けた。
その事に気がついた2人は、すぐに反撃する。
イディンの空気弾による攻撃は、子供たちの集団を引き裂いて穴を開け、シルビィーの放つサンダーボルトが爆裂する。
両方とも、最大出力の攻撃だった・・・。


最終話へと続く


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