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2016.09.22
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ラルドが目を覚ますと、ウランはまだ机に向かって分厚い本を読んでいた。様子から見て、5冊目に入っているようだ。相変わらず何の本を読んでいるかさっぱりだが。

「ん?ラルド、起きたの?」

ラルドが起きた気配に気が付いたウランは、本を読みながら淡々と答えた。普通は、読書に集中していたら、起床したことに気が付かないはずなのに、なんて器用な特技を持っているんだ、と、ラルドは思った。
ふと、自分の体に薄い毛布が掛けられていることに気が付いた。そういえば、自分はベッドの上で絵本を読んでいるうちに、布団もかぶらずいつの間にか眠ってしまっていた。それなのに、薄い毛布が掛けられているということは、おそらく、ウランが掛けてくれたのだろう。

「あの、ウラン君・・・お布団、ありがとう」
「風邪ひいちゃ困るからね。ファストさんがいない今、ラルドに風邪ひかれたら、ボクはどうしようもなくなるし・・・」

そんなつっけんどんなウランのセリフに、ラルドは突然違和感を覚えた。ウランと家族になってから、ウランはなかなかラルドの名前を口にせず「お前」だの「アンタ」だの、名前を言いたくない何かを背負っているかのような素振りだった。にも関わらず、ウランはラルドの名を、2度も言った。重い荷物をとっぱらったかのように、スムーズに、とてもさりげなく言った。
ラルドは、それが嬉しくてたまらなかった。寝起きで、なかなか体がうまく動かないはずなのに、名前を言われた嬉しさで、しゃきっと目が覚め、体が勝手に動く。椅子に座ってなおも本を読み続けるウランに、ラルドは目一杯抱きついた。

「うわ!な!なんだよ!突然!」

「はぁ?それがどうしたって言うのさ!?普通でしょ?」
「うん!普通だよね!でも嬉しい!!ぼくの名前呼んでくれて嬉しい!!」

ウランは、なぜラルドが抱きついてきているのか、正直まだ分からないでいた。自分が、ラルドを「お前」や「アンタ」呼びしていた事など、忘れたかのように。

「そんなに嬉しいなら、もっと言ってやるよ!ラ・ル・ド!」
「うん!ぼくは、ラルドだよ!」
「わかってるよ!気持ち悪いなぁ・・・」

そうこうしている間に、ちょうど父親――ファストが帰ってきた。家に入ってきた瞬間、なんだか楽しそうな声が聞こえてきたので、扉を少し開け様子を見る。そこには、嬉しそうに抱きつくラルドの姿と、それに対して鬱陶しい表情をしているウランがそこにいた。それを見た、ファストはとても微笑ましい表情で、ゆっくりと扉を閉め、夕飯の準備をするのだった。


          ★


あれから数日経った。今日は日曜日。待ちに待った、図書館へ行く日だ。ウランは、もう待ちきれない思いでいっぱいだった。図書館には、きっと数え切れない本が所狭しと置いてあるに違いない。そんな、施設の本でしか見たことのないあの図書館へ、今日、いよいよ行けるのだ。あぁ、図書館へ着いたらどの本から読もうか。いや、その前にたくさんの本に魅了されて、読むことを忘れてしまうかもしれない。でも、本は読まなきゃ損をするから、着いたら早速読むことにしよう、そうしよう・・・などと、頭に巡らせていた。
そんな思考を読み取ったのか、となりでラルドはくすくすと笑うばかりだ。どうやら、顔にも出ていたらしい。声に出なかったことには幸いだったが。

「フフフ・・・待ちきれないよね、図書館!」


声が裏返りながら、ウランは顔を真っ赤にしてそっぽを向く。図書館に行けることが楽しみだという気持ちを、ウランは上手く隠せていない。そもそも何故隠す必要があるのだろうか。心を開きつつあるのだから、もういっそう嬉しい気持ちを表に出してもらえると、こちらとしても嬉しいのだが。と考えていたが、今のウランもそれはそれで面白い反応を取るし、ちょっと意地悪になっちゃうけど、それで良しとした。

「そ、それより!ファストさんは!?準備まだなの?!」

「そろそろ「お父さん」って言ってあげようよ」と思いつつも、にっこり笑顔を続けて発言することをやめた。

「そろそろだと思うよ。今日はぼくたちも一緒だから、お弁当が増えちゃって大変なんだよきっと」
「お、お弁当・・・だと!?」


でも、今回はそんな懇願をしなくても、ファストが作ってくれている。一体、中身は何が入っているのだろうか。本に載っているようなものが入っているのかな?それよりも、もっと豪華なものが入っていたりして・・・。

「ウラン君・・・よだれ・・・」
「はっ・・・!」

正気に戻れば、自分の口からよだれが垂れていたことに気が付く。漫画で見たことがある。美味しいものを想像したり、大好きなものを見たりすると、よだれが出ている場面があった。こんなの本当にある訳無いだろと思っていたが、まさか、自分がその状態になっているとは。
ウランは、慌ててよだれを拭いて、今合ったことをなかったことにしようとしたが、ラルドに見られているのでそれはやはりできなかった。
そうこうしている間に、父親、ファストがリビングからようやく顔を出した。右手には、子供がようやく両手で持てる程のお弁当箱が2つ。左手には、それよりも少し大きめのお弁当箱を持っていた。

「ラルド、ウラン、はい、お弁当」

そう言って差し出した。ラルドは目に優しい若葉色の巾着袋に包まれていて、ウランはサーモンピンクの巾着袋に積まれていた。
2人は、お互いのお弁当箱を見てじっと見つめ、肩からさげた子供らしいショルダーバッグにしまった。だが、ウランは今にも中身を開けそうだった。

「ウラン、朝ごはんちゃんと食べたじゃないか。それはお昼ご飯だよ」
「わ、わかってるし!!!」

注意されて少々不機嫌になったウランは、それでもお弁当に不機嫌な気持ちをぶつけないよう、優しくショルダーバッグの中に入れた。

「さぁ、準備は整ったね。出発しようか」

玄関で靴を履き、扉開けると新鮮な空気が家の中に入ってくる。外に出ると、日差しが少し眩しい。今日もいい天気である。

「・・・ねぇ、外は大丈夫・・・?」

なお、ウランの極度の人見知りは、この晴れ晴れとしたいい天気とは裏腹に、超絶に曇り空であった。


※※※※※


ウラン(呆2)ボクの人見知りはいつ直るの?
 この分だと、しばらく直りそうにないな・・・。
 いや、ちゃんと人見知りは直るから、安心してよ、ね?
 まぁ、幼い子が良く見せる人見知りの仕草ということだな・・・。
 っていうか!まだ図書館に着かないのかよ!!!!
 次の話でちゃんと着くから待ってて。


★なお、今までのお話はご覧のとおり↓

その1 その2 その3





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Last updated  2017.07.07 17:28:31
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