かねもクラシックコンサート

かねもクラシックコンサート

佐藤卓史さんインタビュー



Q 卓史さんがピアノを始めたきっかけを教えて下さい。

幼稚園のとき、同級生が園のピアノを弾いているのを見て、「自分もやりたい!」と思い、親に頼み込みました。
両親はあまり乗り気ではなかったのですが、同居していた祖母が「男の子だし、趣味のひとつぐらいあってもいいじゃないの」といってアップライトピアノを買ってくれて、近所のピアノの先生のところに通い始めました。

Q その後の流れとしては?

はじめはほとんど練習もせず、好き勝手に弾いていましたが、小学校1年のとき、父が何を思ったか私を地元のピアノコンクールの会場(客席)に連れて行ったんです。
そこでコンクールという場で競い合う同年代の子どもたちを見て衝撃を受け、習っていた先生に「僕もあれに出たい!」と。びっくりしたのは先生のほうでしたが、それからは比較的真剣にピアノと向き合うようになり、翌年のコンクールでは予選ギリギリ通過の5位を受賞、県大会では2位をいただいて、すっかりその気になり、その後20年以上にわたるコンクール人生を歩み続けることになってしまったのです・・・。

Q プロになろうと思ったターニングポイントがあったら教えて下さい。

特別なきっかけがあったわけではありませんが、中学校に上がる前後から周囲の先生方に「プロになるんだったら早く東京に出なくてはいけないよ」と言われ、中学2年の冬に芸高(東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校)を受験することを決めました。ターニングポイントといえばそのことでしょうか。

Q 影響を受けた作曲家、または好きな作曲家はいらっしゃいますか?

最も好きな作曲家はシューベルトです。他にも好きな作曲家はたくさんいますが、シューベルトは自分のなかで愛着や共感の度合いが全く違います。シューベルトが「なぜこのように音楽を書いたのか」、理屈ではなく感覚として手に取るようにわかるのです。なぜそのようなことが起こるのか、とても不思議です。
スピリチュアルカウンセラー氏に「あなたの前世はシューベルトの友人だったのです」なんて言われたら、一発で信じてしまうかもしれません・・・。

Q ピアニストとして一番良かった事は?そして苦しかった事はありますか?

ステージに立つことが好きなので、舞台で自分の理想に近い演奏ができて、それでお客様から拍手をいただけたときは、「ピアニストになって良かった」と思う瞬間です。
なかなかそういう「一致」は起こらないのですが・・・(弾き終わって「ダメだったな」と思ったらブラボーが飛んだり、「今日は上手く弾けた!」と思ったら拍手がまばらだったり)。
苦しいことは山のようにありますが、やはり「練習しても練習しても上手くならない」ときは苦しかったですね。

Q ピアノを弾く時いつも心がけていらっしゃることがありましたら教えて下さい。

ピアノという楽器は他の楽器と比べると機械に近いので、人間の息づかいや声を表現することが不得意です。なので、いかに「ピアノを歌わせるか」ということをいつも考えて演奏しています。

Q 今回のプログラムに関して何かありましたらお願い致します。

今回のプログラムはベートーヴェンとシューベルトという、ウィーンを代表する2人の作曲家の作品で構成されています。シューベルトは先ほども述べたように、私の一番好きな作曲家であり、ベートーヴェンはそのシューベルトが神のように尊敬し、畏れていた人物です。
ベートーヴェンは難聴で苦しみながらも偉大な音楽を書いたという、その「不屈の意志」が作品にも表れていて、人間に秘められた「強さ」を感じさせます。翻ってシューベルトは気弱で優しく、ぼそぼそと独り言をつぶやいているような・・・人間の「弱さ」に寄り添ってくれるような音楽です。
今回はたまたま、2人の「第8番」という番号のついたソナタを演奏するので、その辺の性格のコントラストにも注目して聴いていただければと思っています。

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