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Ryu-chan6708

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2006.05.08
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カテゴリ: 読書感想
 今、東京テレビで 、「カンブリア宮殿」 作家村上龍 がメインインタビューアーになるシリーズ番組がある。 カンブリア紀 では、今から、5億7000万から5億年ぐらい前までの時代で生物の種類や数が急に増加。軟体動物、腔腸動物、節足動物、環形動物などの無脊椎動物が栄えた時代で、人などの脊椎動物の時代の準備とみなすことが出来る。
 そこで、平成の経済の大変革をそのカンブリア紀になぞらえ、その平成の経済人を迎えての大トークショウとなったとのこと。

 4月17日からのスタートで、初回のゲストは トヨタ自動車の副会長(元社長)の張富士夫氏 であった(張氏はその姓名から在日中国人か韓国人かと間違えられやすいが、れっきとした日本人)。インタビューの最後の「今夜の一言」で氏は 「成果主義は、上司がいかに部下を適材適所に配し、使いこなすかが大事。半分は上司の問題」 と言っていた。これは成果主義にもリストラにも背を向け、いまだ終身雇用を守り続けるトヨタの考えであり、それはトヨタ生産方式の根底をなす「カイゼン」を通じて人を育てる考えでもある。

トヨタ生産方式 大野耐一氏 が創始者である。その直属の部下として20才台の若い張氏が改善で活動する。当時の大野氏は50才くらいであろう。大野氏の直接の指導を受けた最後の世代である。そして、大野氏亡き後、張氏はさらにその考えを広める。

このトヨタ生産方式は絶えない社員の「カイゼン」活動の維持がその根底にある。「カイゼン」は人がやる。そのためにはその根底をなす人の育て方やトヨタ流の上司と部下の関係を新書版に随筆風に読みやすくまとめたのが、この新書である
 著者の若松義人氏も張氏と同年齢で、大野氏の直接の指導を受けた世代であるという。
 平易で他企業の事例も多いが、トヨタの人財(トヨタは 人材 と言わないで 人財 という)育成方法のポイントは十分理解されるであろう。

 例によって、以下のような大野語録やトヨタ語録が簡潔で面白い。
「百聞は一見にしかず、 百見は一行(行動)にしかず
わしの言う通りやるやつはバカで、やらんやつはもっとバカ。もっとうまくやるやつが、利口。」
「部下に命令なり指示を出すとき、 同時に自分もその命令、指示を受けたと思って考えにゃいかん。
「前工程は、神様、後工程はお客様」
「ムダ、ムラ、ムリ(ダラリ)」の順序でなく「 ムラがあるから、ムリをして、ムダが出る

 終身雇用を貫いているキャノンも似ている。 和魂洋才 キャノンの御手洗富士夫社長 かぶれるほどの国でなかった 。」という。

 カンバンなどのシステムは真似が容易である。だから、世界的に拡大している。しかし、その「ものづくり」の裏にこのトヨタ式「ひとづくり」があることを見逃しやすい。

 ところでこの本では病院の改善例をあげているが、 看護師のミスは看護師のせいにしない。システムやマネジメントを追求する。 アメリカの病院は 「人はミスを犯すものである」 として、看護師の責任を追及しないで再発予防のカイゼン対策を重視する。 アメリカの病院はトヨタ流である。 日本では看護師はミスをすると刑事犯になる。これでは看護師は育たないのではないか。





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Last updated  2006.06.11 11:55:43 コメント(1) | コメントを書く


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参考になりました。  
是非次はこの本を読んでみます。人を育てることの難しさに日々葛藤しています。何か救われる(ヒント?)のようなものがあると思うので・・・・ (2006.06.11 16:24:27)

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