知的漫遊紀行

知的漫遊紀行

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

Ryu-chan6708

Ryu-chan6708

Calendar

Favorite Blog

まだ登録されていません

Freepage List

2006.07.16
XML
カテゴリ: 読書感想

大沢在昌氏、宮部みゆき氏、京極夏彦氏 が集まって、座談している特集があった。
 最後に、三人、それぞれの愛読書を紹介していた。小説本を紹介したのは大沢氏だけである。他の作家は辞書とか資料を紹介していた。
 私は、宮部氏と京極氏のものはかなり読んだことがあるが、大沢氏のは舘ひろし主演の 「新宿鮫」 をテレビで見ただけで本は読んでいない。
 ミスティリーは松本清張などの日本ものか、翻訳物はイギリスの ゴダード が中心。ゴダードのものは今のところ、15作すべて読んでいる。

 ところで、大沢氏がこの新聞であげた愛読書は、チャンドラーの 「待っている」という短編 である。

創元推理文庫 で初版は1968年。40年ほどたっている。
 チャンドラーの短編全集の3巻目で、本の題名は「待っている」であるが、中味は中編小説が4つあり、短編はこの 「待っている:I’ll be Waiting」 だけである。チャンドラーの短編と称するものは、これ一つだけだという。

 文庫本で約30頁。訳者あとがきによると、ハードボイルドのエキスを抽出したともいえる短編とのこと。

 1時間もかからないで読了。チャンドラーのものは始めてであるが、なるほど、これがハードボイルドかと感銘。大沢氏が愛読書というだけあって繰返し読める。

ハードボイルド小説の特徴はその淡々として簡潔な文体、リアルな場面や人の描写、そして粋な言い回しなどにあるという。
 たしかに、翻訳であるが、実に淡々とした文体で 一つ一つの文章が短い。 志賀直哉の文のようだ。これに比較するとゴダードの文章は長い。

プロットよりシーンを重視する という作風であるというが、それは感じた。謎解きがあるわけでない。

 この短編では、探偵マーロウの代わりに、トニーが登場する。



「渋面が消えると、微笑の模型のようなものが口のはしからのぞいた。」

「ひざにおいた手がゆっくりと拡がり、指がぎりぎりの限度まで反りかえった。」

「人差し指をそっちへぴんと突きつけ、他の三本はぴったりと手のひらにたたむと、親指を人差し指のうえに立てたり倒したりして見せた。」

「小石が壁にあたったみたいな乾いた音といっしょに、電話はかちりときれた。」

 一度、英語の原書で読んでみたいと思った。

ハードボイルド





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006.07.16 07:28:14コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: