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Ryu-chan6708

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2006.09.12
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テーマ: 戦争反対(1197)
カテゴリ: 読書感想

私:
辻参謀 が明治35年(1902年)に石川県に生まれ、 昭和36年(1961年)参議院議員のとき、ラオスに行き、そこで消息を絶つ までの活動の後を記したものだが、もちろん、戦争時の参謀活動中心だね。

A氏 :この日記で登場する「 敗北を抱きしめて 」で、戦争犯罪人のひとりとしてあげているね。
 参謀将校として、 シンガポールとフィリピンの両方の虐殺事件 に重大な責任を負っていたが、ほかの残虐行為にも関与し、 イギリス兵捕虜を処刑し、その肉を食うという行為 まで及んでいたというね。

私:
 上司の指示を無視する 典型的な下克上参謀 としての行為がすごいね。
一匹オオカミ的な存在だったんだね。
 そして、ときには、罰らしきものを受けることもあるが、たいしたことはない。

A氏: シンガポールではどんな残虐行為があったの?

私: シンガポールの作戦成功は辻参謀の計画が寄与していたようだ。
 実情をよく調べ、よく計画をしたようだね。
 シンガポール占領後、 日本に反抗する華僑が問題になり、河村警備隊長は、山下奉文司令官から市内の掃討作戦を命じられた
 見つけ次第銃殺の命令である。
これにより残虐な事件がおこり、先頭に立ったのが辻参謀であった。
 本来彼は参謀だから命令権はないのである。


A氏 :そういえば、現在シンガポール市には高さ百二十メートルの白い尖塔があり、その礎石には「 日本占領時期死難人民祈紀念碑 」と書かれた華僑の記念碑があるね。

私: 戦後の1947年、この残虐行為の裁判がひらかれ 警備隊長と憲兵隊長が絞首刑 になる。
辻参謀は逃亡する。

A氏 バターン死の行進 」だね。

私: マッカーサーの率いるアメリカ軍はバターン半島に後退するが、食糧を絶たれて降参する。
マッカーサーは家族や高官らとともに飛行機でオーストラリアに逃げる。
 問題になったのは、捕虜7万人と民間人2万人の扱い方だった。
 これの移動で60キロの都市部まで鉄道も十分なトラックもない。
 歩けとなった。
捕虜はすでに食糧不足で栄養失調の者も多かったし、マラリアにかかっていた者もいたので倒れる者が続出した
 これは日本軍の配慮が不十分なこともあるが、 衛生が悪く食糧の補給もつかないバターン半島に軍を連れ込み、降伏するまで放置して逃げたマッカーサーはじめ米軍指揮官には、それ以上の責任があると著者はいう

A氏 本間中将は戦後のマニラ軍事裁判で銃殺刑 となるね。
 この問題で、辻参謀はどういう関係があるの?

:この行進中に、 捕虜を皆銃殺せよというあやしげな指令があちこちに出たが、これが辻参謀であった
 指令を受けたほうが本部に確認して大事に至らなかった。

A氏 :振り込め詐欺みたいだね。

:しかも、 その偽軍令の責任をあまり問われなかった
 これも問題だね。
 振り込め詐欺の罪は問われなかったわけだ。
これは背景に、「捕虜は殺せ」というムードが軍上層部の一部にあったのだろうね。
 しかし、 フィリッピン大統領の蔵相だったサントス氏は捕らえられ辻参謀の強い指示で処刑された
 フィリピン人は中国人やシンガポール人と同じく日本人に恨みを持つようになるね。

A氏: イギリス兵士の肉 を食ったというのは本当なの?

私: 関係者の証言から本当らしいね
 敗戦間際のビルマ戦線で兵士の勇気を鼓舞するために英兵の生肉を食用にしたということだ。

A氏 :以上の話は、勝者から非難を受けた問題だが、 作戦のまずさから日本兵を無駄に死なせたという日本人からの非難を受けた問題があるね。

私: それが ノモンハン事変 ポートモレスビー攻略 ガダルカナル奪回戦 の多くの戦死者だね。
 どうも 基本的に「進め、進め」の発想からなる作戦計画だね
 だから、敵情がよく分かり、うまくいくとシンガポール攻略のような驚異的な成果を出す。
 敵情を誤って判断したり、無視したりすると、突っ走ったままだから、とことんやられるまで戦うから被害が大きくなる。
 失敗しても早期に作戦を変えない。

A氏 作戦計画の問題でなく前線の努力が足りないから、もっと頑張れとなる。

:辻参謀は関係ないが、 インパール作戦 でも同じ作戦を失敗しても繰り返すので、逆にイギリス軍のほうで呆れたという。
 これは、日露戦争でも 司馬遼太郎 が「 坂之上の雲 」で 203高地 の戦いを書いているときに、毎回同じような作戦を失敗しても繰り返すので、同じ民族として唖然となり、たびたび筆をおいたという。

A氏: 一種の マニュアル主義 だね。

引いたり押したりの守りに弱い。
 ノモンハン事変、ポートモレスビー攻略、ガダルカナル奪回戦はその典型だね。
 戦後の高度成長時によくあった借金してでも「進め、進め」という経営と似ているね。
 低成長期に弱い。

A氏 :辻参謀は敗戦のとき、戦犯となりタイにいて潜伏するね。
 そして、 日記 にあったように戦後は国会議員にまでなる。

私: この人ほど、昭和の日本の真の姿を象徴的に示した人はいないだろうね。
 一読の価値ありだね。
 そのためか、もう、古い本だが、新装版が出ている。

作戦参謀辻政信新装版





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Last updated  2006.09.12 06:25:07 コメント(2) | コメントを書く


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