知的漫遊紀行

知的漫遊紀行

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

Ryu-chan6708

Ryu-chan6708

Calendar

Favorite Blog

まだ登録されていません

Freepage List

2006.10.11
XML
カテゴリ: 読書感想

私: 中日が優勝したね。
 落合監督は、「おれ流」の監督で、自身はプレーヤーのときは、一匹狼の「 渡り職人 」だった。

A氏 :それとこの山本七平氏の「 日本資本主義の精神 」とどういう関係にあるの?

私: 山本七平氏は、日本のビジネスの基本をなす会社は伝統的に 共同体と機能集団との一致だと言っている
 しかし、 プロ野球はその意味で欧米型の機能集団主義だということなんだ
 プロ野球のマネジメントを知るには、その視点が興味があると思ったんだよ。
 この本は 山本学 の延長で日本人はなぜ、一生懸命働くのかという探求だね。

A氏
 俺が学校を出て会社に入ったとき、同期で「 40才で定年になって後は遊ぶのが夢だ 」と言った奴がいて、俺はその発想についていけなかったが、彼は欧米的な発想だったと後で山本氏の本を読んで知ったよ。
ホリエモン も似たようなことを言っていたね。

:1979年刊行だが、PHP文庫で1995年で発行、今年4月、ビジネス社でも再版されているね。
 解説を堺屋太一氏が書いているが、 日本資本主義の特徴の主題は日本人にとって永久の課題であり、山本氏の分析は今日も意味のある実用性を持っていると言えるね

A氏 :最近出る軽い読み物とは違って、内容的に重いね。

:蓄積が違うのかもね。
 それも自分の体験の上で築いた蓄積だからかね。
 この本は、前に言ったように日本の会社組織が欧米型と違い機能集団と共同体とが基本的に一体化していることをメインに指摘しているね。
談合
 華僑などの血縁集団とも違う。

A氏 :日本社会での「 契約 」も欧米の後に神がある契約と異なるということをよく山本氏は言っているね。

:新入社員なんかは、特に契約で入社しないね。
 言わば暗黙の了解だね。
話し合い 」がルールだね。
 高校球児がプロ野球にはいるのはアメリカ型の契約方式だがね。
 ちょっと異例だね。

A氏 :通常、日本では入社は会社共同体への参加だね。
 なるほど、基本は「話し合い」型だ。
 だから、 欧米式なルールを作って文書にしても、読まない
 飾りだね。

私: 山本氏は、 日本型経営は明治以降でなく、すでに江戸時代がそうだというね
 年功序列も 丁稚、手代、番頭、大番頭、宿這入り、暖簾分けという序列 徳川の享保時代 からできていたという。
 製造業も同じで、 小僧、職人、職長 という序列があった。
 それ以外に「 渡り職人 」という一匹狼の職人があった。

A氏 :日本式経営では、共同体が基本になっているから渡り職人は少ないね。
 例の 青色発光ダイオードを発明した中村修二氏 のような人は日本式経営では異色だね。
ノーベル賞をもらった田中氏 は共同体からは出ていないね。

:そうだね。共同体と機能集団が一致している集団は、一つの方向を向くときは強力になるが、 一人ひとりの個性が消える欠点があるね
 それに共同体を守るために、利益追求などの合理性の追求を二の次にする欠陥があるね。

A氏 :それを中村修二氏の生き方はついているね。
 アメリカなどは渡り職人中心の世界だね。
 戦後、日本も学校で個性教育を重視してきたが 、「自由と放縦」の違いがわからず失敗 しているね。

:渡り職人相手のビジネス集団では マネージャーの役割が重要になる
 場合によっては、自分よりはるかに年上の渡り職人をマネージャーは扱わないといけない。
マネージャーが鍛えられるはずだね。
日産のゴーン社長 がいい例だね。
 彼は 日本人にないのはマネジメントだけだと 言っているね。

A氏 :プロ野球もパリーグでは、外人監督の活躍が印象的だね。
 しかし、 落合監督は渡り職人から「おれ流」のマネジメントをして、2回もリーグ優勝をしているね

:マネジメントと言えば、興味があったのは、江戸時代の各藩の経営だね。
 徳川幕府は、経営は各藩に任せた。
 だから、 名君、いわゆる名経営者のいる藩は栄えるが、そうでないところは破滅する。
 今みたいに 地方交付金 などない。
地方で知恵を出さねばならない。
 今の 地方の名産品 はその当時に開発されたものが多いのではないかね。
 だから、藩の財政がよかった 薩摩 長州 が明治政府を作るのは当然だったんだね。

A氏 :それは、君のこのブログの「 浅田次郎の新撰組と現代 」で浅田氏の幕末の見方は独特で、日常経済という観点から見ていて、薩長が明治維新で活躍できたのは、経済的に行き詰まっていた幕末で、 両藩とも不良債権を棚上げして経済改革に成功しその経済力 で明治維新をリードできたからだということで説明しているね。

:堺屋太一氏も解説で、 この本を読めば、バブルで浮かれることもなかったし、その後の平成不況で暗くなることもなかったと言っているね。

A氏 :実際は バブル崩壊でリストラでバタバタして、日本的経営の良い点まで失ってしまったようだね。
それが日本の特徴だった 格差の少ない社会

私: 日本の足元の歴史を少し長い目で見れば、答えはそこにあるのかもね。
 それが「 国家の品格 」をとりもどせということにつながるのかもしれないね。
 戦後、われわれは歴史をおろそかにしてきたからね。
 不勉強で自分の首を絞めているね。
 緊急避難もあったのだろうが、そろそろ冷静に考えないとね。
 この本を読んでそれを感じた。

日本資本主義の精神





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006.10.11 08:37:01コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: